星空の下で : 夢の国・亞洲文化宮

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星空の下で

20140203

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2010年/オランダ/1時間51分(「江ノ島アジア映画祭2014」で鑑賞)
監 督  レナード・レーテル・ヘルムリッヒ
原 題  Position Among the Stars

<内容・あらすじ>
オランダ人監督レナード・レーテル・ヘルムリッヒ氏が、インドネシア人の母の故郷で撮ったドキュメンタリー映画3部作の3作目。いずれもシャムシュディン家を映し出した作品である。

インドネシアの片田舎に住むルミジャは、ジャカルタに住む息子、孫の元へ移住することになる。高校卒業を控えた孫娘タリの力になるためだ。タリは5歳で両親と死別し、おじ夫婦に面倒を見てもらっていた。勉強のできる彼女は一族の期待を一身に集め大学に進学する。学費はルミジャが自宅を担保に銀行から融資を受けて工面したものだ。しかしタリは勉強より遊ぶことに夢中で家族の忠告に耳を傾けようとしない。一方おじのバクティは、家事と仕事一切を妻に任せ闘魚に夢中だ。そんな夫に妻がとうとう怒りを爆発させ、夫婦仲は最悪の状態に。ルミジャは故郷に帰る決心をする。

<感想など>
昨年の本映画祭上映作品『青春ララ隊』がよかったので今回も期待して出かけた。すると予想以上の素晴らしさで、さあ、来年も!と思っていたところ、会場が閉鎖されるために今回が最後とのこと。残念。何かの形で継続していただければいいな、と思う。

ドキュメンタリー3部作の3作目ということで、人物の背景について細かい説明はなく、家族関係を把握するのに時間がかかった。でも少しずつわかっていく、というのもいいものだ。

片田舎に住むおばあちゃんには都会に住む息子が二人いて、そのうちの一人バクティにとっては、姪のタリは娘同然である。もう一人の息子には幼稚園に通う男の子がいる。みんな経済的に苦しいが、彼女の出世が幸せをもたらしてくれると考え、援助を惜しまない。しかし当の本人との間に微妙なずれがあるのも確かだ。さて彼女は一族の星となるのだろうか。

インドネシアを描いた作品を観るのは初めてで、社会背景で驚いたことがいくつかあった。その一つは、イスラム寺院とキリスト教の教会が隣り合っていて、宗教の異なる者同士が一つ屋根の下で暮らしているケースだ。カメラが追うシャムシュディン家でもおばあちゃんはキリスト教徒、二人の息子たちはイスラム教徒である。バクティがイスラム教徒に改宗した理由は「都合がいいから」。実際、タリが奨学金の申請で面接を受けた時、イスラム教について何一つ知らないという理由で落とされたのだった。かといってキリスト教を信仰しているわけでもない。彼女の関心はもっぱら友達との交流にあるようだ。おばあちゃんは敬虔なキリスト教徒で、盗みを犯した孫を教会へ連れていく。しかし彼の父つまり息子から「勝手なことをするな」と怒られる。こうした家族間の宗教的なズレを、子どもはどのようにとらえるのだろう。

カメラがとらえるのは人だけではない。自然現象の映像は、まるで科学ドキュメンタリーのようだ。夜の星から、草の葉をぬらす朝露への移り変わりには、気持ちが高ぶるのを感じた。また、伝染病駆除のため街中で薬剤を散布する場面では、昆虫目線でとらえた路地裏の光景が興味深い。生き残ったゴキブリが体をよじらせて再び動き始めるが、食材の入った器にドブン。男の子が器の中の食物にがっついている。人も虫も生きることに必死である点で変わりはない?!

家族それぞれの視点が描かれているが、最後までくると主人公はやはりルミジャおばあちゃんかな、と思った。村を出るときの彼女は、線路際で「手を挙げても列車が止まってくれない」と不平を言っていた。その時の彼女は時代から完全に取り残されていた。しかし帰郷した彼女は、ガスボンベの使い方を親友(?)にしつこく教えるのだ。でも親友は頑として受け入れない。都会的価値観を友に押し付けているミルジャと、論理的な説明(村ではガスが高くつく。薪を拾いに行くのも運動になる。)で拒否する友のやりとりが、一番の見どころのような気がした。

価値観はその土地、その人間それぞれで異なる。そんな当たり前のことを教えてくれる作品でもあった。

星の瞬く夜空を見上げる二人。彼女たちの輝いた顔が今も脳裏に焼き付いて離れない。

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