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三城記

20160828

sanchengji3.jpg

2015年/中国/2時間11分(レンタルDVD)
監 督  張婉婷(メイベル・チャン)
原 題  A Tale of Three Cities
出 演
劉青雲(ラウ・チンワン) 湯 唯(タン・ウェイ)
秦海璐(チン・ハイルー) 井柏然(ジン・ボーラン)
黄 覚(ホァン・ジュエ) 金燕玲(エレイン・チン)

<あらすじ>
第二次大戦中、国民党の特務であるフォン・ダオロン(劉青雲)は妻を亡くし、父親(李建義)、幼い2人の息子たちと葬儀を執り行う。そこに現れたのが、以前アヘン密売を見逃したチェン・ユエロン(湯唯)。亡き妻の従姉妹だという彼女は、夫亡き後、母と2人の幼い娘たちと暮らしていた。やがてダオロンとユエロンは惹かれあい、互いに結婚を意識する。

ある事件がきっかけで、ユエロンは安徽省蕪湖の故郷を離れ、シャオリン(秦海璐)と共に上海で暮らすことになる。ダオロンは命の恩人ともいうべきアホワ(井柏然)と、ユエロンを探しに上海へ。撃たれて重傷を負った彼を、ユエロンが偶然救い、2人は再会を果たす。

国共内戦が激化する中、国民党の撤退を知ったダオロンらは、香港行きを決意。そんな時アホワが命を落とし、恋人であるシャオリンは半狂乱に。ユエロンは母や娘たちを置いて行けないとダオロンに告げる。彼は一人香港に渡り、調理人をしながら彼女の到着を待つのだった。

<感想など>(ネタバレしています)
レンタル店の新作コーナーで目に留まった。劉青雲と湯唯が主人公って、親子?と思ったら夫婦である。そして何とジャッキー・チェンの両親だという。最初のうちは、この組み合わせが想像できなかったのだが、だんだんとお似合いになっていった。

物語は「歴史に翻弄される民衆」の視点で描かれる。歴史もの言えば為政者の立場が中心のケースを多くみてきたせいか、初めのうち、ダオロンの「国民党の特務」がどのような扱いなのかがとても気になった。しかし、彼がこの任務についたのも主義主張ではなく金銭の必要に迫られて、のようだ。また、後にアホワがダオロンの輸血費用を工面するのに共産党の仲間から借金をしたというくだりもある。制作側の立場はあくまで中立であると分かった。なお、アホワがどんな人物だったのかは最後まで不明。(それとも語られている場面があったか?)シャオロンと人生を共にできなかったのもまた運命なのかも…と考えると、2人に助けられたダオロン、ユエロンの幸運を思わずにはいられない。

悲惨な戦乱を背景としたダオロン、ユエロンのラブロマンスには、手に汗を握った。「ジャッキーの親」という予備知識がなければもっとハラハラドキドキであろう。ダオロンは、いったいどれだけ生命の危機をくぐりぬけたことか。芸達者で銃撃にも長け、情にも厚いその姿はまさに時代のヒーロー。一方のユエロンは生き抜くための術を備えた芯のある女性で、迫力がみなぎっている。2人が舞台に上がる場面もあり、波乱万丈は劇の続きであるような感覚だった。

終盤でジャッキーの誕生が小さな新聞記事を通して語られる。作品中での彼の情報はこれだけである。ここでようやく、彼が、苦難の末香港に渡った2人から生まれたと知った。(長い間ジャッキーは一人っ子だと思っていたと他の情報で知った。)再婚前の両親が大陸に残してきた息子たち、娘たちと再会できたのが38年後とのこと。悲しい別離の方に比重を置いた作りであると感じた。

父の帰りを待ちわびて、汽車を追いかける男の子たちの姿に、思わず涙してしまった。
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タイガー・マウンテン‐雪原の死闘

20160705

タイガーマウンテン

2014年/中国/2時間22分(レンタルDVD)
監 督  徐 克(ツイ・ハーク)
原 題  智取威虎山The Taking of Tiger Mountain
原 作  曲波「林海雪原」
出 演
張涵予(チャン・ハンユー)梁家輝(レオン・カーフェイ)
林更新(ケニー・リン) 余 男(ユー・ナン)
佟麗婭 (トン・リーヤー) 陳 曉(チェン・シャオ)
韓 庚 (ハン・ギョン) 蘇翊鳴(スー・イーミン)

<あらすじ>
1947年の中国東北地方。行軍中の人民解放軍203部隊は、「ハゲワシ」の異名をもつ匪賊(梁家輝)の配下が村を襲撃していることを知る。隊長(林更新)は、揚子栄(張涵予)のアジト潜入を許可。以後、威虎山(タイガー・マウンテン)の情報収集につとめる。父を失い母(余男)が行方不明の少年、栓子(蘇翊鳴)は、はじめのうち反抗的だったが、203部隊の面々に見守られながら少しずつ心を開いていく。

<感想など>
全く予備知識のないまま鑑賞。まず、プロパガンダ的な場面に戸惑った。やがてハゲワシのアジトが出てくると感覚が一変、既視感をおぼえた。匪賊たちの奇抜なメイクや服装、仰々しい建物から、同監督の以前のアクション作品が思い浮かぶ。それにしても共産党と徐克(ツイ・ハーク)。どこか相容れないものを感じてしまう。

鑑賞が終わり、監督や俳優たちの談話が収録された特典映像や資料を見て、ようやく背景が分かった。原作は曲波の「林海雪原」で、すでにさまざまな舞台、京劇の演目になっているとのこと。徐克は長年この作品の映画化をあたためてきたと言い、張涵予は揚子栄を自分以上に演じられる役者はいないだろうと豪語している。彼らの「智取威虎山」への思いが伝わってくる。

特典映像の中で興味深かったのは徐克が語っていた梁家輝の起用についてである。実は私はエンドロールまで梁家輝に気づかなかった。監督が「絶対に梁家輝だと気づかれるな」と命じたそうだから、まさに「作戦成功」と言えるだろう。

ところで現代の部分はオリジナルとのこと。アメリカから帰国した若者(韓庚)が古い絵を見ながら思いをはせる場面が所々に挿入される。そんなところから、過去の登場人物の誰かが、彼の祖先だろうと見当をつけた。(それは当たった。)ただ、この「現代」の必要性が、あまり感じられなかった。監督が特に力を入れた場面の一つは、楊子栄が彼の曾祖母を救い出した別バージョン、すなわち飛行機が建物内をぶつかりながら走行するシーンだと思う。その説明をするために現代の人間が必要だった、なんて勝手に考えてしまった。

ともかく、やはり一番印象に残るのは、智謀と瞬時の判断力、そして厚い義侠心をもつ楊子栄の雄姿だ。敵味方にかかわらず崇拝されそうなカリスマ性が、全身にあふれていた。水滸伝の宋江が重なるのも張涵予が演じていたからだろうか。本編、特典映像ともに、自信満々な張涵予の姿が、いつまでも頭に残る。

特典映像の感想が中心になってしまった。先にこちらを見てから鑑賞したらまた違う感覚になっていたかも知れない。

いつか、また

20160419

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2014/中国/1時間44分(レンタルDVD)
監 督  韓 寒(ハン・ハン)
原 題  後會無期 /The Continent
出 演
馮紹峰(ウイリアム・フォン)陳柏霜(チェン・ボーリン)鍾漢良(ウォレス・チョン)
王珞丹(ワン・ルオダン) 袁 泉(ユエン・チュアン) 陳喬恩(ジョー・チェン)

<あらすじ>
東端の島で育った3人は、ハオハン(馮紹峰)の車で大陸横断の旅に出発。彼には会いたい人がいた。3人のうちの1人で西方の学校に赴任するジャンホ(陳柏霜)の見送りも兼ねている。途中、ジャンホは、ホテルの部屋に飛び込んできたコールガール(王珞丹)に気持ちが傾き、彼女の逃走に手を貸す。そのとき弟分をホテルに置き去りにして、以後は2人の旅に。ハオハンはフロントガラスと貼り付けておいたお札を盗まれたり、文通相手(袁泉)から衝撃の事実を聞かされたりと、波乱続きだ。その後アロ(鍾漢良)という青年を同乗させたことから、彼らはさらに大変な目に遭う。

<感想など>(ネタバレしています)
本作品も鍾漢良目的。でもなかなか出てこない。首を長くして待っていると、中盤でついに登場!おおっ、喬峯(蕭峯)だ!かなり似ているぞ!先日観た「更年期的な彼女」のエリートよりはこちらの方がずっと自然体。しかも、亡き妻の似顔絵を貼り付けたヘルメットを持ち歩く彼は、阿朱を想い続ける蕭峯そのもの。私の考えすぎだろうか?それにしても去り方は最悪だったな。(笑)

他にもジャ・ジャンクー監督が登場したり、ロケットが飛んで行ったりと、パロディ的な描写に気づいたが、このように制作側の遊び心が反映された場面はもっとあったのかもしれない。

さてこの作品、馮紹峰、陳柏霜の2人が演じるちょっと間の抜けた青年たちが実質的な主人公。笑える場面は多い半面、意味不明なところが気になる。弟分はいったいどうしたのか。そこで要所要所を再鑑賞。すると、最初の部分は、弟分の2人に対する想いであるとわかった。なお、あの旅は作家となったジャンホの作品の一部とも、ハオハンの思い出話とも受け取れる。現実とも、非現実ともはっきりしないまま物語は終わる。

以前、NHKラジオ中国語講座のテキストに載っていた韓寒作「1988我想和这个世界淡淡」(一部)が面白く、全編を通して読んだことがあった。映画はこれを部分的に借りたり、改編したりした印象だ。小説の主人公は、映画のハオハンやジャンホのキャラクターを併せ持っている感じがした。熱しやすいハオハンとぬぼーっとした風貌のジャンホは絶妙のコンビ!!途中、仲良しトリオ誕生!となるのを期待していたのに…。

さて、観終わった今、頭の中を「これっきり これっきり もう これっきり~ですか~♪」という、かの懐メロのフレーズが駆け巡っている。最初、「後會無期」が「いつか、また」では、意味が反対では?と思った。でもラストから最初に戻ったら、なるほど~と。厳密にいえば「後會無期?」かな。

更年期的な彼女

20160410



2014年/中国/1時間38分(劇場で鑑賞)
監 督  クァク・ジェヨン
原 題  我的早更女友
英 題  Meet Miss Anxiety
出 演
周 迅(ジョウ・シュン)佟大為(トン・ダーウェイ)
鍾漢良(ウォレス・チョン)張梓琳(ジャン・ズーリン)

<あらすじ>
チー・ジア(周迅)は大学の卒業式にウェディングドレス姿で参列し、交際しているリウ・チョン(鍾漢良)にプロポーズする。ところが思いがけず大勢の前で断られ、それ以来、まだ20代だというのに更年期の症状に苦しむようになる。そんな彼女を支えているのが親友のリン・シューアル(張梓琳)と、大学の同級生のユアン・シャオオウ(佟大為)。ユアンは偶然、彼女たちの家に居候するようになり、チー・ジアに献身的に尽くす。

<感想など>(完全ネタバレです)
予想はしていたが、まさか祝日の昼過ぎで観客がたった2人とは…。しかももう一人はエンディングの前に帰ってしまった。華原朋美の歌はよかったのに。

今回の鑑賞目的は鍾漢良(ウォレス・チョン)。「新・天龍八部」で彼の演じる喬峯(蕭峯)に夢中になってしまい、現代劇ではどうなのだろう?と興味津々で劇場へ。今まで鍾漢良出演作は観ているはずなのにほとんど印象にない。ところが今回も影が薄かった。本作で光が当たっているのは周迅と佟大為。鍾漢良は優等生的なセリフで周迅をバッサリ切った後は、結婚式のシーンまでほとんど登場せず。でも背が高く細身だということは分かった。(意外だ。)思い返せば前バージョンの天龍八部でも喬峯(蕭峯)役の胡軍に熱を上げた私。役柄って本当に大事だ。

おっと、わき道にそれてしまった。
この作品は珍しく吹き替え版のみの公開。周迅の声は藤原紀香が担当。あのハスキーボイスに慣れているだけに、最後まで吹き替えに違和感があった。主人公の役柄は20代だが両女優ともアラフォー、しかも作品が出来上がった後に両者とも結婚、という話題で、違和感も多少解消された気がする。

さて主人公はチー・ジアなのだが、最後の最後で、この物語は彼女に尽くし続けたユアンを語っているのでは?と思い、納得した。
最初は話の展開に疑問を感じていた。ユアンがチー・ジアにあれほどまで尽くす意味が分からなかったのだ。突然、成り行きで居候を始める彼が、まるでチー・ジアに出会うために「そこにいた」ような感じがしてならない。ではなぜ?その疑問が最後まで続いた。やはりあの回想は不可欠である。

ところでまたまた脱線するが、これの後にケヴィン・コスナー主演の「ボディーガード」をTV録画で観て、クライマックスの○○シーンがが全く同じカメラワークだ!と、素人ながら思った。(目が回る~)ほかにも同様の作品はあるのだろう。こういうシチュエーションを数多く見てしまうと、個人的に盛り上がりに欠けるかもしれない。

周迅のショートパンツ姿がキュートで、引き締まった足に見入ってしまった。(羨ましい!)佟大為は以前よりもかなりシャープになった印象。鍛えているのだろう。二人とも、実年齢よりかなり若い役でも違和感なく見せるところはさすが。今度はDVDか何かで字幕版を観たい。

北北東

20141108

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2014年/中国/1時間53分(東京国際映画祭で鑑賞)
監 督  張秉堅(チャン・ビンジエン)
原 題  東北偏北
英 題  North by Northeast
出 演  
班 賛(バン・ザン) 李 濱(リー・ビン)

<あらすじ>
1970年代末。中国東北部の農村で連続レイプ事件が発生。警察の李隊長(班賛)は犯人逮捕に向け、靴型を取ったり部下を配備したりと奮闘するが解決に至らない。一方、村一番の種付け名手、蔡(李濱)は中国医学の知識を生かして推理を試みる。そんなとき、婚約中被害に遭った女性が離縁され自殺未遂するという事態が起こる。李は村内外から応援要員を募り、深夜に待ち伏せする計画を立てる。

<感想など>
1970年代末といえば遠い昔で、映し出される風景も前近代的である。でも物語自体には新鮮味を感じた。中でも「滑稽で失敗続きの警官」というキャラクター設定は珍しく、老婦人とのかけあいも楽しめた。追う側をあざ笑うかのような犯人の行動と周囲の反応が、事件の凶悪さを和らげている。

李隊長の捜査に何かと文句をつける蔡コーチ。文革中この地に下放された、いわば「よそ者」なのだが、牛の種付けで成果を上げた今は長老の風格だ。「コーチ」の呼称が人柄を表していると思った。すでに名誉回復も果たして都会で教授の身分も保証されながら、凶悪犯が捕まらないことには村を離れられない。李隊長とは丁々発止のやり取りを繰り広げるが、その裏には若者に対する深い愛情がうかがわれた。

犯人は俊足である。暗闇の中でうねる背中の筋肉が飢えた野獣を思わせ、お腹が突き出た李隊長とは正反対。観ている自分の方が、半ばあきらめてしまっていた。身の丈もある草むらを疾走する姿に、一体どんな奴なんだ?と好奇心がうずく。さてその犯人が明かされた時は、狂気をはらんだ彼の言動に身が凍りついた。蔡と李がドラマの中心だが、この人物も要必見。最後まで謎が解き明かされない展開はスリリングだった。

ラストシーンからは、科学的根拠を追及してきた彼女が、李隊長の愚直な捜査も認めている様子がうかがわれた。

蔡コーチ役の李濱は85歳で現役。中国の役者では最高齢とのこと。牛を追い回したり夜道を走ったりと、身体を張った演技に魅了された。背筋をぴんと張って闊歩する姿は本当にかっこいい。新たな作品に出演するなら彼女目当てで鑑賞しよう!!

So Young ~過ぎ去りし青春に捧ぐ~

20140917

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2013年/中国/2時間12分(劇場で鑑賞)
監 督  趙 薇(ヴィッキー・チャオ)
原 題  到我们终于将逝去的青春
出 演
趙又廷(マーク・チャオ) 楊子姍(ヤン・ズーシャン)
韓 庚(ハンギョン) 江疏影(ジャン・シューイン)
劉雅瑟(リウ・ヤーソー) 張 瑶(チャン・ヤオ)
包貝爾(バオ・ベイアル) 鄭 愷(チェン・カイ)
王嘉佳(ワン・ジアジア) 

<あらすじ>
理工大学に合格したチョン・ウェイ(楊子姍)は、憧れの先輩リン・ジン(韓庚)に会えるとあって大喜び。ところが彼は海外留学中でウェイは落ち込む。しかし個性豊かなルームメイトたちとすぐに意気投合、キャンパス生活も軌道に乗っていく。そんな中、彼女は無骨な学生シアオチョン(趙又廷)に恋をする。猛烈なアタックを繰り返し、何度も露骨に拒否されるウェイ。でもついにシアオチョンの気持ちをつかみ、2人は公認の仲に。
やがて楽しい日々も卒業とともに終わり、仲間たちはそれぞれの道を歩むのだった。

<感想など>
最近の鑑賞には回顧ものが多い。そういう作品が自分を呼び寄せているのだろうか。

チラシには「『建築学概論』『あの頃、君を追いかけた』に続く〈初恋〉ムービー…」とある。確かに昔を振り返って“If…”と問う点では共通しているかもしれない。けれども希望が見える前者、笑いを誘う後者に比べ、本作品はあまりにも重い。前半のノリのよさ、バカ騒ぎから一転、後半は暗くて、やりきれなさばかりがつのる。

時代は1990年代。多くが学生寮の場面だ。私が中国にいた頃より数年先で、全体的にはかなりカラフルな感じがした。でもズラリと並んだ魔法瓶、電熱器のエピソード、二段ベッドの配置などなど、懐かしい光景は多い。机上には私も持っている「楷書大辞典」。壁には「ロアン・リンユィ 阮玲玉」のポスター。(鑑賞したのはずっと後だがなぜか懐かしい。)一瞬の光景に目を奪われる。

主人公を取り巻く仲間たちの描写も細やかだ。明るく勝気なウェイを通して、それぞれが鮮明に映る。マドンナ的存在のルアン(張疏影)は、穏やかな外見と葛藤が渦巻く内面とのギャップが大きくて、見ているのが辛い。潔癖症だったウェイジュアン(張瑶)は三枚目的存在で和ませてくれる。ボーイッシュなシャオペイの顛末には仲間たちとともに心配せずにはいられなかった。いつしか自分もルームメイトの1人になった気分。

実は前半、主人公のストーカーのような行為にはドン引きしてしまった。頭の中にはレンアイ以外ないのかよ!と。でも、そういう単純なキャラクターとして描かれたからこそ、後半の重さが生きてくるのだと気付いた。仕事で疲れて帰宅した彼女は、散らかったワンルームで足を投げ出している。大勢の前で「紅日」を熱唱したあのパワーはどこへ行ったのだ!!

数年後2人は再会するが、もちろん元に戻れるわけがない。でも今になって別の考えも頭をよぎる。最後にシアオチョンが打ち明けたあの話。再スタートを切るために言ったと解釈するのはダメだろうか。

私は最近、物語を無理にでもハッピーエンドにしたくてたまらないのである。

ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪

20140813

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2013年/中国・香港/2時間13分(劇場で鑑賞)
監 督  徐 克(ツイ・ハーク)
原 題  狄仁杰之神都龙王 
英 題  Young Detective Dee: Rise of the Sea Dragon
出 演  
趙又廷(マーク・チャオ) 馮紹峰(ウィリアム・フォン)
林更新(ケニー・リン) 胡 東(フー・ドン)
楊穎Angelababy(アンジェラベイビー) キム・ボム
劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 陳 坤(チェン・クン)

<あらすじ>
唐朝末期の洛陽。判事ディー・レンチェ(趙又廷)は、水軍艦隊襲撃事件を調べる中で、美しい花魁イン(アンジェラベイビー)の誘拐事件に遭遇。司法長官のユーチ(馮紹峰)、医者のシャトー(林更新)らと捜査を進めるうちに、インのもとに現れる“怪物”の正体が明らかになる。“怪物”はシャトーの師匠(陳坤)により元の姿と心を取り戻し、ディーたちに経緯を説明。3人は唐朝転覆を狙う東島の組織を追い始める。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
判事ディーの謎解きというよりは、怪物との闘いがメインだ。前半は半魚人(私にはカエルに見えたが)や謎めいた男たちとの追いかけっこ。後半は切り立った崖での東島の首領(胡東)VSディー、ユーチ、シャトーの“落としあい”と、海龍討伐大作戦。めまぐるしく変わる場面についていくのもやっとの状態だ。

でもテンポの速い物語に、細かい人間模様が垣間見えるのがいい。ユーチは功を立てなければ死罪になる立場。力ではだれにも引けを取らないが、ディーの先手を打とうとする卑小さが目立っておかしい。最初は彼が裏切り者かと思ったが時間の経緯とともに接近していく。シャトーは騙されたような形でディーの協力者になるが、やがて彼を厚く信頼するようになる。利害の絡んだ3人組が最後にまとまる展開は王道といえるかも。

先日ゴジラを見たからか、今回のシードラゴンが小粒に見えて仕方なかった。でもCG作品としては絵柄も物語もゴジラより堪能できた。則天武后(劉嘉玲)に威圧されたのだろうか。(笑)カエルの怪物よりも、シードラゴンよりも、則天武后のとんがり眉山の方がはるかに怖かった。時代を経た前作の時と全く変わらないお顔…。つまり不老の人なのだ。ディーの眼には、美しいインではなく、おどろおどろしい則天武后が映っているようだ。これからどのように気持ちが変化していくのだろう…。

ドラマでよく見る3人(馮紹峰、林更新、胡東)の登場は嬉しかった。胡東の場合はエンドロールを見るまで彼だと分からなかった。さすが役者。馮紹峰は項羽のような悲劇のヒーローも似合うが、今回のように劣等感や焦りを抱えた人物でも魅せてくれて、別の面を見た思いだ。

前回と今回の間の設定で、ぜひシリーズ作品を作ってほしい。出演者は両作品で活躍したオールキャストで。となると、ディーを演じるのはどちらだろう。あるいはまったく別の役者?

まあ、何でもありの作品だから、多少の矛盾は許されるでしょう。というわけで心は勝手に次回作を思い描いている。(笑)

危険な関係

20140124

weixianguanxi2.jpg

2012年/中国/1時間50分(劇場で鑑賞)
監 督  ホ・ジノ
原 題  危険関係
英 題  Dangerous liaisons
原 作  ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ『危険な関係』
出 演  
章子怡(チャン・ツィイー) 張柏芝(セシリア・チャン)
チャン・ドンゴン  竇 驍(ショーン・ドゥ)
盧 燕(リサ・ルー) 王奕瑾(キャンディ・ワン)

<あらすじ>
1931年の上海。敏腕実業家のジユ(張柏芝)は、名うてのプレイボーイ、イーフェン(チャン・ドンゴン)に危険な賭けを持ちかける。奉仕活動に献身するフェンユー(章子怡)をくどき落としたら、自分との結婚を承諾するというものだった。今も想い続ける初恋の人、ジユの言葉に揺れ動き、イーフェンは祖母(盧燕)のもとに身を寄せるフェンユーに近づく。しかし亡き夫を忘れられない彼女は彼を見ようともしない。やがて、イーフェンは自分の本心を見失い、フェンユーも頑なに閉ざしていた心を開き始める。

<感想など>(ラストに関するネタばれを含みます)
原作も過去の映画作品も知らず、主演三人だけをチェックした状態で鑑賞。
大して期待していなかったが、予想に反して最後まで集中力が持続、興奮覚めやらぬという感じだ。いやあ、面白かった!でも途中で後方から「原作と違うからがっかり」なんていうつぶやきが聞こえてきた。(うるさいっ:怒)白紙状態だからこその新鮮な感覚、キャスティングの絶妙さで、個人的には高評価をつけている。

始まって早々、章子怡、張柏芝の役柄は逆の方が自然ではないか、と感じた。お堅い未亡人を張柏芝、賭けを持ちかける<悪女>を章子怡、というように、だ。役者に対する先入観は意外に強い。

でも物語が進むうちにそんな想像が消えていった。思いがけない回想が頭をよぎったからだ。章子怡演じるフェンユーと、『初恋のきた道』のヒロインが重なるのである。大好きな先生のためにシャオビンを入れた籠を持って走る彼女は、15年ほどの時を経て、イーフェンのために料理の入った包みをかかえるフェンユーとなっていた!?こんな妄想が始まると、フェンユーに肩入れするしかない。逆に、賭けを持ちかけたジユの性悪さに我慢ならない。こんな嫌われ役を演じた張柏芝には拍手したい。

もう一人、過去の鑑賞作品と重なるのが、美術教師を演じる竇驍。『サンザシの樹の下で』の彼が、彼女を大切にしたように、本作のウェンジョウもベイベイ(王奕瑾)を心から慈しむ。二人の泣きながらかわす会話が、もうメロメロで、やり過ぎに見えなくもないが、後で彼の起こす行動につながると思えば、一見の価値あり!性悪女ジユに、ますます憎しみがつのる。(笑)

チャン・ドンゴンの出演を知っていたから、最初の気取ったチャラ男が彼だとわかったが、そうでなければ「何者?」と思うだろう。それほどまでに、これまで見たことのあるチャン・ドンゴンとは別人だった。逆三角の顎が全く彼らしくない。ファンユーに恋焦がれて憔悴しきった顔と、そんな気持ちをひた隠し冷血漢を演じている顔が圧巻だった。

ファンユーが自分の道を歩んでいくラストは後味が良かった。
原作がどうあれ、本作品はこのストーリーがベスト。

今度は女優二人の配役を逆にした作品を観たい。そうなれば『心願』の彼女が脳裏に現れるかもしれない。

春夢

20131204

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2012年/中国/1時間38分(中国インディペンデント映画祭で鑑賞)
監 督  楊荔鈉(ヤン・リーナー)
原 題  春夢
英 題  Longing for the Rain
出 演  趙思源(チャオ・スーユエン)薛 紅 (シュエ・ホン)
     唐志中 (タン・ジーチョン)

<あらすじ>
ファン・レイ(趙思源)は夫、娘と北京の高層マンションで暮らしている。家族の世話に家事、時には四合院に住む認知症の義母の介護などをこなす日々だ。ある日、彼女は見知らぬ男性(唐志中)と関係を持つ夢を見てから、それが続くようになる。友人(薛紅)の勧めで占い師に悪霊払いをしてもらうが、彼女は占いには否定的だ。後日、彼女は車の中で娘を寝かしつけてウトウトしているうちに、また例の夢をみる。ところが目覚めると、寝ているはずの娘の姿がなかった。

<感想など>
ミステリアスな展開に目が離せなくなり、最後まで夢中になって観た。面白かった。こういう作品ではつい分析したくなる。なぜあんな夢を見るのか、夫に不満だからか、変化のない生活だからか、夢の中からあの男が消える日が来るのだろうか…などと。けれども知りたい結果、結論は、どんどん遠ざかっていった。

夫に不満なのは確かだろう。妻よりもゲームの方に夢中で、家の中では完全に子供化している。でも外ではきちんとした社会人(だと思う)。家族が豊かな生活を送れるのだからと、自分を顧みることはなさそうだ。こういう男は珍しくないだろうな。

姉御肌の友人がまたおもしろい。でも時折、彼女の仕組んだ罠では?という疑念が頭をよぎる。もし夢の中の男を邪魔者扱いしなければ、彼女は現実と夢とのバランスを保って、ずっと安定した気持ちでいられたかもしれない。あの友人は、嫉妬に似た感情から、いい夢ぶち壊してやろう、なんて一瞬でも思ったのかも。深読みしすぎているかしら…。

住まいは瀟洒なマンション、移動手段は自家用車、お買いものはスーパーマーケット。限られた人としか接しなかった彼女が、寺の宿泊所でさまざまな女性たちと出会い世界が広がる。それが冒頭だろう。いろいろな人がいる、というごく当たり前のことを、あらためて感じている、といった表情だ。

女性監督ならではの官能シーンには共感できた。ゆらゆらした画面にこちらまで夢見心地になる。(笑)終盤になって、夢の中の設定がなんとなく現実味を帯びているように感じられた。夢の続きが観たい気持ちに駆られた。

卵と石

20131203

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2012年/中国/1時間41分(中国インディペンデント映画祭で鑑賞)
監 督  黄 驥(ホアン・ジー)
撮 影  大塚竜治
原 題  鶏蛋和石頭

<内容・感想など>(ネタバレを含みます。)
農村の少女、紅貴が主人公。彼女は、両親が都会に働きに出ている7年間、叔父夫婦のもとで生活している。

そんな紅貴の身に降りかかった災難は筆舌に尽くしがたい。観るのが辛くなっていつ退出しようかと機会をうかがっていたほどだ。彼女は、幼なじみの少年阿九と一緒のときだけがかすかな笑顔を見せるが、あとは終始苦渋に満ちた表情である。10代なかばといえば、いろいろな能力が開花し、伸びる時期。そういう年頃に、こんな苦しみを背負わなければならないとは…。言葉が後に続かない。

男性の欲望のはけ口か、と思っていたら、叔母の意図があったとわかり、さらに愕然とした。

映像にその場面が映し出されるわけではないが、少女がベッドで防御を固め、足音にビクビクする場面を見ると、おぞましさが増幅されて、どうにもやりきれなくなる。彼女の悲痛な叫び、全身から発する嫌悪感を、観客は否応なくたたきつけられる。物語が進むにつれこちらの苦しみも増す。象徴的な場面も多く、理解に苦しみ、観終わったらどっと疲れた。

しかし、そんな苦痛もトークイベントで救われた思いだった。
監督は何と、上映前ロビーで歓談していた赤ちゃん連れの女性だった。撮影スタッフである日本人の旦那さんも一緒だ。
驚いたのは、自身の体験をモチーフに、旦那さんと一緒に作り上げた作品だということ。忌まわしい記憶を掘り起こす作業は、なんとも想像しがたいが、その特異な体験を表現するための監督業、と考えると、その決意、意志の強さには頭が下がる思いだった。

主演の方から監督に台詞のダメ出しがあって、熱く語り合いながら台詞を練り上げていったという話も興味深い。思い返せば、主演の少女は意思が強そうで、バネがあって、完全になりきっていた。信頼関係で築かれた作品と思えた。

現在、農村三部作として次回作を検討中とのこと。今度舞台挨拶に来るときには、今よちよち歩きのお子さんが、もっと大きくなっていることだろう、などと勝手に想像していたら、鑑賞中の苦しさからようやく解放された。

トークイベントと合わせて観たい作品。
プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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