帚木蓬生『聖灰の暗号』上下 : 夢の国・亞洲文化宮

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帚木蓬生『聖灰の暗号』上下

20080410



 出 版: 新潮社

 刊行年: 2007年



<あらすじ>
歴史学者の須貝は、南フランスのトゥルーズ市立図書館で、12世紀に修道士マルティが書いた手稿を発見する。羊皮紙に書かれたオキシタント語を訳すうちに、その内容が火刑に遭ったカタリ派の惨劇を嘆く文であることが判明。須貝は精神科医クリスチーヌ、道中で出会ったエリックらと共に第二、第三の手稿を求めピレネー山中へ赴く。しかし図書館長、鍵を握る人物が相次いで殺され、須貝自身行動を監視されているような感覚に陥る。

<感想など>
『白い夏の墓標』の終盤で女子学生が語る弾圧の歴史を、『聖灰の暗号』の主人公が受け継いで研究し、マルティの歌声はマルティの手稿として具体化して甦る…
前回の感想でも述べたように、この2作品には深いつながりを感じます。
電車の中では『白い夏の墓標』、家では『聖灰の暗号』、というように同時進行で読んでいたので、両作品が一本の線で結ばれているような感覚になったのかもしれません。
時には頭の中で混同してしまう珍現象も起こりましたが。
『聖灰の暗号』の構想は30年前からあったとのこと。『白い夏の墓標』を執筆していたときすでにこの作品が念頭にあったのでしょうか。

キリスト教弾圧の歴史に疎い私にとって、この作品は歴史教科書的な存在でした。
当時の弾圧の歴史が今なお続いていることを示唆しており、現代の宗教関連機関にも波紋を投げかけそうな気がします。
火刑の様子を記した「マルティの手稿」が物語の多くを占め、長い時間を経てマルティが甦ってきたかのようです。羊皮紙に書かれたこの文が創作であるにせよ、リアリティにあふれた渾身作だと思います。

こうした史実の部分に迫力があったせいか、物語の展開や人間模様に浅い感じがしたのは残念。
例えば、須貝、クリスティーヌ、エリックの3人の出会いはあまりにも偶然すぎるし、それぞれが持っている正義感も同質です。事件に関わる者としての「違い」があればもっと面白かったのでは?
主人公の能力や手柄を称えるような展開も、新鮮味が感じられません。
また、前半は図書館長の行動に興味をひきつけられただけに、彼の行動をもっと丹念に追っていけば、もっとスリルを味わえたかも知れません。
謎の殺人事件、主人公の恋愛、日本人家族との交流など、内容は盛りだくさんですが、その中でも記憶に鮮明に残っているのは、やはり長い眠りから覚めた「マルティの手稿」でした。

コメント

こんばんは~

箒木逢生ワールドが続いてますね♪
自分では新潮社から出版されてる著書は全部持ってると思ってたのですが、本棚を見ると最後に購入した新潮は『薔薇窓』でした^^;どうりで孔雀の森さんの感想を拝見しても全然思い出せないはずだわ(苦笑)。

まずは『白い夏の墓標』からですね。箒木逢生ファンとしては必ず読まなければ!年内にはなんとか・・・(笑)。
同時に2つの長編が読めるなんて凄いですね~。私は短編と長編を同時に読むのが精一杯^^;もしかして速読術を身に付けてらっしゃるんじゃ・・・

最近こってます

TKATさん、こんにちは♪
箒木蓬生を知って日が浅いのですが、物語を一つ読むとまた別の一冊を読みたくなり、今夢中になっています。
箒木さんの新潮文庫版は背表紙がきれいな黄緑色なんですよね。TKAT さんの箒木蓬生コーナーは春色ですね♪
私は箒木さんが描く正義感が好きなのだと思います。
命をかけても正義を貫く、っていうのは自分にはできないこと。多少クサさも感じるけどそこがいいのよね。
ちょうど時間がとれたときにこの二冊を読むことができました。決して速読をしているつもりはありませんが、先が気になってペースが速まる傾向はあるかも。
やはりじっくり読みたいものです。
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大切に♪

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