帚木蓬生『白い夏の墓標』 : 夢の国・亞洲文化宮

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帚木蓬生『白い夏の墓標』

20080408


出 版: 新潮社
種 類: 文庫
刊行年: 2006年 (初版は1979年)



<あらすじ>
北東大学医学部の佐伯教授は、パリのウィルス学会での講演会でベルナールと名乗る老人と出会う。彼から親友の黒田武彦がフランスで自殺したと聞き、佐伯は真相を探るべく、ピレネーへと向かう。黒田の恋人だったジゼルの話や彼の日記から、黒田の生い立ちやアメリカに渡ったあとの仕事が次第に明らかになる。
黒田の娘で歴史を学ぶクレール、さらにベルナールからの手紙を通し、黒田の実像が浮かび上がってきた。
<感想など>
30年近く前の著作なのにその時間の隔たりを全く感じさせません。黒田が関わった細菌兵器の研究開発と現場からの逃避、さらに研究所長の追跡といった一連の物語は、現代でも十分ありえる話として受け止められます。
黒田の姿は、彼の日記や佐伯自身の思い出、恋人だったジゼル、さらにベルナールの手紙でしかうかがうことはできません。実像を結ぶことのできない人物なのになぜか私の中では主人公です。彼が没頭した研究が戦争の道具として使われる理不尽。逃走したら確実に訪れる「死」。彼の人間としての正義感は他の登場人物を通して語られ、それが直接的な叫びとなって読む者の心に飛び込んでくるのです。
果たして黒田は本当に死んでしまったのか、それとも…。
この謎が最後まで気持ちを引っ張ってくれて、満足のいく結果となりました。
ところでこの後同作者の『聖灰の暗号』を読んで、正義を尊重しようとする作者の意図に共通性を感じました。
『白い夏の墓標』での歴史の検証を、『聖灰の暗号』が引き継いでいます。

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