佐藤多佳子『一瞬の風になれ』 : 夢の国・亞洲文化宮

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佐藤多佳子『一瞬の風になれ』

20070413

kaze1.jpg イチニツイテ

kaze2.jpg ヨウイ

kaze3.jpg ドン 
 

    出 版 : 講談社  
    発 行 : 2006年



<内容>
神谷新二と一ノ瀬連は幼なじみの親友。共に春野台高校に入学し、陸上部に入る。中学での輝かしい実績を持つ連と、サッカーから転向した新二は、互いに競い合いながら苦しい練習を重ねる。彼らは4継(400メートルリレー)を通しチームワークの大切さを知り、走ることへの限りない喜びを味わう。そしてチーム一丸となってインターハイを目ざすのだった。

<感想など>
1巻から3巻まですべてが走りを中心とした物語。陸上競技を知らなくてもその情景がスッと入ってきます。アスリートの身体みたいに、ムダを一切そぎ落とした文体。登場人物の息遣いやまばたきまで伝わってくるようです。読み始めたら止まらない。風に乗って駆け抜けていくようなストーリー。何だか自分も一緒に走っている感じ(ゼイゼイ…フウ)になりました。

舞台は自分が育った地、相模原。作者の風景描写はたいへん細かく、具体的な地名や場所に触れただけで、頭の中で映画が回り始めます。
相模原公園、新昭和橋、相模大野、小田急相模原、相模台…。春野台高校はA高校。懐かしすぎる!!

冒頭から2人のスターが登場。一方は天才。もう一方は黄色い髪の主人公。実力は違うけれど競い合う関係になるのだろうと、想像が膨らみます。
登場人物一人一人のキャラクター設定も実に綿密。どの人物にも息を吹き込み、独自の人生を歩ませようとするところに、作者の作品への愛情が感じられます。これが魅力の一つ。

もう一つの魅力は、個人競技の代表格である“陸上”でチームワークを描いているところです。他人に興味を示さない連が、4継に関わることで変わっていく様子や、4継では縁の下の力持ちに徹する根岸や、バトンパスのうまくできない後輩のことを徹底的に考える“俺”新二などなど…。4継(400メートルリレー)の魅力に、読者までとりつかれていきます。
100メートルも特別な存在。作者はこの100メートルによって陸上を語ってくれます。200メートル、中長距離などの個人種目の魅力も満載ですが、この作品のメインはやはりリレー。それも4継。このスタンスが一貫しているのは、ラスト付近の構成でわかります。あれ、これで終り?という感覚になりますが、やはりコレしかないでしょう。

背景にある人間関係もそれぞれがドラマティック。Jリーガーとなった兄を見上げながらサッカーをやってきた新二。でも限界を感じてやめ、陸上に転向。
新二は、まさに“ブラザー・コンプレックス”。両親も無意識的に兄の方に注目します。弟はひねくれるのではなく、兄を崇拝の対象にします。
兄の大怪我を境に、精神的に独立していく新二が素敵です。両親(特に母親)の変化も見逃せません。親の出る幕は少ないのですが。

一ノ瀬連。彼の人生が一番波乱万丈で(最初は15歳だというのに)、まるで実写版(映画)を想定して作り上げたようなキャラクター。ありえね~ってカンジ。これ以上は言いませんが。

新二の片想いの相手(でもないのだが)、谷口若菜。
今度は、彼女の物語を読みたい。素質に恵まれない分、努力で一歩一歩前進していく選手の姿を。母を亡くして寂しかったころに陸上と出会った、その時のエピソードも。新二への想いも。そして、駅伝や3000メートルの走者として、風をどう感じるのか。そこが一番興味深いところ。

みっちゃんこと三輪先生。この先生いいなあ。教わってみたいなあ。社会ではなくて陸上を(笑)。

まるで自分が昔へタイムスリップして、彼らのチームメートになった気分。部活に全力投球していた当時がよみがえってきました。
久しぶりに汗を流してみようかな!!

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「一瞬の風になれ」 佐藤多佳子 :TK.blog

『一瞬の風になれ 1(イチニツイテ)・2(ヨウイ)・3(ドン)』              著者:佐藤多佳子 出版社:講談社 <簡単なあらすじ> 天才的な才能を持ったサッカー選...

コメント

青春っていいわ~♪

こんばんは~。

孔雀の森さんも読まれてたんですね~♪自分が育った地が舞台になってたら尚更嬉しいですよね。春野台高校はモデルとなった高校がちゃんとあったのにはビックリ。

>一ノ瀬連。彼の人生が一番波乱万丈で(最初は15歳だというのに)、まるで実写版(映画)を想定して作り上げたようなキャラクター。

なるほど!言われてみればそうかも!!映画化になると・・・思わず配役を考えちゃいます^^一ノ瀬連はやっぱりジャニーズかしら?みっちゃんは大泉洋?←天然パーマだけで思い浮かんじゃいました(笑)
仲間、恩師、努力、コンプレックス、自立など、今の若者が忘れてるようなことを純粋に描いてるな~と思った小説でした。

昔に戻った気分!

TKATさん、こんにちは♪

>一ノ瀬連はやっぱりジャニーズかしら?みっちゃんは大泉洋?

ジャニーズの人たちは運動神経抜群だから、こういう役もこなせますよね。
ちょっと陰のある一ノ瀬連って、やりがいがあるかも…なんてまじめにキャスティングを考えてしまいました。(笑)
大泉洋、いいですね~。頼れる兄気風の先生になるのかな。ますます教わってみたくなりました。(笑)

>今の若者が忘れてるようなことを純粋に描いてるな~と思った小説でした。

同感です。自分が青春時代に戻ったような錯覚を覚えたのは、ちょっと古風な雰囲気を感じたからかな、と思いました。
親目線ではなく、彼らの同級生になった気分で読んでいました。
どうやら私は「純粋」に弱いようです。

いつの間にかドラマが始まってた!

こんばんは♪

新聞の番組欄を見てて、『一瞬の風になれ』が4夜連続ドラマ化されてることに気付きました。今日が2日目らしいのですが、全然知らなかった~(><) 孔雀の森さんはご存知でした?

公式HPを見ると、高校生役の俳優さんたち誰1人知らない・・。おそらくジャニーズかな??ちなみに三輪先生はウッチャンでした。大泉洋じゃなくて残念(笑)。

昨日ちょっと観ました

TKATさん、こんばんは。
ドラマのお知らせありがとうございます。昨夜始まる直前に知り、「おお~っ」と思い、観てみました。先にお伝えすればよかったですね。ごめんなさい。
ただ、私は本で感動しても映像でコケることが多く、いつも観るのが怖いんです。(笑)
キャストはどうなんでしょうか。私も高校生役の子達はよく知りません。主人公の神谷クン役はジャニーズの人のようですね。
昨日はまだ1回目だから何ともいえませんが、よろしければ一緒に観ましょう。
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