舟を編む : 夢の国・亞洲文化宮

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舟を編む

20120810

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 著 者: 三浦しをん
 出版社: 光文社
 刊 行: 2011年9月

<あらすじ>
玄武書房辞書編集部の馬締(まじめ)光也は、辞書「大渡海」編纂の中心的人物。10余年の間に、日本語学者の松本、古参の荒木、口が達者な西岡、整理上手な岸辺など、個性豊かな面々と出会い、共に仕事を進めてきた。下宿早雲荘のタケおばあちゃんと、彼女の孫で板前の香具矢もまた、馬締を支え続けている。

<感想など>
『舟を編む』ときいて、まず思い浮かんだのは、昔読んだ絵本『おばあさんのひこうき』だ。編み物上手のおばあさんが、飛行機を編んでいくお話である。『舟を編む』はもちろん、舟そのものを編むわけではない。ここでの「編む」は広辞苑での語義②の「諸書の文を集めて書物を作る。編集する」という意味である。でも、あのおばさんの編み物と似た作業だと思った。編み物が、編み目を一つでも間違えれば完全な作品に仕上がらないのと同様、辞書作りも、編集段階で言葉を一つ落とすことが致命的なミスになる。「ちしお(血潮・血汐)」の入れ忘れがきっかけで、異例の合宿になった場面では、ほとんど出来上がった作品を全部ほどいて編み直しているように見えた。おばあさんも、辞書編集部も、未知の世界に羽ばたく(漕ぎ出す)乗り物を作っているんだなあと思うとワクワクしてきた。

辞書編纂の過程が細かく描かれて実に興味深い。
まず、言葉に対し鋭敏で、執着心のある人々に感心した。松本先生はどんなときも言葉をメモする姿勢を保ち、研究が生活の一部、いや大部分を占めている。馬締もまた研究熱心で、一つ一つの言葉にこだわりを持ち、恐ろしいほどの集中力で取り組んでいる。そんな彼を辞書編集者に選んだのが、定年間近だった荒木である。人を見る目もまた大切ということだ。彼らの問答を読むうちに、自分が普段使っている言葉が気になりだした。

営業で腕を鳴らす西岡や、製紙会社の宮本など、編纂以外で活躍する人々も重要であることを知った。馬締の才能に対し劣等感を抱いていた西岡が、自分のコミュニケーション能力をフルに発揮していく様子や、紙に執着心を持つ宮本が成功を喜ぶ姿からは、仕事のやりがいについて考えさせられる。彼らの生き生きとした仕事ぶりが目に浮かぶようだ。

ところで、本書に描かれる「ぬめり感」を確かめたいと思い、手元の広辞苑をぱらぱらとめくってみた。なるほど。指が乾燥していても1ページ1ページついてきてくれる。中日辞典(小学館)は広辞苑よりも薄い紙質だがこちらもスムーズにめくることができる。これがぬめり感というのね。最近は電子辞書に頼りがちだが、面倒がらずに紙の辞典もひいてみよう。思わぬ発見があるかもしれない。

これを書いている途中で、松田龍平、宮﨑あおい主演で映画化されるという記事を読んだ。それからというもの、読み返したときに馬締クン、香具矢ちゃんの顔が二人に重なって離れない。ぼさぼさ頭を掻いたり、テンポのずれた発言をしたりする松田龍平。真摯に板前修業をする宮﨑あおい。いい配役だなあと思う。ほかにどんな人がキャスティングされているのかが気になるところ。

『舟を編む』と『大渡海』の装丁が同じデザインというのもおもしろい。
波間に浮かぶ銀の舟は小さいけれど、人々の叡智が積み込まれているのだなと思う。
一度『大渡海』を最初から読んでみたいものだ。

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「舟を編む」 三浦しをん :TK.blog

『舟を編む』  著者:三浦しをん  出版社:光文社 <簡単なあらすじ> 玄武書房辞書編集部に勤める荒木は、定年を迎えるにあたり後継となる社員を探していた。そし

コメント

No title

またまたまたこんばんは☆
8月に既読されてたのですね!私は本屋大賞発表後に図書館で予約したので
半年もかかちゃいました~。予約したこともすっかり忘れてました^^;

昔は辞書は必需品でしたが、今はネットや電子辞書頼り。
家に辞書は数冊ありますが数十年前のものばかり。現代の家庭で
改訂版を購入することってなかなか機会ないですよね。
実際、我が家にある国語辞典なんて1987年のモノでした。古っ!
でも本作品を読んで、時代に沿った日本語、紙へのこだわりを
知ることができ良かったです。

>自分が普段使っている言葉が気になりだした。
同じく私もです。普段何気に使っている単語も、実は間違って
使っているのが多々ありそうな予感…。予感ではなく確実^^;
日本語って難しいですな~

こだわりを持つ、愛すべき人々☆

またまたこんばんは♪
この本は、予約がいっぱいでしょうね。
映画化が決まって、さらに借りたい人が増えるのではないかしら。
TKATさんがアップされた写真に、思わずうなづいてしまいました。
馬締クン、思っていたそのままの姿だなあって!
私も、香具矢ちゃんはものすごい美人というイメージがありましたが、
宮﨑あおいさんの板前は、すてきだろうな、と興味津々です。

うちの辞書は、飾ってある、という感じです。
何か隠しておいても、見つからないかも。(笑)
あまり電子辞書頼りになったら、五十音やアルファベットの
順番を忘れてしまいそうで怖い、と思う今日この頃です。

今まで辞書の紙なんて考えたこともなかったけれど、あのような
細かい工程があると思うと、大事にめくりたいと思うように
なりました。
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