2013-08 : 夢の国・亞洲文化宮

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誘惑の罠

20130831

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2008年/台湾/2時間(レンタルDVD)
監 督  李 鼎(リー・ディン)
原 題  愛的發聲練習
英 題  My So Called Love
出 演  徐熙媛(バービー・スー) 彭于晏(エディ・ポン)
     張孝全(ジョセフ・チャン) 東明相 (イーストン・ドン)
     李國毅 (リー・グォイー) 劉喆瑩(リウ・チエイン)

<あらすじ>
高校三年のマオ(徐熙媛)は母、義父、妹(劉喆瑩)と新たな生活を始めるが、義父の性癖に耐えられず家出する。共に暮らすのはボーイフレンドのリャン(彭于晏)。しかし彼は大学に合格したマオとは明暗を分けてすべて不合格、兵役に就く。やがてマオは生活のために援助交際を始める。最初の相手、小古(張孝全)に夢中となったマオは、リャンと破局を迎える。ところが小古に出産予定の妻がいると知り絶望する。

<感想など>
邦題はあくまでマオ目線である。援助交際なんかに手を出したら人生台無しですよ、という警告に聞こえる。かといって原題「愛の発声練習」も意味不明。マオの「愛って何?」という問いかけや、聴覚障害のあるサンシャイン(東明相)の一途さ、優しさが思い浮かぶが、なにかしっくりこない。

わかりにくい物語である。
快楽の味を覚えたマオは、小古から離れなれなくなる。けれども精神的にはリャンを深く愛している。リャンもマオを愛しているが、兵役仲間(李國毅)の愛情も受け入れている様子。ちょい悪オヤジ的な小古は、妊娠した妻を伴ってマオと会う。つまり決別を示唆したのだろうが、10年近くたってもまだマオとは腐れ縁の間柄のよう。マオはサンシャインの無償の愛を受け入れようとするが自分を卑下して彼の前から姿を消す。なんなのだ、この整理のつかない展開は…。

リャンを明確に描いていないことも、全体が不明瞭になった原因の一つだろう。
高校生だった二人は夜警備員の目を逃れてピアノの下に隠れる。その時マオが覚悟したにも関わらずリャンは「大事にしたいから」と手を出さない。その後ままごとみたいな生活の中でも、彼らはたぶん男女の関係には到っていない。物語でははっきりしないが、リャンは体で女性を愛することができないのではないか。けれども同性を好きになるタイプでもなさそうだ。兵役仲間は完全な片想いである。彼の「タイプ」をはっきりさせないのは、意図的なのだろうか。

マオが愛欲と精神的な愛に挟まれて苦しんでいるのは確かだと思う。けれども物語の主題は別のところにありそうだ。

マオの妊娠を知って、同居している3人が考えたのは、生まれてくる子をいかに育てていくか、ということだったと思う。両親と子供で構成される「家族」から遠く離れ、今現在生活を共にする4人で、果たして家族を作ることができるのか。人間関係をあらわす呼称-父、母、きょうだい、あるいは恋人、友達、といった言葉-で括るのではない新たな関係を模索しているようにも見える。そうすると、マオと小古との、やたらに官能的に見せようとするシーンが余計に思えてくる。凝りすぎてしまったのが、わかりにくくさせている原因では?

みんなの本音は「ホントの家族になりたいな」でしょう。

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結婚って、幸せですか THE MOVIE

20130827

The Fierce Wife Final Episode

2012年/台湾/1時間50分(劇場で鑑賞)
監 督  王珮華(ワン・ペイホワ)
王仁里(ワン・レンリー)
原 題  犀利人妻最終回:幸福男•不難
英 題  The Fierce Wife Final Episode
出 演  隋 棠(ソニア・スイ) 宥 勝(ヨウション)
     溫昇豪(ウェン・シェンハオ)朱芯儀(アマンダ・シュー)
     胡盈禎(カレン・フー)

<あらすじ>
アンジェン(隋棠)は10歳の一人娘ユーモンを育てながらホテルに勤務している。自動車販売会社の支配人ティエンウェイ(宥勝)とは、互いに好意を持ちながら長い間友人の関係だ。そんな中、4年前離婚した元夫ルイファン(溫昇豪)が、積極的に家事育児を手伝い始める。ユーモンは大喜びで両親の復縁を訴えるが、アンジェンの心は複雑だ。やがて彼女はティエンウェイとルイファンから結婚(復縁)を示唆される。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
タイトルの問いかけはつまり、「結婚って、幸せだと言えるんですかね?」というニュアンスだろう。これから結婚しようと思っている人に対するものなのね、と終わってから気づく。同時に、物語の中では既に答えが出ているではないか、とも。

台湾で高視聴率をマーク、日本でも放映された連続ドラマの「その後」を映画化した作品とのこと。だから、ほとんどドラマ視聴者向けの映画と言える。そのドラマを観ていない私にとっては、人間関係の簡単な説明があっても、込み入った事情が分からないせいか、なかなか感情移入が難しい。よく見ればものすごく泥沼化した状況なのに、生活感のない空間や人々のから騒ぎが、あっけらかんとした印象を与えている。

仕事に子育てに一生懸命なヒロインが、二人の男の狭間で苦しむ、という物語。一人は好きな男性で、もう一人はかいがいしい元夫。娘は元夫、つまりパパが大好きで、母の男なんて大嫌い。元夫との離婚原因は、ヒロインの従妹との浮気。今回その従妹に、元夫との間に生まれた男児がいることが判明。その子は障害を持っていた…。ひどく疲れる人間関係だ。

こんな複雑な条件を突破して、ヒロインが自分の本心に沿って幸せになるためには、どんな状況設定が必要なのか。まずは自分の揺るぎない気持ちだ。そして理解のある子ども、理解のある仲間、理解のある親戚。最後に一方の男性がアタックできなくなる最大の障壁。すべて、周りのおぜん立てがあってこそ可能なことなのだ、と。

ハッピーエンドである。でもヒロインの相手があまり輝いて見えないため、幸せ感が伝わってこない。彼の潔癖なところ、短気なところ、ストーカー的な行為…。物語につきものの突出した演出が浮いてしまっている感じだ。それに元夫の息子の障碍も、ただ同情を引くためだけの道具に思えてしまう。映画を観終わった今ドラマを観たいとは思わない。

さて問いかけの答え。結婚という形式に縛られたら後で面倒なことになる、内縁関係を続けて自由な立場を満喫しよう!と解釈(あくまでドラマ上の)してみた。この影響で結婚しない人たちが増えたりして…なんてことはないでしょうね。

霜花店(サンファジョム)運命、その愛

20130823

A FROZEN FLOWER

2008年/韓国/2時間12分(DVDで鑑賞)
監 督  ユ・ハ
原 題  A FROZEN FLOWER/霜花店
出 演  チョ・インソン  チュ・ジンモ
     ソン・ジヒョ  シム・ジホ  イム・ジュハン

<あらすじ>
朝鮮高麗王朝の末期。王(チュ・ジンモ)は元朝から王妃(ソン・ジヒョ)を迎えるが、女性を愛せない身で世継ぎが望めない。それは元との関係を複雑にする問題だった。彼が世継ぎ誕生のためにとった策とは、寵愛する部下、ホンニム(チョ・インソン)を使うことだった。互いに理不尽な思いを抱きながら事を進める王妃とホンニム。ところが初めて男女の快楽を知った二人の恋は激しく燃え、やがて密会を重ねるまでになる。

<感想など>(ラストに関するネタばれを含みます)
この夏行った劇場の、他スクリーンで上映されているのが気になってDVDを借りてみた。噂どおりのドロドロ、ネバネバな展開に、目が離せなくなってしまった。鑑賞後も引きずっているほどだ。

絢爛豪華な衣装や調度品、歌舞を披露する贅を尽くした宴。血なまぐさい戦いに、泥沼化した愛憎劇。一つの物語にこれほど多くの見どころを詰め込んだ作品も珍しい。その「見どころ」ナンバーワンが、濃厚なラブシーンである。それも一つや二つではない。男同士のものは一つだが男女のものは場面にして五つくらいだろうか。主役三人の身を削るような演技は圧巻と言える。

ところが、最後の最後で「あれっ」と違和感をおぼえた。ホンニムが本気で愛していたのは…? そこでこれまでの展開を確認するため再鑑賞してみた。

蜜の味を知ったばかりの男は、寝ても覚めても彼女の姿が頭から離れない。プレゼントの飾り物を差し出す手はぎこちないが、相手への慈しみにあふれていた。王妃手製の刺繍を眺める目はうるみ、霜花餅をかみしめる口元は感動のあまり震えている。「男」を断たれてなお彼女を守ろうとする姿や、守り切れなかったと思った瞬間怒りが爆発する姿から、熱い想いは十分伝わってくる。笑みをかわすシーンは皆無だが、やはりホンニムは王妃を真剣に愛したのだと確信できた。「今まで自分を愛したことがあるか」と問う王への返答は、過去はどうあれ、今はこう答えたい、という彼の気持ちだと思う。

だからこそ、最後の楽しそうな乗馬シーンに、とってつけたような感覚を抱いてしまうのである。では王の立場から考えるとどうなるだろう。

彼は護衛隊36人の一人、ホンニムを、少年のころから寵愛する。王はホンニムに惜しみなく与え、尽くす。ホンニムもその厚い心に応えるように、隊長として命さえ投げ打つ覚悟を常に持っている。王にとってホンニムは意のままになる愛人である。しかしそれも王妃の相手をする前までだった。ホンニムが自分の意思で動き始めた時、王は彼をつなぎとめるための策を講ずる。しかしモノでつなぎとめられないと知った時。そして決定的瞬間を眼にした時…。ああ、思い出すだけでおぞましい。ほとんど狂気の沙汰である。その一方で彼の孤独を思うと切なくなる。特にあの覗き見る「眼」!!宴で披露した歌の旋律には悲しみが漂い、琴の音もどことなく寂しげだ。家臣の中には王を亡きものにしようとする陰謀が渦巻いて心が休まる日はない。ホンニムの存在はそんな彼にとって安らぎだったはずなのに…。

そんな男たちのはざまで、王妃は本能に赴くまま、のように見えて実は意外に冷静である。王妃としての威厳も持ち合わせている。いざとなったとき、スンギ(シム・ジホ)に王暗殺を示唆し、元の王族を擁立する動きも見せる。一方スンギはといえば、部下を冷静に指図し「王を暗殺した刺客」を自らの手で討つ。待ちに待ったチャンス到来時の的確な判断力にはぞっとした。彼抜きに物語は成立しないほどの存在感だ。

ここで再び二人の男の気持ちを考えてみたい。
修羅場で崩れ落ちた王とホンニム。息絶え絶えのホンニムの目が、殺されたと思い込んでいた王妃の姿をとらえる。
自分がここに乗り込んできた意味があっただろうか。
王と死闘を繰り広げる必要があっただろうか。
王が自分をおびき寄せるための究極の策か。

ホンニムは絶命した王の方に向き直る。
自分の王妃に対する愛情と、王の自分に対する愛情。後者の数段の重みと、すべてにおいて王を越えられない身の上を、かみしめているように見えた。もしかすると、自分の返答を後悔したかもしれない。

ホンニムが真っ二つに断った絵には、弓を射る二人の姿が描かれてあった。それはホンニムの願いに沿って、王が描きなおしたものである。何も知らなかった少年時代に、ホンニムと共に戻りたいという王の願いにも思えた。

でも、壮絶な場面の後突然現れる穏やかな光景には、やはり違和感がぬぐえない。当時の朝鮮王朝の歴史を簡単に説明してくれるようなテロップを用意してもらった方が、むしろすっきりする。

思いだすと疲れてしまう。これを書いたら忘れてしまいたい、なんて思う作品は初めてである。

台湾アイデンティティー

20130812

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2013年/日本/1時間42分(劇場で鑑賞)
監 督  酒井充子
出 演  高菊花さん
     黄茂己さん
     鄭茂李さん
     呉正男さん
     張幹男さん
     宮原永治さん

<内容・感想など>
2009年の同監督『台湾人生』の続編ともいえる作品。あらためて日本が台湾を統治していた時代を年表で確認してみると、1895年(明治28年)から1945年(昭和20年)までの、ほぼ半世紀だったことがわかる。今回登場しているのは、1922年から1932年の間に生まれた、80代から90代の方々。日本人として生活し、日本兵として戦ったが、ある日を境に日本人ではなくなった人々だ。さらに国民党の抑圧、白色テロと、苦難の人生が続く。

登場する方々は、それぞれ台湾、日本、インドネシアと、住む地域を異にし、境遇も異なる。しかしアイデンティティーを語る胸の内が苦渋に満ちていることは共通していると思う。かつて『台湾人生』で「棄てられた」ことへの憤りを思い切りぶつける方々がいたように、今回の皆さんも、そういう気持ちを持っているに違いない。しかしそれぞれが、カメラを前に、そういう激しさを心の奥に秘めつつ、自分自身を肯定しながら生きてきたようにも見える。

妹さんとともに出演した高菊花さんは、白色テロでお父さんを亡くし、さらにうその自白証書に署名させられるなど、その人生は苦労の連続である。しかし力強い口調で語られるのは、「苦難があったからこその充実した人生」という限りなく前向きな姿勢だった。

横浜在住の呉正男さんは、北朝鮮で敗戦、中央アジアで抑留生活を経て、恩人の住む日本に行く。当時の台湾は白色テロの時代で帰国できなかったとのこと。日本の大学を出て日本で就職し日本の伝統行事に参加している呉さんだが、帰化申請は受理されない。そんな理不尽を、呉さんは笑い飛ばしているかのようだ。実際には複雑な思いがあるに違いないが、それらを受け流すようなしなやかさを見ると、雲の彼方の偉大な人物に思えてくる。

ガイドの会社を立ち上げた張幹男さんは、反乱罪で火焼島の収容所で8年を過ごしたという。国民党の圧政に対して怒りをあらわにする張さんは、台湾自体の独立を強く主張、その訴えかける口調には圧倒される。台湾内外を問わず、政治に関心のない人々への警鐘に聞こえた。

登場する皆さんの流暢な日本語の合間に、監督の問いやうなずきが流れていく。話を引き出す、というよりは、身内の立場だったり、あるいは異国の何も知らない世代だったりと、距離感を微妙に調整しながらの姿勢に感じられた。一貫しているのは苦労を重ねた年長者に対する、限りない敬服の気持ちだと思う。

観終わった今も、各方々の力強い言葉と、決意を秘めた表情、そしてあふれ出る涙などが次々と頭に浮かんでくる。まだまだ勉強が足りない、知るべきことは山ほどあるのだと、謙虚な気持ちにさせてくれる作品だった。

大英雄

20130811

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1993年/香港/1時間43分(劇場で鑑賞)
監 督  劉鎮偉(ジェフ・ラウ)
原 題  射鵰英雄傳之東成西就
英 題  The Eagle Shooting Heroes
出 演  張國榮(レスリー・チャン)梁朝偉(トニー・レオン)
     梁家輝(レオン・カーファイ)林青霞(ブリジット・リン)
     張曼玉(マギー・チャン)王祖賢(ジョイ・ウォン)
     劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 張學友(ジャッキー・チュン)

<感想など>(登場人物名は香港の解説を参考にしています。)
『楽園の瑕』の製作が行き詰っている間、ほぼ1週間で撮影されたという話題作。かなり昔ビデオで観て終始おなかを抱えて笑っていたのを思い出す。『楽園の瑕』同様、金庸原作『射鵰英雄傳』の登場人物を使っているが、内容は全くの別物。今あらすじを書こうとしたが大いに笑った後きれいさっぱり忘れてしまった…。

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欧陽鋒(梁朝偉)のタラコ唇、周伯通(劉嘉玲)の使えない魔術、段智興(梁家輝)の妖艶な(?)女装姿、そしてハチャメチャな中でもお似合いの黄薬師(張國榮)と三公主(林青霞)。香港の大スターたちがここまで徹底的におバカをやるとは、ほんとさすが!としか言いようがない。近くで「ストレス解消だわ~」という声を聞き、ほんとにその通り!と思った。DVDを買っておいて心が荒んだ時にみてみようか。

劇場は終始笑いに包まれ、最後は拍手喝さいだった。このように楽しさを共有できる喜びを思うと、また劇場に来よう!という気持ちになる。


楽園の瑕 終極版

20130807

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2008年/香港/1時間34分(劇場で鑑賞)
監 督  王家衛(ウォン・カーウァイ)
原 題  東邪西毒:終極版
英 題  Ashes of Time Redux
出 演  張國榮(レスリー・チャン)梁家輝(レオン・カーファイ)
     梁朝偉(トニー・レオン) 張曼玉(マギー・チャン)
     林青霞(ブリジット・リン) 楊采妮(チャーリー・ヤン)
     劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 張學友(ジャッキー・チュン)

<内容・感想など>(ネタバレです)
一昔前1994年版のビデオ鑑賞時、前半から爆睡して気づいたらTVがジージー鳴っていた。巻き戻しての再鑑賞はなかったと思う。記憶にあるのはブリジット・リンの高らかな笑い声。あの頃彼女は憧れのお姉さま、だった。(今もだけど:笑)

今回の終極版を「王家衛(ウォン・カーウァイ)Special」で鑑賞した。行きの電車で十分睡眠をとったので態勢は万全。おかげで全編、目を見開いてついていくことができた!!忘れないうちにややこしい多角関係と人物背景を書いておこう。

歐陽峰(張國榮)
 殺し屋の元締め。かつての恋人(張曼玉)が兄嫁になっていた。
黄薬師(梁家輝)
 歐陽峰の旧友。息子を持つ一人の女性を愛する。
慕蓉燕(林青霞)
 黄薬師の友
慕蓉媛(林青霞)
 黄薬師を愛する。
盲目の剣士(梁朝偉)
 妻を残して流浪。馬賊の討伐を請け負う。
洪 七(張學友)
 馬賊を討ち妻と共に去る。
孤 女(楊采妮)
 卵とロバをかかえ弟の敵討ちを依頼。
桃 花(劉嘉玲)
 盲目の剣士の妻。黄薬師との仲を疑われる。

話の筋が語りからしかわからないので字幕から目を離せない。しかしその語りも推量調なので、結局事実かどうかは確信が持てない。例えば桃花の黄薬師への気持ちもあやふやだし、東邪西毒(歐陽峰と黄薬師)の関係もよくわからないままだ。でもそういう不明瞭さにも、どうでもいいという気持ちになる。むしろ筋を追うよりも画面を堪能したい作品だと思う。

一番印象的だったのはやはり慕蓉兄と妹。一人二役を演じて愛する人を亡きものにしたいほどの気持ちって何よ?と突っ込むと同時に、神秘的な林青霞に惚れ惚れした。林青霞といえば私にとっては「どんふぁんぶっばい(東方不敗)」。本作品を鑑賞しながら今度は「スウォーズマン」シリーズを!などと思いを巡らせていた。

歐陽峰については、TVドラマの2002年版射鵰英雄伝に登場するキャラ(俳優は尤勇)が大好きで、ドラマ鑑賞時、悪人、卑怯者の中に一分の情があるところに惹かれたものだ。張國榮が演じる歐陽峰はもちろんそれとは違うが、原作にはない若かりし頃の歐陽峰、という設定がとても興味深かった。自業自得とはいえ恋人が兄嫁になってしまい、孤独な中で元締めをやっている。刹那的な表情やしぐさが荒涼とした砂漠に合っていた。年齢を重ねた後の歐陽峰がうっすらと想像できる一方で、切なさも湧く。

惹きつけられた場面の一つは、桃花が馬のつややかな脇腹をなでる姿。彼女の手つきや馬の毛並みが艶めかしくて、「馬=夫あるいは黄薬師」という錯覚にとらわれた。結婚相手や恋人が流浪するとなったら、別れたも同然なのね…。執念を燃やして追ってきた妻もいたけれど。

結局は愛憎交錯する恋愛物語だったなあと、終わってから思った。恋の唐突感に多少戸惑ったが、人の気持ちって案外そういうものなのかも…と妙に納得。またまた不思議な後味だったが、結構爽やかだった。

李小龍〈ブルース・リー〉 マイブラザー

20130803

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2010年/香港/1時間57分(劇場で鑑賞)
監 督  文 雋(マンフレッド・ウォン)
     葉偉民(イップ・ワイマン)
原 題  李小龍我的兄弟/ My Brothers Bruce Lee
出 演  李治廷(アーリフ・リー) 梁家輝(レオン・カーファイ)
     鍾麗緹(クリスティ・チュン) 葉 璇(ミシェル・イップ)
     謝婷婷(ジェニファー・ツェー) 張一山(チャン・イーシャン)

<感想など>
“ブルース・リー”は、おそらく私が最初に知った華人俳優だろう。ヌンチャクの目にもとまらぬ動きや「アチョー!!」という怪鳥音は、彼に対して特に思い入れがあったわけではないが、何か人間離れした、神秘のベールに包まれた存在として印象に残っている。

けれども本作品には、当時私が感じていた“ブルース・リー”は登場しない。実弟、ロバート・リー氏が製作総指揮をしたというこの作品に出てくるのは、俳優“ブルース・リー”ではなく、あくまで家族の一員である「かなりやんちゃで思いやりのある兄ちゃん」だった。また、その時代も香港も知らないのに、どこか懐かしい感覚が湧いてくる。あのビー玉を奪い合っていたサイフォン少年が、小学校時代どのクラスにもいた先生泣かせの「悪童」に見えたからかもしれない。カメラワークや淡い光加減、品のある調度品の数々など目に映る光景に心が和み、友や家族との別れには気持ちが揺さぶられる。私のようにブルース・リーをよく知らない者も楽しめる内容だと思う。

主演のアーリフ・リーは初めて見る顔だった。かなりの重圧なのでは?と観る前は思ったが、渡米前の姿を描いた作品だと知り、かえってのびのびと演じているように見えた。ブルース・リーが、青春を謳歌している、ちょっとナイーブな男の子だったとは。ただ、高校時代の彼はかなり大人びて見えた。俳優の実年齢にもよるのだろうが、幼少期の屈辱感や、早く大人になりたい気持ちなどから、今の子どもよりも精神的に大人に映るのかもしれない。弟と組んだダンスバトルからは、彼の優しさや繊細さが、ボクシング対決からは妥協を許さない精神と情の厚さがうかがわれ、人気者なのもわかる気がした。

渡米の理由がそういう事情からだったとは…。もしそれがなかったら…と一瞬思ったが、類まれなる向上心を持った彼ならどこにいても人気は爆発しただろう、と考えなおした。でもやはり30代前半は若すぎる。

没後40年。はたして私が初めてその名を知ったのは存命中だったのか、それとも故人となってからなのか。記憶をたどってみたが、よくわからないままである。

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孔雀の森

Author:孔雀の森
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