2009-11 : 夢の国・亞洲文化宮

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風声

20091129

           

2009年/中国/2時間(中国版DVD)
監 督  陳国富(チェン・グオフー) 高群書(ガオ・チュンシュウ)
英 題  THE MESSAGE
原 作  麦 家『風声』
出 演  周 迅(ジョウ・シュン)  李氷氷(リー・ビンビン)
      張涵予(チャン・ハンユー)  黄暁明(ホァン・シァオミン)
      蘇有朋(アレック・スー)  王志文(ワン・チーウェン)
      英 達(イン・ダー)  呉 剛(ウー・ガン)
      段奕宏(ドゥアン・イーホン)  朱 旭(チュー・シュウ)

<あらすじ>
1940年代初頭の中国。南京の汪精衛傀儡政権の高官が相次いで暗殺される。特務機関長の王田香(王志文)は、司令部に「老鬼」というコードネームの共産党地下党員が潜伏しているとの情報を入手、日本軍の特務機関長武田(黄暁明)に報告する。武田は電報を扱う人員に嫌疑をかけ、軍事参謀部長の呉志国(張涵予)、総司令部の白小年(蘇有朋)、電報解読員の李寧玉(李氷氷)と顧暁夢(周迅)、軍機所長金生火(英達)の5人を拘束して、過酷な取調べを行う。
「老鬼」は本当にいるのか。いるとしたら一体誰なのか。

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大秦帝国  第1集~5集

20091128

 2006年/中国/ 全51回(中国版DVD)
 監 督  黄健中(ホアン・ジエンジョン)/ 延 芸(イェン・イー)
 原 作  孫皓暉『大秦帝国 第一部 黒色裂変』
 英 題  The Qin Empire
 出 演  侯 勇(ホウ・ヨン)  王志飛(ワン・ジーフェイ)  呂 中(リュイ・チョン)
       孫飛虎(スン・フェイフー) 慮 勇(ルー・ヨン)  尤 勇(ヨウ・ヨン)
       王 輝<ワン・ホイ>  斉 芳(チー・ファン)  李立群(リー・リーチュン)
       杜雨露(ドゥ・ユィルー)  許還山(シュー・ホアンシャン)
       姜化霖(ジアン・ホァリン) 郭常輝(グオ・チャンホイ)



<あらすじ>
紀元前362年、献公(許還山)率いる秦軍は、魏との戦いで大きな損害を出し撤退。そんな中、次男贏渠梁(候勇)は魏国の丞相公叔座(杜雨露)を捕らえ手柄を立てる。
胸に毒矢を受けた献公の枕辺で、長男贏虔(慮勇)は、君主として弟渠梁が適任と意見し、その証として血書をしたためる。
間もなく献公が死去、贏渠梁は第25代君主孝公として即位する。秦国内では先王の敵討ちを叫ぶ声が高まり、妹の熒玉(斉芳)や元老の甘龍(孫飛虎)らは、捕虜公叔座の首を求めたが、孝公は同意しない。
公叔座の弟子、衛鞅(王志飛)が孝公との面会を求めてやってくる。兄贏虔と語る衛鞅を、孝公はじっと観察する。やがて彼が提示してきた休戦協定に同意。公叔座、衛鞅ともに魏国に返す。しかしその条件は函谷関以東の割譲という、秦にとって屈辱的なものだった。
魏国に帰った公叔座は、国王(李立群)に対し、将軍龐涓<ホウケン>(尤勇)の野望に警戒するよう忠告する。

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チャイナパワー “電影革命の衝撃”

20091123

              

昨夜大河ドラマからNHKをつけっ放しにしていたら、上記タイトルが飛び込んできて
9時半から40分ほど見入ってしまった。

まず、上海の撮影所につめかけるエキストラ、そしてメガホンを取る陳可辛
(ピーター・チャン)監督の姿が映し出される。
最新作『十月囲城』の撮影現場だ。
今や経済大国の中国には、世界各地から資本が集まって、拠点を中国に移す映画人も
少なくないのだとか。
『十月囲城』にも世界各国から大勢のスタッフが終結し、現場ではいろいろな言葉が
飛び交っているという。
「面白くなくては意味がない。これまでにない映画作りを目指す」と熱く語る監督。
撮影の合間に携帯電話でさまざまな部門との折衝を行い、超多忙のようだ。
どんな作品を「面白い」というのだろう。また、これまでにない映画とは、どんな
映画なのだろう。
切れのあるアクション、多人数が一斉に動く威圧感のある風景・・・。
販売合戦に焦点を合わせ、これが俳優はじめスタッフにも要求されているように見えた。

こうした態勢とは対照的な制作者として、香港の爾冬陞(イー・トンシン)監督の
談話が挿入される。
大陸では撮れないテーマやシーンを重視し、あくまでも香港で活動するという主張には、
監督自身のゆるぎない信念が感じられ、かえってこうした姿勢の方に興味がわいてくる。

『十月囲城』の強力なライバルとして、胡攻(フー・メイ)監督、周潤發
(チョウ・ユンファ)主演の『孔子』が紹介される。
こちらは『十月囲城』とは別な意味での面白さをねらっているのだろう。
さらに張芸謀(チャン・イーモウ)最新作も公開時期が重なるとの情報を受けて、
『十月囲城』陣営では宣伝効果を高めるための戦略が練られていく。
そして、たった数十秒の撮影のためにヨーロッパから急遽駆けつけた范冰冰
(ファン・ビンビン)が登場。
すでに彼女の撮影は終わったはずなのに、ある場面での表情に納得できない監督が、
撮り直しを決めたのだという。
ここまで要求する監督の熱意は、どこから生まれてくるのだろう。
范冰冰自身も、淡々と監督の指示を受けて何度も撮り直しに応じている。
クランクアウト後、范冰冰がカメラに投げかけた「おつかれさん」という日本語からは、
余裕、満足感さえうかがえる。
『十月囲城』への期待が膨らんできた。

「5年以内に映画大国になることを目指す」という胡錦濤国家主席の演説からは、
中国経済に対する確固たる自信がうかがえる。
かつてのプロパガンダ的な内容の映像作品が減ったことは、政治の流れからも
ある程度納得できる。
中国映画がいろいろな方面に受け入れられる時代がきたのだな、とも思う。
ただ、圧倒的スケールを誇る作品が増え、しっとりとした情感に重きをおく作品が
少なくなっていくとしたら残念だ。

さて、この番組を観たら、『十月囲城』も『孔子』も、そして張芸謀監督最新作というのも、
すべて観たくなった。
あちらの戦略にすっかりはまってしまった感じだ。

山本兼一『火天の城』

20091122




 出版社: 文藝春秋(文庫)


 刊 行: 2009年9月(単行本は2004年刊行)








<内容・感想など>
主人公は岡部又衛門以言(もちとき)。織田信長の命で安土城築城の総棟梁となった男である。物語は、築城までの道のりと平行して、又衛門と以俊(もちとし)父子の関係の変化を描いている。こうした築城を横糸に例えれば、縦糸は信長の安土城に対する思いではないだろうか。彼にとって安土城とは何か。築城のドラマには、人間をも超えようとした信長の野望が顔をのぞかせている。

又衛門は、そんな信長に一生を捧げたといっても過言でないほどの忠誠心を示す。まるで惚れこんでいるようだ。信長の無理難題を実現すべく、又衛門は自分の持っているすべての力を駆使して、各部門を統率し、資材を調達し、不眠不休に近い状態で働き続ける。そんな姿に、現代社会の激サラリーマン管理職の一面も感じてしまった。
信長は帝を城に住まわせたいと言う。そしてその帝よりも高いところに身を置きたいと考えている。そんな信長の計り知れない野望から、又衛門は逃げられなくなってしまったのではないだろうか。

以俊は、いつまでも自分を一人前に扱ってくれない父に不満を持つ。神父オルガンティーノに南蛮建築の指南を請う姿には彼なりの野望も見え、この気持ちが父に届けばいいのにと思うのだが、それも容易ではなさそうだ。認めてほしい息子と認めない父。この父子の確執は、どちらかというと、息子の未熟さよりも父の現役へのこだわりに原因があるのではないかと思った。確かにこの父は偉大だ。自分の努力を考えれば、息子が頼りなく見えるのは当然かも知れない。自分の老いを認めてようやく息子を認める父と、あらためて父を畏敬する息子。職人技が伝えられていく背景を見た思いだ。

築城を阻止しようとする反対勢力の動きが、ミステリアスな雰囲気を漂わせていた。蛇石の滑落による人々の死。職人や家族の間で流行した疫病。何者かの仕業ではないかとの憶測。築城の一時休止。そして女乱波の存在。それぞれが線で結ばれていく過程にはドキドキする。信長の周りに広がる不穏な空気が、終始不気味だった。

最後に城は火に包まれる。築城の詳細な過程を見てきただけに、喪失感が大きかった。
ここで、先日の映画と原作は別の物語であると感じた。映画が築城の喜びに包まれて終わるのに対して、原作はすべてが滅んで終わる。いつか原作に近い映像を観たいと思った。

王妃マリーアントワネット

20091121


 著 者:藤本ひとみ
 
 刊行年:2008年6月

 出版社:角川書店






<内容・感想など>
副題は『華やかな悲劇のすべて』。
18世紀後半のフランス。王妃マリーアントワネットの豪奢な生活、国を揺るがした首飾り事件、スウェーデンの貴公子フェルセンと王妃との恋愛、市民革命によって陥落していく国王一族の姿が、物語風に描かれている。表紙には主人公の肖像画が掲げられているが、私には漫画のイメージが強く、登場人物の姿は自然に池田理代子氏の絵に重なった。

昔ベルばらに夢中だった頃は、オスカル逝去後は読む気力が潰え、マリーアントワネット刑死までの経緯はほとんど覚えていなかった。今回再読し、とばして読んだ数年間の出来事こそが、フランス革命の複雑な歴史的背景であることを知って興味が出てきた。そこで入門書として借りたのが本書である。

さて。マリーアントワネットとは頭がいいのか悪いのか。夫ルイ16世は愚かなのか大胆なのか。主人公マリーアントワネットの目線で見れば、王政の危機的状態のときに「遊んでいる」王に対する憤りは納得できる。自分がこんなにフランス王政のために尽くしているのに王自身はいったいどういうつもりなのだ!と。彼女はいろいろな人々と連絡をとりあい、時には暗号解読もしていたようだ。遊び暮していたときの彼女とは全く違う。夫のかわりに自分がフランスを背負おい、2人の子を育て上げようという決意が全身に漲っている。一方、ルイ16世は決断が下せない「愚王」に見えるが、刑場に向かう直前の毅然とした態度は、品格があってマリーアントワネットの心を揺さぶるのである。この夫婦は全く違う性格だが、賢と愚を併せ持っていて「賢」の部分を国のために発揮できなかったところは似ているように思える。

マリーアントワネットとフェルセンの恋愛については、昔漫画を読んだときは「ありえない」と思った。2人とも実在の人物とはいえ、この恋愛部分だけは創作だと考えていた。しかし今回、文字で読む2人の情景が漫画とぴったり一致することも多く、他の資料もあわせて読み進めると、どうやら事実らしいとわかった。かつて無関心だった2人に、俄然興味がわいてきた。全財産を投げ打ってまで王妃の脱出を計画したフェルセンとは、一体どんな男だったのだろう。また、男にここまでさせる女には、どんな魅力があったのだろう。ドラマチックに仕立てたくなる史実だ。

革命を先導した人々もまた断頭台の露と消えていったこの時代。国家財政を食い尽くす王家への怒りが革命へと発展するが、その後の派閥の対立が情勢を一層複雑化させる。そんな背景をもう少しよく知りたいと思った。また最期を覚悟する王の心ものぞいてみたくなった。

ビートルズを知らなかった紅衛兵

20091119


 著 者:唐亜明

 刊行年:1990年3月

 出版社:岩波書店(同時代ライブラリー)





<内容・感想など>
副題は『中国革命のなかの一家の記録』。
著者は1953年生まれで1983年に来日、現在出版社に勤務し、小説や絵本の執筆、
翻訳を手がけるほか、大学講師もしているとのこと。
10人兄弟の8番目に生まれた著者は、13歳で文化大革命の嵐に突入する。
祖父母の話に始まり、国共内戦に身を投じた両親の状況、小学生時代の思い出、
文革で反革命分子として投獄された父への思い、辛い下放経験、家族の絆など、
歴史の波に翻弄された一家の様子が生々しく描かれている。
人民日報勤務の父と前線で看護師をしていた母は、ともに要人とのつながりが深い。
そんな環境の中で、著者の政治に対する感覚がとぎすまされていったのだと思う。
この1冊が中国の現代史をそのまま映し出しているともいえる。

タイトル中の「ビートルズ」は、誰もが知っているとされるアーティストの代名詞として
使用したのだろう。
それさえ知らなかったとは、いったいあの時代は何だったのか…。文革の10年を
振り返って検証したいという著者の熱い思いが、行間のあちらこちらにあふれている。
同時に、尊敬する指導者の過ちに苦しむ姿も見えてくる。紅衛兵として建国の英雄を
称えながらも、その英雄の行動が間違いであると認識する。
著者の矛盾との葛藤は、苦渋に満ちている。
しかしどんな境遇に陥っても諦めず、尽力する。ものすごいパワーの持ち主だ。
物語の中心を貫くのは、父母への尊敬の念である。兄弟は各地に下放されるが、
どこへ行っても心は一つ。父の釈放を嘆願するために団結して東奔西走する。
家族の写真がたくさん掲載されているところからも、家族の絆の強さがよくわかる。

さて、エピローグが書かれた日付が1989年12月31日となっている。
あの天安門事件が起きてから半年後だが、これに関しては一言も触れていない。
全くないところに、かえって著者の苦しい思いを感じてしまった。
微妙な時期だからこそ、この作品を書いたのではないかとも、思えてくる。

著者にとって文革とは何だったのだろう。文革末期には下放された土地を離れて
自宅に戻り、ひそかに勉強していた姿が描かれている。自由に勉強できない悔しさが
にじみ出ていた。
文革の10年は嵐のような毎日だった。しかし著者はそんな過酷な日々も決して
無駄ではなかったと考えているようだ。そうしたポジティブな思考が、生き延びる
原動力なのだろう。

中国近現代史を扱った作品では、最近、親に対する複雑な気持ちを描いているものを
続けて鑑賞した。『高考1977』と『千年の祈り』である。少し前の『胡同のひまわり』にも
同様の描写が見られた。
また、池莉の小説『所以』に描かれる母子の確執には、強烈な印象が残った。
そんな中、親に対する限りない慈愛、積極的な生き方を明確に描いている本書は、
ある意味新鮮だった。

千年の祈り

20091118



2007年/アメリカ・日本/1時間23分(劇場で鑑賞)
監 督  王 頴(ウェイン・ワン)
原 作  李翊雲(イーユン・リー)『千年の祈り』
英 題  A Thousand Years of Good Prayers
中文題  千年敬祈
出 演  ヘンリー・オー  兪飛鴻(フェイ・ユー)
      ヴィダ・ガレマニ  パシャ・リチニコフ

<あらすじ>
シー氏(ヘンリー・オー)は娘イーラン(フェイ・ユー)が住むアメリカにやってきた。イーランが仕事に行っている間、シー氏は彼女の部屋に入り持ち物を詮索したり、外出して片言の英語で人々と会話したり、夕食の食材を買ってきて料理をしたりと、好奇心旺盛なところを見せる。そんな父に対しイーランの気持ちは複雑で、2人の会話も途切れがちだ。ある日シー氏は公園でイラン人の年配女性(ヴィダ・ガレマニ)に出会い、互いの境遇を話すようになる。ぎこちない会話ながら2人は気心が知れてくる。

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池田理代子『ベルサイユのばら』

20091116

前回の「最後の恋 ~つまり、自分史上最高の恋。~」から、
オスカル&アンドレ
マリー・アントワネット&フェルゼン

を、連想したのでした。『ベルサイユのばら』に登場するこの2組は、
まさに上のタイトルにぴったりの大恋愛をみせてくれます。

先日図書館で見つけ、読みふけったのが、この『ベルサイユのばら完全版』。
             
             刊 行:2009年2月
             出版社:集英社
             巻 数:全9巻

窓つきの表紙、カラーの挿絵が、とてもゴージャスです。
このセットのうたい文句は下記の通り。
* 週刊マーガレット掲載時のカラーページ完全再現
* 単行本未収録の扉絵ギャラリー掲載
* 池田先生自ら監修・着彩した扉絵・本文ページ
* 月刊Jam掲載の外伝『名探偵ル・ルー編』も読める!


ページをめくるうちに、いつしか夢中になっていた中三の頃に戻っていきました。


そして翌日にはこちらのセットを購入。


 刊 行:2009年8月(第57版)
 出版社:集英社(文庫)
 巻 数:全5巻




三十数年前、受験勉強に突入したころに『ベルばら』と出会いました。
ベルばら好きの友人たちとのお喋りは、学校で、交換日記で、とめどなく続きました。
クライマックスの台詞は暗記できるほど読み込み、ブラウスの袖のふくらみや、
目の中に煌く星まで、はっきりと脳裏に刻み込まれたほどです。
中学卒業と同時にこのブームも自分の中で自然消滅したかのようでした。
それが今、あのページを開いた途端、当時の感動がそのままよみがえってきたのです。

今回は新たな発見(以前気づかなかったことに気づいただけですが)がありました。

① オスカルは享年33歳。(1755年12月に生まれ1789年7月に逝去)
中三当時気づいていたらショックだったかも。30代以降はみんなおじさんおばさんに
みえましたから。
奥手でどぎまぎする彼女は、かなり可愛いと、今回あらためて感じました。

② 出動前夜オスカルと一夜を共にしたとき、アンドレの目は見えていたのでは?
窓辺にたたずむオスカルの、霧がとりはらわれたようなタッチの絵は、アンドレの視線で
描かれています。あのときだけ視力を回復していたと信じたいです。

③ マリー・アントワネットに関してはその時々の年齢が記されていますが、オスカルに
ついては誕生と逝去の年月日しか記されていません。

終始、年齢不詳のイメージを通したかったということでしょうか。

あの頃はオスカル一筋でした。
でも今回は、当時脇役に過ぎなかったアンドレが、とても大きくなって再登場!!
厳然とした身分制度が存在した18世紀のフランス。平民として貴族に仕えた彼は、
生活に困ることはなくても、常に身分の違いを意識せざるを得ない状況でした。
アンドレの人生の大半はオスカルと共にあります。
2人は主従関係にありますが、アンドレは配下であってもオスカルに遠慮などしません。
「影」の立場ながら(そうであるからこそ)主張すべきところはしっかり主張し、
隊長であるオスカルをしっかりとリードしていきます。
今回惹かれたのは、彼のそうしたはっきりとした態度でした。
終盤のアンドレは視力が失われていくにつれ、感覚が鋭敏になっていき、独特の陰りが
出てきます。この雰囲気のあるアンドレが素敵!

文庫版より大型版の方が、圧倒的に迫力があります。
また図書館へ行こうっと!


最後の恋 ~つまり、自分史上最高の恋。~

20091115




  出版社: 新潮社
  

  刊 行: 2009年10月(単行本は2005年刊行)






<内 容>
8名の作家による、「最後の恋」をテーマとした短編集。作者名とタイトルは次の通り。
三浦 しをん 『春太の毎日』
谷村 志穂  『ヒトリシズカ』
阿川 佐和子 『海辺食堂の姉妹』
沢村  凛  『スケジュール』
柴田 よしき 『LAST LOVE』
松尾 由美  『わたしは鏡』
乃南 アサ  『キープ』
角田 光代  『おかえりなさい』



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グ印亜細亜商会

20091114



著 者:グレゴリ青山

刊 行:2003年5月

出版社:旅行人








<内容・感想など>
先日読んだ『ブンブン堂のグレちゃん』が面白かったので、同じ作者のものを、と思い
購入。
イラストや写真がたくさん掲載されているエッセイです。
大きな本屋さんで店員さんに訊いたところ「コミックエッセイのコーナーにあります」
とのこと。
コミックエッセイ…。カテゴリはどうしようか…。
作者は画家で、イラストや写真、手書き文字が半分を占めているので、「絵本・画文集・漫画」
としました。

最初の「六十年代のアジアもっこりヘア」では、『花様年華』のマギー・チャンと
トニー・レオンのイラストがノスタルジックな香を醸し出しています。
ふくらませたヘアスタイルが流行していたという年代。
さらに60年代の香港、台湾、タイ、マレーシア、インドの、そして若尾文子さんの
「もっこりヘア」を紹介しています。
『花様年華』観賞時には、トニー・レオンのポマードで光る頭の方が印象に残っていました。
今度観る機会があれば「もっこりヘア」にも注目してみましょう。
これは作者のマニアックな世界の入り口でした。

上海の懐メロテープや旧い漫画雑誌、さらに日本の上海ソングの紹介記事からは、
自分が以前読んだ小説や観たドラマなどの光景が浮かんできます。
さらに話題はインド、ミャンマー、タイの歌や映画へと移っていき、私にとっては
すべてが知らないことばかりなのですが、語り口調とディープな絵に引き込まれて、
何となく追体験しているような気分になってきます。

最後は台湾の画家陳澄波氏のエピソード。たまたま日本で鑑賞した絵に惹かれ、
台北市立美術館へ。
そこで陳氏の人生に触れてますます惚れこんでご子息に会いに行くまでの心の動きを
綴っています。
作者の思い入れと俊敏な行動からは、一途な情熱と同時にその心を見る冷静な眼も
感じられました。

作者の集めた本、ポスター、チラシ。さらに描いたたくさんの絵や撮影した写真で、
かなりディープな展覧会が開けるのではないでしょうか。

なんだか不思議世界に迷い込んだような時間を過ごしたのでした。

ダウンタウン・シャドー

20091113

 
 1997年/香港/1時間29分(レンタルDVD)
 監 督  陳徳森(テディ・チャン)
 原 題  神偸諜影
 英 題  Downtown Torpedoes
 出 演  金城武
       陳小春(チャン・シウチョン<ジョーダン・チャン>)
       揚釆妮(チャーリー・ヤン)
       李綺紅(テレサ・リー)
       王合喜(ケン・ウォン)
       方中信(アレックス・フォン)


<あらすじ>
ジャッカル(金城武)とキャッシュ(陳小春)は世界各地で暗躍する企業スパイ。あるとき2人は香港公安局の情報部主任スタンリー(方中信)に拘束され、巨大組織から重要機密の強奪を依頼される。預金口座の凍結という脅しを受けた2人は仕方なく応じることに。共に活動するのは、サマンサ(揚釆妮)、タイタン(王合喜)、そしてフェニックス(李綺紅)。重要機密とは偽札印刷機の原版である。彼らは危機一髪で原版を奪い、約束していた報酬を受け取るが、船上でこれが爆発、フェニックスが犠牲となる。

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龍一『潜伏』

20091110

               

               著 者 : 龍一
               言 語 : 簡体字中国語
               刊 行 : 2009年3月
               出版社: 百花洲文芸出版社(中国・南昌)

<内容・感想など>
10の短編小説が収められており、表題の『潜伏』は最初の作品。
本の帯で、孫紅雷(スン・ホンレイ)、姚晨(ヤオ・チェン)主演のドラマを宣伝し、
全頁左上には小さく、孫紅雷演じる主人公の顔が映っている。
ドラマでは20ページほどの短編を全30回にふくらませてあるようで、おもしろそうだ。
いつか観たいものだ。
ドラマの情報はこちら→ドラマ「潜伏」

そしてつい先日映画化の情報を目にした。情報はこちら→映画「潜伏」
主演は梁朝偉(トニー・レオン)と舒淇(スー・チー)が有力とのこと。
(11/11追記:その後の報道でまだキャストは決まっていないとの監督コメントがありました。)

原作は、国共内戦時、国民党特務機関にスパイとして潜入した共産党員余則成の物語である。
共産党側は彼の履歴をすべて作り変えた上、農村の女性翠平を彼の妻と決める。
独身者よりも妻帯者の方が、疑われにくいからだという。
翠平は身だしなみに気を使わず、タバコの臭いが体に染み付いている上、言葉遣いが悪い。
ベランダで彼女が灰皿として使っているのは、彼が大事にしていた硯だ。
そんな「妻」を、余則成はもてあます。
なぜ君が諜報員の妻として選ばれたのか、という問いに、彼女はこう答える。
「私が文字を知らないからよ」
2人は上司夫妻の信頼を得るが、常に監視され、危機に陥ることも。

2年の共同生活で、彼らは夫婦の営みを行わない。
しかし別れの場面では2人の情が伝わってきて目頭が熱くなった。
最後、翠平の諜報員としての活躍を思い浮かべると切なく、やりきれなさを感じる。

舒淇は、野卑な姿も着飾った姿も想像できて、翠平役にぴったりに思える。
梁朝偉については、原作の主人公よりだいぶ年長であるところが気になるが、
現代も映し出すとすれば適役だろう。

今まで読んだり観たりした国共内戦の物語では、敵方の国民党を非難するものが多かった。
しかしこの作品には、国民党や国民党員を非難する展開はない。
共産党と国民党は、あくまで味方、敵方の関係として描かれている。
そうした扱い方は、映画『戦場のレクイエム』やドラマ『特殊使命』と共通している。
物語では、主人公余則成がずば抜けた忍耐力で、諜報員としての任務を全うする姿を通し、
共産党に対する限りなく高い忠誠心を賞賛する。
やはり共産党を誇りとしていることに変わりはない。
相手を落とさず、味方を高い境地に引き上げる手法だ。

彼は諜報員として選ばれた時点で、平凡な人生を放棄している。
夫婦と言えども、妻翠平には情を持たせないように、また自身も持たないように、
感情をコントロールし、これをやり遂げた…はずだった。
最後の最後で、翠平に『必ず戻ってきて』と言わせてしまうのだ。計算外である。
彼は揺れる。しかしきっぱりと『戻れない』と言うのだ。
後年、作者の前に現れた余則成は、30年後(70年代末か80年初頭)にようやく
国民党から離れたと語る。
彼がどれだけ辛酸を嘗めてきたかは、想像を絶する。

さて、映画では原作で余則成が語る「翠平死亡説」を否定してくれないだろうか。
作者、龍一氏の希望的観測を是非とも実現してほしい。
2人が劇的な再会を果たす場面を、今から妄想している私である。(笑)

赤い鞄~チベット秘境モォトゥオへ~

20091108

 
2003年/中国/1時間33分(レンタルDVD)
監 督  哈斯朝魯(ハスチョロー)
原 題  心跳墨脱 / Stirring Trip to Mutuo
出 演  孫 敏(スン・ミン)  博 弘(ボオ・ホン)
     多布杰(ドゥオブージエ)
     白馬曲扎(パイマーチュエッツァ)
     李 明(リー・ミン)  旺 姆(ワン・ムー)




<あらすじ>
チベットの秘境、メンパ族の住むモォトゥオに、私財を投じて小学校を建てた老人がいるという。上海の記者ワン(孫敏)はそのトウションという80歳近い人物に惹かれ、取材するためにチベットへ赴く。彼は子供たちに贈る赤い鞄を詰め込んだ荷物を持って、モォトゥオを目指すが、自動車道路がないその地までは徒歩で行くしかない。ワン記者に同行したのは、トウション氏のペースメーカーを点検するために派遣されたリー先生(博弘)、地元の校長(多布杰)、その娘ヤンツォン(旺姆)、荷担ぎの少年(白馬曲扎)、荷担ぎの雇い主(李明)たちだ。モォトゥオ到着までの6日間、一行は悪戦苦闘を重ねる。
以下、ラストに関するネタバレを含みます。

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ブンブン堂のグレちゃん

20091106


著 者:グレゴリ青山

刊 行:2007年9月
    (2003年古書情報誌『彷書月刊』連載分
     +書き下ろし)

出版社:イースト・プレス







<内容、感想など>
職場の方に借りて読んでいくうちに、どうしても手元に置きたくなって、
とうとう買ってしまいました。
大きな本屋さんで探すのに苦労した、貴重な一冊です。

副題は「大阪古本屋バイト日記」。
80年代半ば、著者18~19歳当時にアルバイトをしていた古書店周辺のドラマを、
50ほどのマンガと12のコラム、さらに著者自身の絵や写真で、紹介しています。
場所は大阪の古書店街。入札に関する裏話も興味深いです。
読みながら無性に行きたくなりました。

著者は、作中では「グレ山グレ美」の名で登場、愛称は「グレちゃん」。
昼は古書店「ブンブン堂」で働き、夜はデザイン専門学校に通う、頑張り屋さんです。
表面的には「ゆるキャラ」ですが、古書店主から仕事のイロハを教わる様子、
他店が工夫しているところ(掃除用具、補修用具など)を観察する眼からは、
真摯な態度がうかがえます。

グレちゃんの眼から見た古書店街には、個性的な店舗と人々がひしめきあって、
とってもエキサイティング。
ブンブン堂のご主人、息子のブン蔵クン、隣のラタラタ書店さん、ポンポン書房の佐藤さん。
その他、大勢の方々がグレちゃんの前に現れます。
私の目から見たら、きっと皆さんごく普通の方なのだと思います。
でもグレちゃんの遊び心と鋭い観察眼が入り込むと、ご主人は主役(グレちゃん)を
食うほど濃い存在で、ブン蔵クンはプラモ狂で、ラタラタさんの髪の毛と心はいつも
飛んでいて、佐藤さんは突然女優になり…という具合に、それぞれの本質(?)が
露呈するのです。

さてグレちゃん自身はどんな顔をしているのでしょう。
漫画では横に広い鼻、点のような目、分厚い唇が強調されていますが…。
写真を拝見したくなりました。

10代のグレちゃん、30代後半のラタラタ書店さん、40代の佐藤さんの3人が
京都へ行くお話。
はたから見れば一緒にいるのが不思議なくらい「違う」3人だそうですが、
甘味屋さんではお喋りに熱中。話題は「シブい趣味」。
それぞれ古本屋さん勤務だけあって、レトロな人や物に夢中になるのだそうです。
その気持ち、私もよくわかるなあ。

グレちゃんは時々妄想の旅に出るようです。例えばフランス文学者の生田耕作氏。
いつも黒いマントを羽織って登場しますが、そのたびに「実際は着ていません」との
但し書きが。グレちゃんの中ではマントを着ているイメージなのだそうです。
その感覚もよくわかる! 私も自分の中だけで勝手に描いている人物像があります。
また、歩きながら小説の世界に入っていったり、一人で会話してニタニタしたり…
危ないぞ、グレちゃん。でも私もそういうことがよくあります。 私こそ危ない!

ちょうど私が中国へ行った1987年、グレちゃんは鑑真号で中国へ行ったのだとか。
もしかしたらどこかですれ違っていたかも!!
興味深いのは、大連の古本屋さんの写真。
中国での2年間、古書店の存在を知りませんでした。知っていれば行ったでしょう。
自分の興味ある場所をかぎつけて足を運ぶグレちゃん。そういう嗅覚と行動力、
私も持っていたいです。

何回読んでも笑える一冊です。

 

堂場瞬一『灰の旋律』

20091102



 出版社:PHP研究所



 刊 行:2009年6月




<あらすじ>
私立探偵真崎薫の元に捜索依頼が舞い込む。依頼主はレコード会社の中山秋穂。音楽プロデューサー矢吹調が、新人バンドのレコーディングを放棄して行方をくらましているのだという。真崎はバーで矢吹を発見。酔った勢いでトラブルを起こし怪我を負った彼を自宅で介抱する。その後、真崎は矢吹から元バンド仲間の平島を探してほしいと頼まれる。矢吹、平島、石丸、上田、金井のメンバーで結成されたYBCは、40年前一世を風靡したが、すぐに表舞台から遠ざかった。金井はすでに故人だという。矢吹と付きあうのは骨が折れるが、真崎はなぜか彼を放っておけない。そして親近感さえおぼえるのだった。

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海堂 尊『外科医 須磨久善』

20091101

     


 出版社:講談社



 刊行年:2009年7月





<内容・感想など>
心臓外科医、須磨久善氏の半生をたどった評伝である。
文章には、海堂氏の須磨氏に対する熱烈な思いが込められており、読み終わったときには
自然に須磨氏への尊敬の念が植えつけられていた。

須磨久善氏は日本で初めてバチスタ手術を手がけた人物であるという。
第一部では、「心臓外科医、須磨久善の旅」と題して、1992年41歳当時のブリュッセルに
おける公開手術に始まり、時代を前後しながら、医療にかける氏の熱意をありのままに
描いている。
海堂氏の須磨氏に対するインタビューをもとにしているというが、面白いのは、
著者である海堂氏がほとんど須磨氏になりきっているところだ。
「須磨は…と考えた」などと、実在の人物を小説の主人公に置き換えた表現方法を
とっている。
これまでの作風に慣れているからか、あたかもその主人公が海堂氏本人のように
思えてくるのである。
作者が須磨氏に惚れ抜いていることの表れとも言えるだろう。

第二部「解題 バラードを歌うように」では、海堂氏原作の映画『チーム・バチスタの栄光』の
監修を引き受けてくれた須磨氏への感謝の気持ち、さらに映画でのエピソードが
語られる。
桐生役の吉川晃司が役柄に真摯に取り組み、手術シーン(特に外科結紮<けっさく>)の
勉強を重ねた様子などが興味深かった。
原作も読み、映画の出演者も知っているので何となく観た気になっていたが、
まだ鑑賞していないことに気づいた。(笑)
やはりいつか観よう。

字が大きく、文体も歯切れよく、読みやすい一冊。
眼鏡をかけた丸顔の須磨氏は、柔らかな微笑みが魅力的だ。
ますますのご活躍を!!

プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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