極北ラプソディ : 夢の国・亞洲文化宮

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極北ラプソディ

20120815



著 者:海堂尊
出版社:朝日新聞出版
刊行年:2011年12月

<あらすじ>
極北市民病院の外科医、今中良夫は、院長世良雅志の片腕的存在である。世良は赤字建て直しの救世主として華々しく赴任したが、徐々に悪評が増える。あるとき、診療費を滞納した患者に対し診察を拒否した後、彼が死亡するという事態に直面、マスコミの攻撃にさらされる。そんな中、今中は雪見市の極北救命救急センターへの出向を命じられる。

極北救命救急センターには、桃倉センター長以下副センター長の速水、医師の伊達、看護師の花房、五條らが揃う。ドクターヘリパイロットの大月や、CS(コミュニケーション・スペシャリスト)の後藤も救急搬送に欠かせない人材である。今中は多忙の中、やりがいを感じていた。

極北市民病院に戻った今中は、世良と神威島へのドクタージェット・トライアルに参加。この地で長年医療に携わる久世と旧交を温めた世良は、地域医療向上への道を歩む決心をする。

<感想など>
『極北クレイマー』の続編にあたる物語。
今中の目に映る世良、速水らの姿を通して、地域医療の在り方が語られ、興味深い。
最初、世良の独断に今中が躊躇しており、こちらは世良の姿勢が掴みかねた。彼の言うことは正しい。けれど一連の措置は性急に映る。健全な医療体制を目指すためとはいえ、敵を増やすことが果たして成功につながるのかどうか。自分の過去ログを読み返すと、『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』での世良とは、別人のようだ。彼はどういういきさつを経て、こういう気質になったのだろう。

一方の速水は極北救命救急センターで「将軍」と呼ばれる存在である。願いかなってドクターヘリを導入しても自身はほとんど搭乗しない。彼も世良同様傲慢な態度で周囲に接し、好印象とは言えない。しかしその言動は的確で、医療に多大な貢献をしているのはよくわかる。規則違反覚悟、しかも他社の人間のクビを承知で人命救助を独断するは正気の沙汰ではないが、それも神業的な手技あってのこと。ではその技術はどのように磨かれ、自信はどのように膨らんでいったのだろう。『ジェネラルルージュの凱旋』以前の彼をもっと知りたくなった。(ひょっとして読んでも忘れてしまったかも…)

再建問題が山積している極北市と、救命救急センターをバックアップする体制の整った雪見市。今中の目を通した両市の比較から、トップに立つ人材、地域医療の在り方を考えさせられる。終盤で彼らが口にする地方公共団体の境界、枠組みを越えた協力体制は、壮大なスケールに映るが、案外早期実現可能な策にも思える。彼らの言葉は力強く響いてくる。

ところで、速水、花房両人の登場は楽しみの一つだった。けれど、依然として並行線であることにヤキモキした。後で思いがけない再燃(自分にとってはどんでん返し)が待っていたが、何だかきれいに終わりすぎた感がぬぐえない。花房が話す経緯はいかにも感傷的。速水には患者しか見えていないというが、彼の側からすれば、彼女の奥に別の男が見え隠れするから身を引いた、ということではないだろうか。失恋したのは速水ではないのか。あっちがだめだからこっち、なんてどうよ?以上、あくまで速水の味方である私の推論。(笑)長い間に起こった複雑な事情を知らないからこういう感想になってしまうのかも。

なお、記者会見の画像をぱぱっと配信した西野君は気になる存在だ。彼と世良との間には渡海も一枚かんでいるはずで、是非その辺の人間関係も知りたいところ。そのほか、世良が世捨て人同然で久世の元を訪れるまでのいきさつにも興味津々。

諸事情は今後詳細に語られるものと信じて、楽しみに待つことにしよう。

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「極北ラプソディ」 海堂尊 :TK.blog

『極北ラプソディ』    著者:海堂尊  出版社:朝日新聞出版 <簡単なあらすじ> 極北市が破綻し財政再建団体に指定された中、外科部長:今中が働く極北市民病院に...

コメント

相関図と年表を作って欲しい~!

こんばんは!
本作品は地域医療の在り方が描かれており、ホント興味深かったです。
物語なので多少大袈裟に書かれてるかもしれませんが、医学に関わっている
海堂氏が語ると説得力ありますね。

>速水、花房両人の登場は楽しみの一つだった。
そうそう、そうなんです!途中まではそれなりに仲良くやってるのかと思いきや、
最後の最後にそれ?!って驚きました!でも『ブラックペアン1988』か
『ブレイズメス1990』だったか忘れましたが、確かに世良先生と
少しイイ感じの仲だったような気が…。
ならどうして『ジェネラル・ルージュの凱旋』で速水先生についていったんだろう?
うーん、男と女はムズカシイ。。当事者しかわからない何かがあるんでしょうな~。

海堂氏の著書は超人気で図書館で予約しても手元に来るのは半年後。
なのでシリーズものやリンクし合っている著書を読むと頭の中がこんがらがっちゃいますね^^;

相関図と年表は全作品に!

TKATさん、こんにちは♪
台湾へ行ってらしたのですね!お土産話&レビューが楽しみです。
さてこの本もようやく図書館のリクエストが回ってきたのですが
「玉村警部補の事件簿」は30番目、「ケルベロスの肖像」は40番目
という状況。これでは前の話はますます遠ざかるばかり。
TKATさんのおっしゃる相関図と年表、ぜひすべての本に入れてほしいです。
海堂さんの頭の中にはきっとしっかりおさまっているのでしょう。

世良クンと花房さんの初々しさが、記憶の奥の方にあるんですが、
二人はあれからどういう道を歩んだのかしら。
世良の空白の時間には、何か大変なことが起こったようで…。
>ならどうして『ジェネラル・ルージュの凱旋』で速水先生についていったんだろう?
ぜひ知りたいところです。
あのときは「ああよかったハッピーエンドで」と単純に喜んだもので。

極北ものはこれでひと段落なのかしら。できれば今中先生の今後を
みたいです。わりと地味めなところが好き。(笑)
またまたお気に入りキャラが増えてしまいました。
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