宮城谷昌光「天空の舟」上・下巻 : 夢の国・亞洲文化宮

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宮城谷昌光「天空の舟」上・下巻

20070123

天空の舟〈上〉小説 伊尹伝
天空の舟〈下〉小説 伊尹伝
  出版社: 文藝春秋
  発 行: 2000/08


<あらすじ>
舞台は商(殷)王朝成立前後(紀元前1400年頃)の中国。主人公《摯(し)》は大洪水で両親を亡くすも奇跡的に助かる。彼は料理人となった後、未来の予言、病人の治療などで人々の信頼を得る。苦節を乗り越え数奇な運命をたどりながら、やがて彼は商の湯王を助けて王朝成立に貢献する。

<感想など>
この物語を読むのに欠かせないのが、本書にはさんである、主要人物と地図の書いてあるカード。そして広辞苑、中国語辞典と年表。
主人公を取り巻く人物は、「昨日の友は今日の敵(あるいはその反対)」と、常に立場が変化します。読み方も難しく(妹嬉[ばっき]、螽[しゅう]など)、名前と人物がなかなか一致しません。また、戦闘場面でも、主要人物の治めている地域がわからないと話が見えません。
普段使わない熟語も多く、理解するのに苦労した作品です。中国語表現も多用され、作者の造詣の深さを感じました。

今まで読んだ宮城谷作品(『孟嘗君』『奇貨置くべし』)と違うのは、主人公の恋愛が成就しないこと。これは《摯(し)》が「私」より「公」に生きる道を求めた人物であることも意味します。苦境にありながら知恵を働かせて天下に近づく摯の姿は、現代の競争社会を生きるサラリーマン諸氏にも励みになるのではないでしょうか。
彼は小柄で顔かたちもぱっとしないようです。平凡に見える人間が実は料理、占い、医療に秀で、その上俊足を生かして邑(むら)から邑へ渡り歩く様子に、勇気が湧いてきます。商王の敵討ちを狙う顎(がく)との友情も感動的。
彼と二人の王(夏王の桀と商王の湯)を通して物語が説くのは、『帝王学』と『参謀学』。
小説の形をとる哲学書のようです。桀は暴君であるけれど鋭い思考力を持っている。湯も桀同様殺戮をいとわない王ですが、彼が桀より優れているのは、「人を見る目がある・人の話をきく」点です。元々敵陣にいた摯を重用したことが、結果的に勝利につながったと言えます。もし桀が摯を憎むことなく、彼を大事にしたなら、歴史が変わっていたかも…
摯を参謀役に立てた湯王の「成長ぶり」も見ものです。そして放蕩者だった商の次代の王を変えた摯からは、教育者としてのあるべき姿もうかがえます。

さて、次はどの宮城谷作品を読もうかな。

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