辻 仁成『ピアニシモ・ピアニシモ』 : 夢の国・亞洲文化宮

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辻 仁成『ピアニシモ・ピアニシモ』

20080211


出版社:文藝春秋

刊行年:2007 / 4



<あらすじ>
トオルは中学1年生。友達と呼べるのは彼にしか姿が見えないヒカルだけ。学校では「いるだけの人」だ。やがて、スカートをはいた少年、シラトが隣の席になり、トオルはシラトに親しみを感じるようになる。トオルの通う学校では3年前の殺人事件が未解決のままで、少女の霊が学園をさまよっているという噂があった。そんなある日別のクラスの1年生が行方不明になり、学園は大混乱に陥る。シラトは物騒な学園を守るために、生徒によるパトロール隊を組織する。
<感想など>
このタイトルの由来がわからなかったのですが、17年前のデビュー作『ピアニシモ』の続編と聞いて納得。その『ピアニシモ』は読んでいませんが、トオルの背景(小学校時代の出来事、両親の不和など)が詳しく描かれており、現在のトオルの状況は十分に理解できます。
全ての現象がトオルの目を通して描かれている点に面白さを感じます。両親は「オスガオー、メスガオー」と呼ばれ、ほとんど獣同然の扱いです。
両親だけでなく、教師、警官、報道関係者など大人がおしなべて彼の対極にいる存在として映ります。彼らの姿はすべてトオルという少年のフィルターを通して描かれ、読者である自分がいつしかトオルの側に寄り添っているのに気づきました。
自分が大人であることを忘れてしまうのは不思議。
読みながら非現実的な世界に引き込まれていくのは久しぶりです。

そんな出来事もすべてトオルの心象現象?ヒカルという少年はトオルの心模様により変化します。邪悪になったり、親切になったり、突然消えてしまったりする彼は、実在するのか、しないのか。しかし自分はほとんどトオルの眼になってしまっているので「実在する」と思い込んでいます。不思議…。

霊の存在など信じていませんが、この物語を読んでいる時は妙にリアルに、少女の霊を感じてしまいました。ほとんどトオルの眼になりきっている私…。
これまで、非現実的な事象が出現する小説の中には、途中で挫折したものが少なくありません。(ハリーポッター、ダレンシャン、ブレイブ・ストーリー…etc…)
きっと文字で現された超常現象が、頭の中で再現できなかったのだと思います。

さてトオル、ヒカルのほかに魅力的な人物がもう一人。シラト・ユウキという「少年」です。
「彼」と出会って変化していくトオルの姿を追いかけていると、物語の長さも感じません。
物語は三部構成になっており、第三部はほとんどがファンタジーの世界ですが、友を助けるために必死のトオルとほとんど同化(?)して心臓がドキドキしてきます。
「シラトはどうなるのか…」という思いで突っ走った第三部でした。

さて我に返ると、あの「オスガオー、メスガオー」の存在が気になります。結局親との関係はわからずじまいでしたが、トオルの眼に映る親は依然として「オスガオー、メスガオー」なのか。続きがあるなら見たいところです。

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