三姉妹~雲南の子 : 夢の国・亞洲文化宮

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三姉妹~雲南の子

20130528

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2012年/フランス・香港/2時間33分(劇場で鑑賞)
監 督  王 兵(ワン・ビン)
原 題  THREE SISTERS
     
<内容・感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
雲南省の洗羊塘村という貧しい地域に住む三姉妹(特に長女)を中心としたドキュメンタリー作品。

着続けて黒ずんでいる服、穴あきの靴、男児と見間違う二女三女の短髪…などなど、豊かな環境からは想像もできない光景が次々と映し出される。しかも10歳の長女が6歳、4歳の妹たちの世話をしながら生活を維持しているのだ。母は家出、父は遠方に出稼ぎをしに行ったまま長期間留守という状況が、すぐには理解できない。

ドキュメンタリーというと、カメラ目線の登場人物たちが制作側と談話する姿が思い浮かぶが、本作品では制作側の存在感はほとんどない。作り手の感情をはさまず、見たままの光景のみが描かれる。だからか、子どもに対しても容赦がない。長女インインは無表情で黙々と日々の作業をこなす。彼女は好きとか嫌いといった感情を出すことをとっくに諦めてしまったかのように、機械的に体を動かす。駄々をこねる妹たちとは全く次元が違う。

三姉妹は時には伯父一家と一緒に食事をするが、厄介者扱いをされているのは明白だ。それでもインインは頼るべき場面では頼る姿勢を通す。また、彼女は近所の女性から「うちの子をいじめるな」と罵られるが、負けずに言い返す。こうした場面から、周囲も彼女を子どもとは見ていないのがわかる。子どもだが必要不可欠の労働者。そんな彼女を、カメラはただ追うだけである。

唯一彼女が子どもらしい表情を見せるのは、学校で授業を受けている時だった。しかし勉強する姿を見た祖父は、「勉強なんかして」と非難する。肉親から見ても、彼女は小学生ではなくて労働者なのだ…。

出稼ぎから帰ってきた父が持ってきた土産物も、二女三女向けの服が多く、長女がもらったのは靴だけだ。それも、姉がぼろぼろの靴しか持っていないのを知る二女が「お姉ちゃんに」と父に頼んだものだ。父は再び出稼ぎに行くときに二女三女を連れていく。時がたち戻ってきた彼女たちが着ていたのは、出て行った時新品だった服。顔も肌も前よりも黒ずんでいるように見えたのは錯覚だろうか。いったい街でどんな生活をしていたのだろう。

再出発は、「子守」の女性、その娘との同居生活である。長女はごく自然に彼らと一緒に労働する。すべて運命として受け入れる、という淡々とした姿勢だ。二女は「母」が来た喜びを歌うが、彼女からはどうやら疎まれている様子。甘え方がわからない悲しさが伝わってくる。

ラストシーンはどう解釈したらいいのだろう。女性は女の子(二女だと思うのだが…。それとも実の娘?)の襟を引っ立てているが、女の子の方は、彼女の腰に手を回して甘えているように見える。二人の行く手は荒涼としていて、明るさなど微塵も感じられない。そのときのざらりとした感覚を、私はいまだに引きずっている。「その後」が気になって仕方がない。

『無言歌』『鉄西区』(2,3部のみ)に引き続き、同監督作品を観て思うのは、音響効果の素晴らしさだ。特に人々の咳き込む音が、不快であるはずなのに(不快だからか)耳について離れない。吹きすさぶ風の音も同様である。これに満員の場内から時折もれるため息が加わって、聴覚がだんだん敏感になっていくようだった。

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