駆ける少年 : 夢の国・亞洲文化宮

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駆ける少年

20130301

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1985年/イラン/1時間31分(劇場で鑑賞)
監 督  アミール・ナデリ
撮 影  フィールーズ・マレクザデエ
原 題  DAVANDEH
英 題  THE RUNNER
出 演  マジッド・ニルマンド ムサ・トルキザデエ
     アッバス・ナゼリ

<あらすじ>
舞台は70年代イランの小さな港町。廃船に一人で暮らす少年アミルは、空きビンの回収、冷たい水の販売、靴磨きと、さまざまな仕事を経験している。同じような境遇の少年たちとの熾烈な争いに負けたり、大人に騙されたりして、苦労が絶えない。そんな彼の楽しみは、外国船や飛行機に向かって大きく手を振り、思い切り走ること。ある日アミルは、ペルシャ語の読み書きができないことを指摘され、勉強への強い欲求が湧き起こる。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
私たちは日々、食べたい、遊びたい、読みたい、観たい、行きたい、そして働きたい、といった、本能や義務に属する、様々な欲求を抱えている。それらはいずれも大切で、常に満足感を求めている。けれども本作を観た直後、そんな日常の欲求の一つ一つが、ほんのちっぽけなものと化してしまった。

本作は、少年の強烈な欲望を、あらゆる角度からあぶり出して見せる連続写真だ。ストーリー展開から登場人物の気持ちを読む、といった今までの鑑賞方法とは全く違い、声、音、躍動美、色彩のコントラストを、五感にたたきつけられる。考える余裕などなく、ただただ圧倒され、惹きつけられた。

最初は、物語性がなく、映像が流れるばかりで退屈…と思っていたのが、中盤から俄然画面にくぎづけとなった。第一に、アミル少年の走る姿が美しい。身体全体がしなって、ぐいぐい押し出されていく。光線の加減で黒く浮き出した姿に、思わず息をのむ。第二に、屈託のない笑顔、泣きそうな顔、歯を食いしばる顔…と、豊かな表情に魅了された。そして、物語が流れていることに気づく。

日々を生きるため人を蹴落とすことを余儀なくされた少年たち。天然ガスの火の前に置かれた氷を目指して走る彼らには、自分しか見えていない。しかし一旦勝利の味を噛みしめた彼は、初めて、人に分け与える喜びを知る。その気持ちはみんなにも連鎖する。これは、勉強を始めた彼の、第一歩なのかもしれない。

鑑賞後に見たチラシから、監督自身の体験が反映されていると知った。アミル少年の勝利への執念、飛行機に対する強烈な愛着、文字を暗唱するときの叫び…。与えられた中から選択するのではく、すべてが渇望から始まったと考えると、圧倒された感覚の根源が少し理解できた気がした。

すべてにおいて、敵わないのである。

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