老人ホームを飛びだして : 夢の国・亞洲文化宮

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老人ホームを飛びだして

20121101

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2012年/中国/1時間44分(第25回東京国際映画祭で鑑賞)
           <スペシャルメンション>受賞
監 督  張 揚(チャン・ヤン)
原 題  飛越老人院
英 題  Full Circle
出 演  許還山(シュイ・ホァンシャン) 呉天明(ウー・ティエンミン)
     李 濱(リー・ビン) 顔丙燕(イェン・ビンイェン)
     王徳順(ワン・ダーシュン) 蔡鴻翔(ツァイ・ホンシアン)
     韓童生(ハン・トンション) 田華(ティエン・ホァ)

<あらすじ>
グォ(許還山)が老人ホームに着くと、ちょうど旧友のチョウ(呉天明)を中心に仮装大賞への出場者を選んでいるところだった。天津のテレビ番組出演を目指すのだという。皆は毎日練習に励むが、施設長(顔丙燕)はけが人の続出を心配して猛反対。入居者の家族も同意しない。チョウたちは演目を変更して秘かに練習を再開、ついに職員を騙してホーム外への脱出に成功する。チョウが昔の経験を生かして大型バスを運転し、一路天津へと向かうが、途中彼は倒れてしまう。実はチョウは末期癌を患っていた。彼はこれまで仮装大賞への出演を励みに頑張ってきたのだった。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます。)
両親が登場人物たちと同年代なので他人ごとではない、と思うと同時に、夢物語のような気持にもなる。「私は誰かの号令に合わせて体操なんてまっぴらごめん」と言う母と、スクリーンの中でにこにこ笑っているお年寄りとは、全く違うように感じるのだ。また、亡き義母は耳が遠かったからか、積極的に外へ出て行こうとしなかった。こうした身近な年配者に比べ、本作品のお年寄りたちはトラブルを抱えながらもみんなで一緒にいるのが楽しそうに見える。そんな様子を、最初のうちは非現実的と思ったが、やがて彼らのパワーに食われ、自分も参加している感覚になっていった。

チョウの強いリーダーシップによって、個性豊かな面々が一つにまとまっていく過程は素晴らしい。マージャンパイの段ボールをかぶり号令に合わせて移動する場面に笑い、参加が危ぶまれる場面では不安になり、彼らが涙を流す時は共に涙し、こちらの感情もフル回転。

バスの中から見える風景にも心を揺さぶられた。一面ひまわりの野原や、草原のパオや、馬が疾走していく場面などが、開放的な気分にさせてくれる。内モンゴルを通って天津へ行く、となると、かなりの距離があるのだろうが、無理だとかなんとか、細かいところは気にせず一緒に旅をしていた。

登場人物一人一人にも興味がわく。
グォを演じる許還山は、ドラマ『大秦帝国』で主人公の父親役だった方。見事な戦いぶりを見せた王が、今回は息子との葛藤を抱えた人物である。背中の筋肉が浮き出るほどがっちりした体形で、声の張りも素敵だ。今後の出演作が楽しみ。

認知症で、チョウを夫と勘違いしている女性(李濱)からは、彼女自身がもつ人間性が感じられた。病気になる前から、心がけや生き方が美しい人なのだなと思う。病気はいつおとずれるかわからないもの、と思うと、もう一度今の生活を振り返ろうという気持ちになる。

チョウの仮装大賞にかける理由がわかったときは、思わず声を上げてしまった。それは周りの観客も同じこと。強い意志を持ち続け、その心意気が周囲に波及し、それぞれが生きる気力をもって生活していく。影響を与え、与えられながらの生活は、たいへんだろうと思う反面、刺激が気力につながるのであれば必要と言えるだろう。自分がその年代になったら…と考える年になってしまった。

多面鏡をイメージした仮装大賞の出し物では、みんな中腰になって動きもそろっている。やはり役者だ。そして最後には最大の仮装が待っている!

「こんなに涙したのは『海洋天堂』以来」という声が聞こえ、自分もそうだなと思った。何しろ途中、涙で鼻が詰まって口呼吸となったせいか、喉がヒリヒリしたのだ。

今回アジアの風部門で観た二作品(『ホメられないかも』と本作)はどちらも素晴らしく、是非一般公開してほしい。また、来年からは観たい作品が休日に上映されますように、と今からお祈りしたい気分。(笑)

trackback

グォさんの仮装大賞(飛越老人院) :龍眼日記 Longan Diary

やられたー!! 2014年がスタートしてまだ1か月だが 早くも今年のベスト3には入る作品に出会ってしまった。 監督の名前で劇場に足を運んでしまう数少ない1人が張楊(チャン・ヤン)監督。 それほど多作な監督ではないが、彼の作品は全て大好きだ。 (こうなると唯一未鑑賞の日本未公開作「昨天」(2001)が俄然気になる・・・。) 常に社会の中の弱者に光を当てた作品を送り出し続ける張楊...

コメント

涙腺決壊でした

孔雀の森さん、こんばんは。
一般公開してくれて本当に良かった!
孔雀の森さんが感想をUPされてからずっと観たいと思っていた作品でした。
おっしゃる通り自分の親や自分のこれからを思わず彼らと重ねながら観てしまいますよね。
若い頃に観ていたらまた違った感想を抱いたかもしれません。
それにしてもやっぱり張楊監督の作品はハズレがない。
未鑑賞の「昨天」、大いに気になります~。

今回の邦題、ズバリだと思いました。

sabunoriさん、こんばんは♪
やはり涙!でしたか。
思い出すと私も涙…です。
おっしゃるように、若い頃なららまた違った観かたになるかも
しれません。
例えば祖父母世代が健在だったときとか。
(どれだけ前になるのだろう…)
張楊監督の「昨天」。情報を知らなかったので調べてみると、
なかなか興味深い作品で、観たいと思いました。
今回の邦題、ドンピシャだと感じました。
張楊監督の次回作を楽しみに待っていたいです。
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