有川 浩『図書館内乱』 : 夢の国・亞洲文化宮

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有川 浩『図書館内乱』

20070624

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  出版社: メディアワークス
  
  刊 行: 2006年




今回は登場人物の家族背景や職場の細かい人間関係に主眼が置かれ、戦闘訓練や攻防戦が主だった前回の『図書館戦争』とは違った趣です。
彼らの恋愛にも多くのページが割かれており、ずいぶん甘~く、軽~くなってしまった感じ。
奇想天外なストーリーですがたまに真理を突く場面もあり、虚実の境界がわからなくなることも。
例えば冒頭に書かれた「図書館の自由に関する宣言」は「本当にそうだ」と思えます。レファレンス業務に携わる図書館職員としての姿勢についても同様です。
一方、図書館職員の職域の中に「防衛員」や「後方支援員」があることは「虚」です。
ところがこの「虚」が「実」であるかのように錯覚する瞬間があります。自衛隊さながらの階級制度が事実のように思えたり、査問委員会の厳しい追及が現実にあるように思えたり。
今の世の中に、不安をあおる材料がたくさんあるからかも知れません。

物語で描かれる不穏な世の中は「図書の検閲が始まってから30年後」とのこと。
つまり現在よりも少なくとも30年以上は後の物語ということになります。
でも彼らの所有物も生活様式も今と大して変わりなく、「未来」特有の非現実感が全くありません。
こういう点が、上で述べた「虚」が「実」であると錯覚する理由かも。

ミーハー感覚で気になるのは、主人公笠原郁が、「王子様」の正体をどう考えるのかということ。
彼女が図書隊を希望した最大の理由は、高校時代書店で守ってくれた「王子様」に再会することです。その「王子様」こそ、郁の上官、堂上篤。郁は「王子様」の顔をすっかり忘れ、堂上の前で「王子様」へのときめきを正直に話したりするのです。2人は口には出さないものの互いに惹かれあっているという設定。
なぜこんなストーリーにときめいてしまうのか。
それは、男勝りの笠原郁が、実は究極の「守られキャラ」である点にあります。
彼女の危機には必ず現れる上官=「王子様」の堂上篤。
背丈は郁の方が5センチも高いのに、いつも「よくやった」と背伸びして彼女の頭を撫でてやる堂上。
こういうクサイ構図が、読者である自分を遠い昔に引き戻してくれるわけです。

ところで、この作品の文章の中で、時々文法的に変だなと思う箇所があります。
学校の先生に赤ペン入れられるような文章です。
それがキーポイントだったりするから、もしかしてわざとそういう書き方をして、読者をひきつけようとしているのかも知れません。実際私はその部分を何回も読んでしまいました。

早く次が読みたくなるような終り方。でもここでこんな暴露をして、次の巻は間が持つのだろうか、というのが正直な感想です。

trackback

「図書館内乱」 有川浩 :TK.blog

『図書館内乱』      著者:有川浩  イラスト:徒花スクモ  出版社:メディアワークス      <簡単なあらすじ> 図書特殊部隊として働く笠原郁のもとに両親が見学にやってきた。戦闘職種配属

コメント

こちらの記事を拝見し、『図書館戦争』を図書館で予約待ちしてたのを思い出しました(笑)。思い出すってぐらいだから70人弱待ちの本は未だに手元にこない訳で(悲)。

なんだか前作とはかなり趣がかわった感じですね~。
実は私、20代から30代にかけて、派遣でですがずっと公共や大学の付属図書館で働いてたんです(今は違います^^)。貸出返却の窓口ではなく、本が入荷されてからデータを総合目録データベースに登録する仕事をしており、入荷した本を受け入れるか受け入れないべきかも判断してました。公共図書館ではなかなか借りれない話題書は昼休みにコソっと読んだりして、とっても楽しい仕事でした~(笑)♪
なのでこの本のシリーズがとても気になってるんですが、いつになったら私はこのシリーズが読めるんだろう??
っていうか3弾もあるんですか?!このまま長シリーズに突入ってことかな?マンネリ化しそうな感じがするのは気のせいでしょうか・・。

TKATさん、こんにちは♪

この作品では新キャラが何人か現れること、短編の集合体であることなどから、前作と違う趣です。

図書館での勤務経験がおありなのですね。しかも受け入れを判断する業務とは!図書館の根幹にかかわるお仕事ですよね。
私は今学校の図書室に臨時職員として勤務しています。選書をしていますが、自分の趣味はほとんど反映されません(苦笑)。
でも今回はジミーさんの本を選びました!中学生はどう感じるかなあ。
『図書館戦争』シリーズもここで出会った本です。楽して借りてしまい、公共図書館で待ってる方、ごめんなさい、という心境です。
シリーズ3巻目『図書館危機』の受け入れはまだ先なので読む頃には前のストーリー忘れてるかも。マンネリ化…気になるところです。新たな気持ちで読みたいですね。

こんばんは♪

もうすでに『図書館危機』読まれたんですね!私も早く読みた~い。

『図書館内乱』ですが、正真正銘のライトノベルって感じですね(笑)。20代半ば(でしたっけ?)の主人公にしたら超純情でクサイ構図が微笑ましくもあり、今時こんな子いないって!と突っ込む自分がいたり^^;
どちらかと言えば柴崎の同僚(柴崎を朝比奈とくっつけさそうとしてる猫なで声の女性)の方がいるいる!と共感しちゃいました(笑)。
その後の郁と堂上も気になるところですが、手塚も気になります。なんだかんだいってこのシリーズにはまりつつある私です^^

P.S TBはいつも通り後日させていただきまーす。

TKATさん、こんばんは♪

このシリーズ、はまりつつありますか?私もです。
笠原郁のようなタイプは、本当はうらやましかったりします。自分にはもう純情といえるところはなし、ああいう喧嘩をする勇気もなし(笑)。
堂上も、郁に輪をかけたように純情なところが面白かったです。郁より5歳も年上なのに。
柴崎をターゲットにした女性のねじれた行動には、笑ってしまいます。著者はどちらかの経験者なのかと思ったりして(笑)。
手塚はきっと男前なのかもしれない、と見方を改めつつあります。
このシリーズが実写になったら…と夢見ながら勝手にキャスティングをしております。もし大ハズレだったら恥ずかしいので書きませんが(笑)。
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