金城一紀『SPEED』 : 夢の国・亞洲文化宮

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金城一紀『SPEED』

20080112

先日読んだ『フライ,ダディ,フライ』に登場した朴舜臣(パク・スンシン)はじめ、高校生仲間がそろって登場。今回は名門女子高に通う主人公佳奈子が、彼らと共に奇想天外な作戦で疑惑の解明と悪の撲滅に挑む。


 
出版社: 角川書店

刊 行: 2005年7月 



<あらすじ>
佳奈子には家庭教師彩子の自殺が信じられない。そこで真相を確かめようと、彩子の友人中川と会う。中川と別れた帰り道、彼女は突然複数の男に襲われ、工事現場に連れ込まれる。最早これまでかと思った矢先、複数の《救世主》が現れ、彼らをやっつけて佳奈子を救ってくれる。《救世主》たちは南方、萱野、山下、そして朴舜臣という、高校を停学中の面々。永正大学の学園祭実行委員長である中川に疑念を抱いた彼らは、アギーこと佐藤健に調査を依頼する。朴舜臣は佳奈子のボディガードとなるが、それが原因で彼女はクラスで孤立してしまう。


<感想など>
彼らが知る真相―彩子と大学教授谷村との不倫関係、中川の谷村に対する脅迫、中川のとんでもない野望―は、ありふれた筋書きです。そうした物語の「根幹」よりも、佳奈子を含めた仲間たちの交流の方が楽しめました。
5人の男の中に紅一点。名門女子高のお嬢様は姫扱い。最後まで守られキャラかと思いきや、「姫」は彼らとの付き合いを通して自立を目指します。
再び朴舜臣がボクシングのコーチ役。今度の相手はお嬢様、とくれば当然恋愛を期待するのですが、これは「寸止め」です。それも絶妙の。

文字で描かれた身体の動きは非常に細密。筋肉の動き方、眼差しの方向まで想像できるほど。登場人物の行動は荒唐無稽ですが、一つ一つの動作にはリアリティがあり、隙がありません。緊迫感に押されるようにぐいぐい読んでしまいます。

また、彼らの台詞、特に朴舜臣の言葉には重みがあり、相手を黙らせる迫力があります。外見は粗野でも、人間的な優しさや気配りがじわりわとにじみ出てくる。これがたまらない!!
懐かしい風景を感じることができるのも彼の存在が大きいと思います。
佳奈子に勧める映画は『燃えよドラゴン』。そういえば『フライ,ダディ,フライ』で彼はアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』を読んでたっけ。
全員携帯電話なし、というのもかえって新鮮。

佳奈子の家族は会社人間の父と優雅なお稽古事が好きな母。一見平穏に見える家庭ですが父親の身勝手さと母親の孤独感が気になります。娘の「自立」にともない、母が少しずつ変わっていく様子がさり気なく描かれ、その部分も好きな展開でした。

表紙のタイトル『SPEED』の下に小さく『The Zombies Series』とあります。
『フライ,ダディ,フライ』の前作として『レヴォリューション№3』があり、『SPEED』とともに朴舜臣が活躍する3部作のようです。今度は是非『レヴォリューション№3』を読みたいです。

朴舜臣については、2作とも準主役で謎めいたところを残して物語が終ってしまいます。
今度は堂々の主役で登場してほしいワ。

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