少女は卒業しない : 夢の国・亞洲文化宮

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少女は卒業しない

20130125



著 者: 朝井リョウ
出版社: 集英社
刊 行: 2012年3月

<内容>(ネタばれ)
廃校が決まった高校の、最後の卒業式前後を、7人の女子高生が語る。
①図書室で出会った先生に恋する作田。
②退学した幼なじみと屋上で過ごす孝子。
③送辞の中で先輩に告白する亜弓。
④互いの夢を尊重し、別れを切り出す後藤。
⑤卒業ライブで衣装紛失!慌てる神田。
⑥支援級の正道と美術部に入ったあすか。
⑦明日取り壊される校舎に忍び込んだまなみ。

<感想など>
いつもなら、なんだ、がちゃがかちゃ煩い奴らだなあ、で終わっていたかも知れない。でもこの時期は違った。ちょうど恩師の通夜、高校の部活仲間との集まりと、昔に戻る時間が続いたからか、登場人物の声が生々しく響いてきた。本の中の生徒たちはちょうど自分の子と同年代。でも眼に浮かぶのは30年以上前の先生や仲間たちだった。

前に読んだ『桐島、部活やめるってよ』で当の桐島が不在であるのと同様、本書でも、姿を見せない人物が、読後大きな存在として残る。台詞上、あるいは回想録だけの登場なのに。これも著者の手腕なのだろう。「ゆっこ先輩」と「駿」。彼らの生の姿も見たくなる。

また、影の薄い役柄ながらインパクトの強い人物もいる。第6章「ふたりの背景」に登場する真紀子だ。彼女はリーダー格里香の、影的存在だが、一つだけ静かだが強烈な発言があった。ただそれも正道の言葉を通して伝わったもので、彼女の真意は曖昧なままだ。その一言であすかと正道が救われたとすれば、彼女は二人にとってかけがえのない存在のはず。

こんなふうに、本書は曖昧なものを数多く残したまま終わっていく。
今までお世話になった校舎は、溢れるほどの思い出、数多くの謎を抱いたまま、壊されるのを待っている。いろいろな事柄の解決は未来に持ち越しと言えるだろうか。

陰湿な意地悪をした里香は、その時(遠い未来、みんなに再会した時)をどんな気持ちで迎えるのだろう。悲しい別れをした人、焦燥感を募らせた人よりもはるかに苦い思い出が、彼女には待ち受けていると思う。あるいはそんな過去に蓋をしてしまうだろうか。架空の人物に対して心配を募らせている私。

ここでまた、昔の仲間との再会が脳裏に浮かぶ。忘却の彼方にあると思っていたことが、不意によみがえってくるのだ。詳細が口から溢れ出る瞬間、50代の面々が、10代になる。そんな感覚を数日たった今なお引きずっている。

自分もまた卒業を迎える気持ちになり、明日から再出発だ!と、清々しくなった。

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