霜花店(サンファジョム)運命、その愛 : 夢の国・亞洲文化宮

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霜花店(サンファジョム)運命、その愛

20130823

A FROZEN FLOWER

2008年/韓国/2時間12分(DVDで鑑賞)
監 督  ユ・ハ
原 題  A FROZEN FLOWER/霜花店
出 演  チョ・インソン  チュ・ジンモ
     ソン・ジヒョ  シム・ジホ  イム・ジュハン

<あらすじ>
朝鮮高麗王朝の末期。王(チュ・ジンモ)は元朝から王妃(ソン・ジヒョ)を迎えるが、女性を愛せない身で世継ぎが望めない。それは元との関係を複雑にする問題だった。彼が世継ぎ誕生のためにとった策とは、寵愛する部下、ホンニム(チョ・インソン)を使うことだった。互いに理不尽な思いを抱きながら事を進める王妃とホンニム。ところが初めて男女の快楽を知った二人の恋は激しく燃え、やがて密会を重ねるまでになる。

<感想など>(ラストに関するネタばれを含みます)
この夏行った劇場の、他スクリーンで上映されているのが気になってDVDを借りてみた。噂どおりのドロドロ、ネバネバな展開に、目が離せなくなってしまった。鑑賞後も引きずっているほどだ。

絢爛豪華な衣装や調度品、歌舞を披露する贅を尽くした宴。血なまぐさい戦いに、泥沼化した愛憎劇。一つの物語にこれほど多くの見どころを詰め込んだ作品も珍しい。その「見どころ」ナンバーワンが、濃厚なラブシーンである。それも一つや二つではない。男同士のものは一つだが男女のものは場面にして五つくらいだろうか。主役三人の身を削るような演技は圧巻と言える。

ところが、最後の最後で「あれっ」と違和感をおぼえた。ホンニムが本気で愛していたのは…? そこでこれまでの展開を確認するため再鑑賞してみた。

蜜の味を知ったばかりの男は、寝ても覚めても彼女の姿が頭から離れない。プレゼントの飾り物を差し出す手はぎこちないが、相手への慈しみにあふれていた。王妃手製の刺繍を眺める目はうるみ、霜花餅をかみしめる口元は感動のあまり震えている。「男」を断たれてなお彼女を守ろうとする姿や、守り切れなかったと思った瞬間怒りが爆発する姿から、熱い想いは十分伝わってくる。笑みをかわすシーンは皆無だが、やはりホンニムは王妃を真剣に愛したのだと確信できた。「今まで自分を愛したことがあるか」と問う王への返答は、過去はどうあれ、今はこう答えたい、という彼の気持ちだと思う。

だからこそ、最後の楽しそうな乗馬シーンに、とってつけたような感覚を抱いてしまうのである。では王の立場から考えるとどうなるだろう。

彼は護衛隊36人の一人、ホンニムを、少年のころから寵愛する。王はホンニムに惜しみなく与え、尽くす。ホンニムもその厚い心に応えるように、隊長として命さえ投げ打つ覚悟を常に持っている。王にとってホンニムは意のままになる愛人である。しかしそれも王妃の相手をする前までだった。ホンニムが自分の意思で動き始めた時、王は彼をつなぎとめるための策を講ずる。しかしモノでつなぎとめられないと知った時。そして決定的瞬間を眼にした時…。ああ、思い出すだけでおぞましい。ほとんど狂気の沙汰である。その一方で彼の孤独を思うと切なくなる。特にあの覗き見る「眼」!!宴で披露した歌の旋律には悲しみが漂い、琴の音もどことなく寂しげだ。家臣の中には王を亡きものにしようとする陰謀が渦巻いて心が休まる日はない。ホンニムの存在はそんな彼にとって安らぎだったはずなのに…。

そんな男たちのはざまで、王妃は本能に赴くまま、のように見えて実は意外に冷静である。王妃としての威厳も持ち合わせている。いざとなったとき、スンギ(シム・ジホ)に王暗殺を示唆し、元の王族を擁立する動きも見せる。一方スンギはといえば、部下を冷静に指図し「王を暗殺した刺客」を自らの手で討つ。待ちに待ったチャンス到来時の的確な判断力にはぞっとした。彼抜きに物語は成立しないほどの存在感だ。

ここで再び二人の男の気持ちを考えてみたい。
修羅場で崩れ落ちた王とホンニム。息絶え絶えのホンニムの目が、殺されたと思い込んでいた王妃の姿をとらえる。
自分がここに乗り込んできた意味があっただろうか。
王と死闘を繰り広げる必要があっただろうか。
王が自分をおびき寄せるための究極の策か。

ホンニムは絶命した王の方に向き直る。
自分の王妃に対する愛情と、王の自分に対する愛情。後者の数段の重みと、すべてにおいて王を越えられない身の上を、かみしめているように見えた。もしかすると、自分の返答を後悔したかもしれない。

ホンニムが真っ二つに断った絵には、弓を射る二人の姿が描かれてあった。それはホンニムの願いに沿って、王が描きなおしたものである。何も知らなかった少年時代に、ホンニムと共に戻りたいという王の願いにも思えた。

でも、壮絶な場面の後突然現れる穏やかな光景には、やはり違和感がぬぐえない。当時の朝鮮王朝の歴史を簡単に説明してくれるようなテロップを用意してもらった方が、むしろすっきりする。

思いだすと疲れてしまう。これを書いたら忘れてしまいたい、なんて思う作品は初めてである。

trackback

霜花店(サンファジョム) :虎猫の気まぐれシネマ日記

だいぶ前にレンタルして観たのだが,感想が今頃になってしまった。王様と親衛隊長の美青年と王妃との間に繰り広げられる三角関係の愛憎劇だが,かなり濃厚なエロスと同性愛の要素を色濃く盛り込んだ,もうひとつの王の男の物語とも言えるかも。 舞台は高麗時代の朝鮮王朝。この時代の韓国は,元の国の属国のような立場だっ

コメント

こちらもご覧になっていたのですね。

これ,凄い映画ですよね。

わたしもホンニムの本心はとても気になりました。
王,王妃,ホンニムの三人ともが可哀そうというか
それぞれがお互い翻弄されたりしたりしてると思うのですが
一番可哀そうに思えたのが私には王様だったので
(彼は心変わりされた側だったのでそう思ったのかな?)
ホンニムが王を「一度も愛したことはありません」ってそんなこと言わないで~と
思ったのかも・・・
彼が王妃を真剣に愛していたのは確かだとは思うのですが
う~ん,それまでは王を愛していたんじゃないのかな?とか。
ラストに王が王妃を殺さなかったことを知って
彼が王の方を向いたのはあれは言ってしまった台詞を後悔したのでは?と。

最近,ホンニムはどっちも愛したのではないかと考えるようになりました。
女性って一人しか愛せないことが多いけど
男性って複数をそれぞれ本気で愛し分けることができる場合があるそうです。
とある男性友人がそんなことを言っていました。
男性ってそんな器用なことできる御仁もいるそうで・・・・
エンドロールの狩りの場面だけ観れば
ホンニムの本命は王だったみたいに取れるけど
あれは,王妃も愛してしまう前の,王だけを愛していたホンニムと王の
幸せな時代を懐かしんでいたのかなぁ・・・とも。

濃密な作品でしたね

ななさん、こんにちは♪
王とホンニムの心情についてのご意見、しかと拝見しました。

>男性って複数をそれぞれ本気で愛し分けることができる場合があるそうです。
こちらのご意見もたいへん興味深いです。特に「愛し分ける」という表現!!
同性、異性に対しても「愛し分ける」のだろうか…と、しばらく考えてしまいました。
私は、どうしてもホンニムに肩入れした観賞になってしまいました。
王とホンニムの出発点が、すでに支配者、被支配者であったことから、
心情的にも平等な関係が築けるとは思えませんでした。
けれども、文武両道で厚い心を持った王を、ホンニムが心から敬愛していたのは確かです。
ただ、女性に対する愛情とは、異質だったのではないか、と思うのです。

実は彼らの愛情表現を観たときに、私は本能的にイヤだと感じてしまいました。
同様に男性同士の愛を描いた『藍宇 〜情熱の嵐〜』、『花蓮の夏』のシーンには
心を持っていかれたのですが…。
この違いは何なのだろうと考えたときに、ホンニムの相手、王妃の姿が浮かびました。
彼ら二人のシーンには、細部までこだわりが感じられ、見入ってしまいました。
この時点で、二人を成就させてあげたい、という気持ちが湧いてきたのです。
王妃が駆け落ちを持ちかけたとき、私は心の中で「行け、行け~!!」と
叫んでしまいましたよ!物語の破たんを覚悟で。(笑)

ホンニムが王に言った「一度も愛したことはありません」は、
「王妃に対するのと同じ気持ちを持ったことはない」という意味を
含んでいるのではないかと思うのです。
同時に、王が立ち直れなくなるのを承知で放った刃だと考えると、
その残酷な一言に対するさまざまな解釈に興味津々です。

最後の風景については、王の方はそのように望んでいたかもしれません。
でもホンニムの方はどうなのだろう…。

王もホンニムも、逆らえない運命のもとに生まれてきたこと自体気の毒
です。
でも私はどうしても、従わなければならない立場に、より強く肩入れしてしまうのです。


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