2012-07 : 夢の国・亞洲文化宮

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The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

20120724



2011年/フランス・イギリス/2時間13分(劇場で鑑賞)
監 督  リュック・ベッソン
原 題  The Lady
出 演  ミシェル・ヨー  デビッド・シューリス
     ジョナサン・ラゲット  ジョナサン・ウッドハウス
     スーザン・ウールドリッジ ベネディクト・ウォン

<あらすじ>
1988年、アウンサンスーチー(ミシェル・ヨー)は母を見舞うため、夫(デビッド・シューリス)と二人の息子をイギリスに残し、故国ビルマ(現ミャンマー)に戻る。当時ビルマではネ・ウィン率いる軍事政権が、学生や市民による民主化運動を弾圧していた。ある日彼女は大学教授らの訪問を受ける。故人となった今も敬愛されるアウンサン将軍の娘、アウンサンスーチーに、国民民主連盟の結成とその代表になることを要請しに来たのだった。彼女はこれを承諾、民衆の圧倒的な支持を得て、家族も応援する。ところが軍事政権は家族を国外追放とし、彼女を自宅に軟禁する。

<感想など>
アジア女性初のノーベル平和賞受賞者、アウンサンスーチー氏。くっきりした顔立ちと細身の身体が強い印象をなげかけ、誰もが知る政治家の一人と言えよう。最近ようやく自宅軟禁がとかれ、政権との協調が報道されてはいるものの、知名度の割にはベールに包まれた部分が多い。制作側のコメントで「パズルピースを合わせていくような作業」という表現があったが、実在の著名人について想像力を駆使することはさぞ大変だろうな、と、制作秘話への好奇心も高まった。

現役政治家の半生であることから、ドキュメントとしての評を多く目にする。しかし本作はあくまで作られた物語だと思う。彼女の政治的立場は複雑である。そうした立場を慮り、弾圧に対し勇気をもって立ち向かう姿と、家族を想う姿の二面に絞ることで、氏の人間性を鮮明にしているように感じた。

主演ミシェル・ヨーの役作りにかける熱意が表れた、凛としたアウンサンスーチー像だった。顔立ちは全く違うのに、タイム誌を飾る氏の写真や、若いころの写真など、本人の顔が度々出てきても違和感がない。これまで観たことのあるミシェル・ヨーとは全くの別人、アウンサンスーチーその人に見えてくる。

彼女を中心とした国民民主同盟の面々とネ・ウィンをはじめとする軍事政権のメンバーたちは両極にあり、双方が対峙する場面ではいつも緊張を強いられた。特に銃を突き付けられたアウンサンスーチー氏がたくさんの銃の横をすり抜けていくシーンは、その姿が相手に打ち込んだ弾丸そのものに見え、崇高な精神に触れた思いだった。逆にネ・ウィンは突然部下を射殺するような、とことん邪悪な存在として描き込まれている。演じる役者は相当嫌われるのでは?と思えるほどの好演ぶりだ。

最後まで観てふとタイトルに違和感を持った。「ひき裂かれた」のは「愛」ではない、と。
癌を発症したマイケル・アリス氏は、幾度もビルマ(ミャンマー)入りを求めながら、ついにはその願いは叶えられなかった。アウンサンスーチー氏は、祖国を離れたら二度と入国できない恐れがあって、夫の元へ行くこともできない。離れていても愛はずっと続いている。でも結局彼女は夫の最期を看取ることはできなかった。家族の往来の手段を断つとは、なんと残酷な策だろう。

彼女を大拍手で迎える大観衆の姿には、未来を彼女に託した誇りさえ感じられた。金色に輝く丸屋根、真っ青な空、そして氏の髪を飾る大きな花。自由を髣髴とさせる鮮やかな色彩が、国民の実生活も照らし出してほしいと願わずにはいられない。

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さらば復讐の狼たちよ

20120717

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2010年/中国/2時間12分(劇場で鑑賞)
監 督  姜 文(チアン・ウェン)
原 題  譲子弾飛
英 題  LET THE BULLETS FLY
出 演  
姜 文(チアン・ウェン) 葛 優(グォ・ヨウ) 周潤發(チョウ・ユンファ)
劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 姜 武(チアン・ウー) 周 韻(チョウ・ユン)
陳 坤(チェン・クン) 廖 凡(リャオ・ファン) 張 黙(チャン・モー)
胡 軍(フー・ジュン) 邵 兵(シャオ・ピン) 苗 圃 (ミャオ・プー)

<あらすじ>
軍閥が割拠する時代。県知事マー(葛優)は妻(劉嘉玲)と赴任地へ向かう途中、乗っていた列車が匪賊に襲われ転覆。彼は命惜しさに書記と称し、頭目であるアバタのチャン(姜文)に県知事への就任を働きかける。一行は赴任先の鵝城に入るが、この街を暴力で支配しているホワン(周潤發)にとって、彼らは邪魔な存在である。手下のフー(陳坤)を使って六弟(張黙)を罠にはめたり、偽の盗賊にチャンらを襲わせるなど、一行をねじ伏せようとする。チャンは、亡き仲間の敵討ち、民衆の保護を念頭に、ホワン討伐に乗り出す。

<感想など>
本作品の場合、予備知識を十分仕入れて臨んだ方がいいと痛感、配役、あらすじ、ネタバレのレビューなどをできるだけチェックした。というのも、予備知識ゼロで鑑賞した1回目に爆睡してしまい、気がついたときには何が何だかわからない状態になっていたからだ。周囲の笑いに取り残され、見知った俳優に気づいたのが最後の方、とは何とも残念。たまたま劇場のポイントカードが6ポイント目で次回は無料という状況だったので、2回目観賞を決めた次第。

こうして臨んだ再鑑賞では、ある程度ついて行けたと思っている。作品には政治に対する皮肉や、暗喩がたくさん込められているとのことだが、わからなくても十分楽しめると思う。ただ、登場人物の立場(どちら側についている人物?)や、騙し、騙されている状況(誰が誰を、誰が誰に)は把握しておく必要がありそうだ。機会があれば中国版を鑑賞し、練りに練ったという台詞をじっくり読んでみたい。

前半で危うく叫びそうになってしまったのは、六弟が、「凉粉」を一杯しか食べてないのに二杯食べたと言われ、その誤解を解くために腹を掻っ捌いた場面だ。先日観た三島由紀夫の映画と重なってしまったのだ。それぞれ時代も場所も全く違うが、そうした行動に出る精神のありかた(自分自身の美学?)に、何か共通点があるような気がしたのである。

この六弟を演じた張黙は、たぶん今回が初対面である。今後の出演作をチェックしたい一人となった。悪役の陳坤というのも初めてで、とても新鮮。最初出てきたときはすぐに彼とは気づかなかった。また、二弟役の邵兵をずっと追っていたが、いるとき、いないときがまちまちで、義兄弟がそろわない場合も多々あった。重要な場面(例えば六弟の葬儀の時など)に不在で、完全な脇役だったのが残念だった。胡軍のメイクには笑ってしまった。見知った俳優の意外な側面が面白い。

ちょうど汚職の記事が話題になっている矢先とあって、物語の中で知事職を買った詐欺師のエピソードには痛烈な風刺を感じてしまった。この、いくらでも嘘をつけそうな彼と対照的なのが、アバタのチャン。意外にまっすぐな性格で、だからこそ匪賊となり、最後には一人ぼっちになってしまったのかも。また、ホワンの満面の笑みには、周囲を圧する力が漲り、恐ろしくなる。三者の表情の交錯には終始緊張した。

物語は混乱の連続で、最後の方は疲労困憊。
ホワンには替え玉のそっくりさん(周潤發二役)がいる。
偽物の知事は民衆の味方となり、本物の知事に見えてくる。
ホワンの手下たちは彼から離れる行動をとる。
さらにアバタのチャンの偽物(胡軍)がいる。
こうなると、次第に本物偽物、敵味方の区別がつかなくなってくる。何が正しくて何が間違っているのかさえ、曖昧模糊としてくる。

続編を制作中とのことだが、果たしてどんな内容になるのだろう。全く想像がつかない。でもこの続きよりは、前段階の方を観たい!!

シュトヘル 1~6巻

20120712

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著 者: 伊藤 悠
出版社:小学館
刊 行:2009年~2012年

<6巻までのあらすじ>
13世紀初旬の中国大陸。蒙古軍ばかりを狙う女兵士「シュトヘル」は、その残虐な手段から人々に恐れられていた。彼女のターゲットは仲間を惨殺したツォグ族のハラバルで、まず弟ユルール(ツォグ族の中で育ったが実はモンゴルの子)に接近。しかし彼から西夏文字を習ううちに、その文字に対する愛着がわき、ユルールがかけがえのない存在になる。後に彼女はハラバルに処刑される。

現代の日本。高校生の須藤は毎夜戦場の夢にうなされて起きられず、学校も休みがちになる。ある日転校生のスズキを自宅に泊めたのを機に、彼女の導きで過去に飛び、シュトヘルの肉体に転生する。

スズキと瓜二つのユルールは「シュトヘルが甦った」と大喜びするも、別人とわかりガックリ、彼(彼女?)を「スドー」と呼ぶ。スドーは、西夏文字が刻まれた玉音同を宋まで運ぶ旅に同行するうちに、体内に宿るシュトヘルの存在が日に日に強くなっていくのを感じていた。

金国将軍ジルグスは、玉音同が蒙古軍との取引材料になると考え、ユルール一行を拘束。その間ユルールは兄以外のツォグ族が殲滅したと聞かされる。やがてジルグス、ハルバルの一騎打ちが始まる。(未完)

<感想など>
現代と13世紀の大陸とのギャップが大きすぎるのと、台詞がすぐに呑み込めないのと、場面展開が早すぎのとで、1度読んだだけでは理解不能。そこで通して2回読むことに。

自分が日常使っている文字が滅びるなんて、考えたことがあっただろうか。他国の文字を抹殺しようとする背景を、理解することなどできるだろうか。答えはどちらも「否」。時代ものに触れる機会が多い中、文字をテーマとした作品はこれが初めてだ。

物語はシュトヘル(スドー)、ユルール、ボルドゥ(元西夏番学院の官僚)を主軸に、ハラバル、旅の途中で出会うアラビア商人、ユルールの実父とされる大ハンらが脇を固めながら進んでいく。西夏文字を守ろうとするのが、その国と敵対するモンゴルの少年で、彼に影響を与えたのが西夏人の異母というのが、特筆すべき背景と言えそうだ。わずか10歳の少年の、文字を守り抜こうとする意志には圧倒される。

「シュトヘル」が文字の存在を知り、覚えていく過程にも興味をそそられる。私からみれば、物心ついたときから習得すべきものだった文字。あるのが当たり前で、そのありがたさなど考えたこともなかった文字。だから、亡き友の名を文字で書ける彼女の喜びや、伝達手段として尊ぶ姿勢には、あらためて教えられた気持ちだ。

一方で、西夏の文字を滅ぼそうとする大ハンの背景もまた過酷で、想像に絶する思いだった。背中に一生消えない文字を焼き付けられ、その屈辱から残虐な殺戮を開始した状況からは、文字の持つ力を考えさせられる。まるで「文VS武」の物語に見えてくる。

さて、ユルール一行は無事に成都までたどり着けるか、というのが目下の関心事。だが障壁は無数にありそうだし、たどり着いてそれで完結というわけでもないだろう。スズキは今どうしているのか。スドーの中のシュトヘルはいつどのように出現するのか、大ハンとユルールの対面はいつ?新たな登場人物は?などなど興味は尽きない。ともかく次回の展開を期待して待つとしよう。

バタフライ・ラヴァーズ

20120701



2008年/香港/1時間42分(レンタルDVD)
監 督  馬楚成(ジングル・マ)
原 題  武侠梁祝/剣蝶
英 題  Butterfly Lovers
出 演  呉 尊(ウー・ズン) 蔡卓妌(シャーリーン・チョイ)
     胡 歌(フー・ゴー) 庾澄慶(ハーレム・ユー)
     狄 龍(ティ・ロン) 熊欣欣(ホン・ヤンヤン)
     邵 兵(シャオ・ビン)譚俊彥(ショーン・タム)

<あらすじ>
祝家の一人娘言之(蔡卓妌)は、武術修行のため男装して逍遙山を訪れる。そこで彼女を親身に世話してくれたのが師兄の梁仲山(呉尊)。彼女は彼に恋心を抱く。仲山も言之が女性と知ると、ますます愛情を募らせる。正式入門を許されて間もなく言之は帰郷。実家では幼馴染である馬承恩(胡歌)との婚礼準備が着々と進んでいた。仲山を想う言之は激しく抵抗、駆け落ちを試みるも失敗に終わる。承恩により両親(狄龍、李勤勤)は監禁され、彼女も屋敷に閉じ込められる。そんなとき逍遙山の草頭(庾澄慶)が仮死状態になる薬を言之に渡し、葬儀のとき解毒作用のある薬草を持って助けに行くと言う。ところが彼は間もなく殺され、婚礼の日、何も知らないまま彼女はその薬を飲む。言之死去の知らせに仲山は悲嘆にくれ、すぐさま馬の屋敷へと向かう。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
京劇でも演じられる『梁山泊と祝英台』を下敷きにした作品。同じ題材『永遠の恋人たち』(呉奇隆、揚釆妮主演)は記憶の彼方だが、悲劇だったことだけは覚えている。前半はコミカルに、後半はシリアスに進み、結局「あの世で一緒に」という筋書きは変わらない。肝心なラストは、前作同様インパクトがなく、しばらくたったら忘れてしまいそうだ。

とはいえ、主演の呉尊はよかった。特に魅力的なのが血管の浮き出た前腕部。ほっそりした顔からは想像できない太さ、逞しさ。コツンとぶつかってくる言之のおでこをやさしくはねかえしている。(好きなシーンだ:笑)体のキレもいい。矢が刺さっても剣で突かれても走り続け、敵に向かっていく仲山のファイトは、武侠もののお約束として楽しめた。

赤い提灯で彩られた馬承恩邸での闘いは、その色彩が幻想的な雰囲気を醸し出している。言之が横たわる真っ白な空間とは対照的だ。布団が血塗られる光景に、もはや生への望み薄し、という悲劇的結末が頭に浮かぶ。

仲山の宿敵、承恩が意外に脆くて残念だった。仲山が正義の人なら、承恩は狂気の人。もっともっと悪の道をひた走り、仲山と対極にいる存在でいてほしかった。最後の最後で諦めたのか、「医者を呼ぼうか」なんて間の抜けた台詞を吐いている。何が何でも言之の遺体(?)を奪い去ろうとする気迫があってもいいのではないか。

最後はファンタジーの世界だった。
穴の中に並ぶ二人に、弟子たちは土をかけ続ける。息を吹き返した言之に、なぜ彼らは気付かなかったのか~…なんてつぶやいてもしょうがないか。「あの世」は蝶の舞う桃源郷で、二人は幸せそうな表情を浮かべている。でもその前に、仲山に添うことを決意した言之の安らかな表情が、どうしても美しくは見えないのである。
「あの世で一緒に」というのは、舞台だからこそ映える展開のように思う。

プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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