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ハーバー・クライシス 都市壊滅

20160801

ハーバークライシス2

2014年/台湾/2時間6分(レンタルDVD)
監 督  蔡岳勳(ツァイ・ユエシュン)
原 題  痞子英雄2:黎明再起
英 題  BLACK & WHITE: THE DAWN OF JUSTICE
出 演
趙又廷(マーlク・チャオ) 林更新(ケニー・リン) 黃 渤(ホァン・ボー)
張鈞甯(チャン・チュンニン) 修杰楷(シウ・ジエカイ) 鄒承恩(ジェイソン・ツォウ)
關 穎(テリー・クァン) 金士傑(チン・シーチェ) 蔡岳勳(ツァイ・ユエシュン)

<あらすじ>
本土との交通網を破壊され孤立状態になった海港市。南署のウー・インション(趙又廷)と東署のチェン・チェン(林更新)が捜査に当たる中、夜行者(ナイト・ウォーカー)の存在が浮かび上がる。彼らは軍から強奪した特殊ミサイルを使い、海港市に生物兵器ウィルスをまき散らそうとしていた。シュー・ダーフー(黃渤)の妻シャオチン(關穎)が捕えられていると知ったウーは、彼女の救出を試みる。

<感想など>(ネタバレしています)
前作をほとんど忘れていたが、挿入されている過去シーンから、何となくつながりが理解できた。ウーはシュー・ダーフーと絶妙のコンビだったのだ、と大事なことを確認。一方、大規模な破壊シーンと重なるように繰り広げられる両刑事のコミカルな応酬も楽しめた。熱血刑事ウーを相手に、チェンのおちょくるような口ぶりがかわいらしい。そして顔が小さい‼

今回の悪役は夜行者(ナイト・ウォーカー)。特にそのトップ、ラン・シーエン(蔡岳勳)は加工された声が不気味。ガチンコ勝負でも強く、悪のにおいがぷんぷん。それが何と、南署の鑑識官であるラン・シーイン(張鈞甯)の実兄なのだ。このような、警察側の身内が犯罪者、という構成はあまり好きではない。物語の一部を持って行かれた感がある。

本作の「夜行者」のように、全能者として文明を破壊して新たな世界を作り出す、という悪役を、映像作品ではよく目にする。純粋な気持ちから極端な傾向へと変化、善悪の区別もつかなくなり、自分が一番正しいと思いこむ者たち。実際の脅威と重なるところがあって恐ろしい。勧善懲悪ものとして、正義が必ず勝つように制作してほしいものだ。

特典映像からは、監督はじめ出演者らの本作にかける思いの強さが伝わってきた。特に監督の意気込みを表した言葉「ハリウッドにも負けない」が印象に残る。素手での対決、武器を駆使しての闘いなど、さまざまな武術を使ったというアクションシーンは、いずれも見ごたえ十分。アメリカで3か月特訓したというマーク・チャオは、以前より胸の厚みが増したよう。

監督によれば彼は「アイデアをたくさん持っている」とのこと。
いつも羽目を外して上層部から大目玉を食っているウーが、次はどんな活躍を見せてくれるのか、今から期待大!
そして、今回の主要人物にはぜひとも再登場してほしい。
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若葉のころ

20160618

五月一號

2015年/台湾/1時間40分(劇場で鑑賞)
監 督  周格泰(ジョウ・グーダイ)
原 題  五月一號
出 演  
程予希(ルゥルゥ・チェン) 任賢齊(リッチー・レン)
賈靜雯(アリッサ・チア) 石知田(シー・チーティアン)
邵雨薇(シャオ・ユーウェイ) 鄭暐達(チェン・ウェイダー)
庹宗華(トゥオ・ツォンホァ) 王宇婕(ワン・ユージエ)

<あらすじ>
バイ(程予希)は17歳の女子高生。台北で祖母(應采靈)、母(賈靜雯)と暮らしている。ところがある日突然、母が交通事故で意識不明に。そんな中、バイは偶然、母がリン(任賢齊)という人物に宛てた未送信メールを発見する。彼女は親友ウェンウェン(邵雨薇)、同級生のイエ(鄭暐達)との三角関係に悩み、上海に住む実の父(包小柏)を頼ることもまままならず、不安定な気持ちを抱えていた。彼女は母になりすましてリンと会う約束をする。

<感想など>
ここ数年観てきた若者中心の台湾映画では、どちらかといえば男子の気持ちの方が主体だった。そんな中、今回は女子の方がメイン。あの「藍色夏恋」で、ルンメイちゃんがボーリンくんを振り回して困らせている場面がよみがえった。あの時もずいぶんひどいことを…と思ったが、本作はその比ではない。窓から服を投げるところで唖然としてしまった。ストーカー行為から先に進めない男子には納得できるが、いきなりその行為に走ろうとする女子の激情は理解しがたい。

もう一つ、理解に苦しむシーンがある。
過去のパートで、リンが「発見」してしまう場面。いきなり入りこんで男性教員(庹宗華)に突進していくところが解せない。マドンナ教師に憧れていたわけでもないだろうに。しかし、教育現場であるまじき行動を阻止したい、という一途な思いであるとすればわからないでもない。リンは心に深い傷を抱えたまま、大人になった今も前に進めないままでいるのでは?そう考えると、あのシーンは当時の教育、ひいてはあの時代に対する批判とも受け取れる。

やや違和感のある場面について書いたが、全体的にはみずみずしい場面、特に水の風景が印象的だった。ホースの水を頭からかぶるバイ。雨上がりの水たまり中を飛び跳ねていくワン。雨の中バスケットボールに夢中のリン(石知田)。過去と現代が交差する中で、水は時に勢いよく、時にゆるやかに、若者たちに寄り添う。光の加減にも、目をくすぐられている感覚になる。終わってみると、内容よりも映像効果の方が記憶に残っていることに気づいた。

そんな風に考えていくと、次々と印象的な場面がよみがえる。
過去の二人が訳した詩が、1文ずつ交互に語られていくシーン。訳し方の違う文章が重なり合って、二人の鼓動がスクリーンを通して伝わってくるようだった。この作品を観る前はビージーズの曲を思い出すこともなかったが、観ていくうちにだんだん懐かしくなっていった。

レコードをフリスビーのように次々と飛ばすシーンも心に焼き付いている。やってみたい!と思いつつ、もったいな~い、と、躊躇してしまいそうな私。

ところで、日本のサイトで下調べをしながら、知っている俳優はリッチー・レンだけだと思っていた。アリッサ・チアって誰?という感じ。でも観始めてすぐ、それが賈靜雯とわかった。相変わらずキュートでかわいらしい。私は彼女のメリハリのある声が好きだ。「王蕾」の語りを聞きながら、心が浮き立つのを感じた。

風櫃の少年

20160605

フンクイの少年2
1983年/台湾/1時間41分/劇場で鑑賞
監 督  侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
原 題  風櫃來的人
出 演
鈕承澤(ニウ・チェンザー) 林秀玲(リン・シウリン)
庹宗華(トゥオ・ツォンホァ) 張 世(チャン・シー)
顔正国(イェン・チェングォ) 張純芳(チャン・チュンファン)

<あらすじ>
澎湖島の風櫃(フンクイ)。阿清(鈕承澤)は高校中退後、ケンカや悪ふざけに明け暮れる日々を送っていた。あるとき彼は仲間と傷害沙汰を起こして町に居づらくなり家を出る。3人の行先は阿栄(張世)の姉(張純芳)が住む高雄。彼女の世話で彼らは下宿を確保。向かいの部屋に住む黄錦和(庹宗華)と同じ工場でアルバイトを始める。阿清は黄錦和の恋人小杏(林秀玲)が気になって仕方がない。

<感想など>
「台湾巨匠傑作選2016」でドキュメンタリー映画「台湾新電影時代」を観て、挿入されていた本作の映像が頭から離れなくなった。特に上に掲げたおバカたちの踊りが、もう笑えて笑えて…。彼らは一人の少女に向かってアピールしているのだ。少年のころにはこんなひと時があるのだ、と思わせる一場面。

写真右端が、現在活躍している鈕承澤監督である。なんだかそのまま大人になったような…なんて言ったら怒られるだろうか。この阿清クン、風櫃を出たときは何も考えていない、ただ突っ走るだけの少年に見えたのだが、初恋を経験した後にちょっと大人の雰囲気になる。仲間の2人が悪ふざけをしているときに、自分の未来を見つめて日本語を勉強したり、人の気持ちを察したりするようになる。彼には「芽」がある。実は父は野球のボールを頭部に受けて以来、介護なしでは生活できない身。彼の中では常に元気なころの父と、現在の父が交錯している。父の死を経て、彼はまた一歩成長したように見えた。

ただ、かっこよさという点では先輩の黄錦和に及ばない。この黄錦和を庹宗華が演じていたのね。今の恰幅のよさからは想像もできない細い身体。(笑)黄錦和という人物は、仕事先のモノを盗んで横流ししたのがばれてクビになり、その後台湾を離れる。小杏は、阿清らと一緒に遊んでいても彼のことが頭を離れない。けれども錦和が高雄に帰ってくると知って、あえて台北に行く。そんな小杏の決意には驚くとともに、彼女を応援したくなった。

ふと、「モンガに散る」(鈕承澤監督)を思い出した。趙又廷演じるモスキートの母親役が、小杏役の林秀玲で、しかも美容師。髪に人一倍気を使う小杏と重なるのである。小杏は艋舺界隈で暮らすことになるのでは?もしかしたら恋人との間の子供をその地で育てることになるのでは?などと勝手に想像してしまった。なお、鈕承澤がモスキートの父親役であるが、あの阿清が小杏と恋人関係になるとは思えない。相手はやはり黄錦和?(完全に妄想…)ちょうど小杏が台北に出ているときに、「モンガに散る」のストーリーが展開している。年代的にみて、小杏とモスキートの母親が同じ、というのはあり得ないが、それでも艋舺のどこかに黄錦和や阿清の姿もちらついてしまう。(笑)

兵役を前にした青春の1ページ。時折流れるクラシック音楽が、はじけ飛ぶ彼らの姿から遠いと思いつつ、ノスタルジーがかきたてられた。80年代は私にとっても青春時代だったんだなあ、と。

TOP GUYトップガイ

20160318

トップガイ

2014年/台湾/2時間27分(DVD鑑賞)
監 督  李 崗(リー・ガン)
原 題  想 飛
英 題  DREAM FLIGHT
出 演
張睿家(ブライアン・チャン) 許瑋甯(ティファニー・シュー)
庹宗華(トゥオ・ツォンホァ)姚以緹(ヤオ・イーティー)
鐘承翰(チョン・チェンハン)喜 翔(シー・シャン)
梁正群(ダニー・リャン)

<あらすじ>
幼いころからパイロットになるのが夢だったジャーハオ(張睿家)は、空軍士官学校に入学、過酷な訓練を受ける日々だ。そんな中、パーティで知り合ったシンイー(許瑋甯)に一目ぼれして猛アタック。紆余曲折を経てついに彼女のハートを射止める。病気で失明したシンイーから一方的に別れを切り出され、自暴自棄となったこともあったが、周囲の励ましもあって立ち直り、晴れて卒業。二人は結婚し、幸せな日々を送る。ところがある日、公私ともに世話になったルオ(庹宗華)の訃報が届く。

<感想など>
空軍のパイロットと視覚に障がいのある奥様、そして殉職した上司の方をモチーフとした話とのこと。職業的な面、視覚障がい者を描いた部分からは丁寧な感じが伝わってくる。

厳しい仕事環境と甘々な恋愛、複雑な家庭事情とすがすがしい仲間関係、それにファンタジーの世界が重なり合った物語で、ジャンル分けが難しい。最初、レンタルDVDのジャケットに表示されている「アクション」の文字や、上の写真に添えられた一文から、主人公は「愛する人たちを守る戦闘員か?」と思ってしまった。「まさか大陸と空中戦を…?」とヒヤヒヤしたが、心配ご無用。そういうシーンは一つも出てこない。

中心となるのはラブストーリーと言えるだろう。ベタ過ぎで、長尺なのに終始見入ってしまったのは、登場人物がみ~んないい奴ばかりだから。主人公はまっすぐな性格で、相手を前にして「好きだ」と臆面もなく言い放つ。そんな彼に片想いをする「鉄の女」ことチェンホイ(姚以緹)が本当にいい。失恋して親友のシンイーに意地悪するのかと思いきや、心から2人を応援するのだ。さらにジャーハオの親友である「スーパーマン」(鐘承翰)。力不足でパイロットになる夢を絶たれ、へこんでいるところに、教官からジャーハオを連れ戻して来いと命じられる。才能のあるジャーハオに対して嫉妬と羨望でいっぱいのはずなのに、厚い友情を見せる。彼らが一時の感情に振り回されず、仲間を思いやるところに、厳しい世界で生きる者としてのプライドを感じた。

家庭環境の描き方も印象的だ。
ジャーハオは父(喜翔)、母違いの妹との3人暮らし。バイク修理で生計を立てる一家の暮らしはあまり豊かとはいえない。しかも父親は酒浸りだ。そんな厳しい背景も、彼の前向きなキャラクターから、さほど暗く感じられない。一方のシンイーはかなり裕福な家のお嬢さんと思われるが、自由にならない環境を恨むような言葉から、家庭に対する負の感情が伝わってくる。そんな両者の違いはさりげなく描かれるだけで、むしろ彼女がジャーハオの家庭に自然に溶け込んでいく様子がほのぼのとして、心が和んだ。

空軍での華々しい活躍の裏に悲しい現実がありえることも知らされる。
休日の遊園地で、教官のルオが妻と息子を連れ、ジャーハオ、シンイーと時間を共にする場面。そのときルオの息子は不愛想で父にもそっぽを向いていた。そんな彼が父の葬儀で涙をぽろぽろこぼす。ジャーハオが打ちひしがれる姿より、少年の涙が強烈だった。

ラストで、シンイーも空に対する思いが人一倍だというのがはっきりわかった。ならば星の王子さまを出さなくてもいいのでは?と思うのだが、そう言ったら怒られてしまうだろうか。

GF*BF

20140623

gfbf2.jpg

2012年/台湾/1時間45分(劇場で鑑賞)
監 督  楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)
原 題  女朋友。男朋友 (GF*BF)
出 演  
桂綸鎂(グイ・ルンメイ) 張孝全(ジョセフ・チャン)
鳳小岳(リディアン・ヴォーン) 房思瑜(レナ・ファン)
張書豪(チャン・・シューハオ)

<あらすじ>(ラストに関するネタバレを含みます)
1985年、戒厳令下の台湾。高校生の美宝(桂綸鎂)、忠良(張孝全)、心仁(鳳小岳)らは、厳しい校則をすり抜けながら奔放な生活を楽しんでいた。美宝は、大好きな忠良とは恋人になれないと知り、自分を想い続けてきた心仁を受け入れる。

1990年。大学生の忠良と心仁は台北で同居していた。ジムでインストラクターをする美宝は、心仁と恋人関係にありながら忠良を想っている。ある夜、民主化運動の集会で取り締まりに遭い、心仁は退学を余儀なくされる。

1997年。美宝は妻子ある心仁と関係を続け、妊娠する。しかし医者から衝撃的な事実を告げられる。忠良も呼んで3人顔を合わせるものの、わだかまりだけが残る結果に。

2012年。忠良は、双子の娘が通う中学校から呼び出しを受ける。2人が全校生徒を巻き込んで「短パンをはかせろ」と抗議運動をしたというのだ。

<感想など>
同性愛、三角関係、その上張孝全が出演しているとなれば、「花蓮の夏」を思わずにはいられない。当時、八方ふさがりの結末からは、彼らの未来が全く想像できなかった。

「GF*BF」も乏しい予備知識から同様の結末を予想していた。しかし最初に観た明るい光景で先入観が覆された。「花蓮の夏」の未来もこんな風に輝いていたらいいのに、と、あの作品がまたまた脳裏によみがえる。

物語は台湾の歴史と共に進んでいく。戒厳令下で拘束の厳しかった時代に生き生きとしていた3人が、民主主義の時代になると、逆に鬱々とした表情になる。それぞれ、自分だけが幸せになることを罪ととらえ、本心を封印したまま仮の姿で生きている。

美宝は、忠良を心仁から遠ざけたくて間に入っているようにも見える。だから心仁は、忠良の想いの深さがよくわかっていないのかも。2人の男性の想いを痛いほど感じていた美宝の「不倫」は、まるで自分に課した罪(心仁の想いを知りながら関係を断ち切った夜のこと)滅ぼしのようで痛々しい。かといって心仁を責めるわけにもいかない。押しつぶされそうになるのは観客も同じ。あの冒頭は、果たしてこの暗いトンネルの出口になるのか…

高校生役が相変わらずハマっているルンメイちゃんと、高校生としては老成しすぎの張孝全、そしてスポーツ刈りなら多少いけるかもしれない鳳小岳は、絶妙なトライアングルで魅せてくれる。張孝全は、むしろ実年齢よりグンと上のお父さん役の方がしっくりくるかも。

最後にまた3人になる設定が興味深かった。
娘たちの容姿は父親似。その一方の子がちょっと拗ねて見せる姿に美宝が重なった。全身でシュプレヒコールを唱える彼女たちと、あの当時の主人公たちも重なって見える。最後に再登場した娘たちを通して、輝きを放っていた親世代の顔が見えた。なんか、ぐっときてしまう。

忠良は、娘たちを育てながら再び青春を生きている。暗く長いトンネルの出口だと思いたい。

観終わると、描いていない部分が色々と想像できて、切なさがますますつのっていく。

楽園のかなたに

20131117

anliantaohuayuan4.jpg

1992年/台湾/1時間47分(レンタルVIDEO)
監 督  頼聲川(スタン・ライ)
原 題  暗戀桃花源
英 題  The Peach Blossom Land
出 演
林青霞(ブリジット・リン) 金士傑(ジン・シージエ)
李立羣(リー・リーチュン) 丁乃筝(ディン・ナイチョン)
顧寶明(グー・パオミン) 陳立美(チェン・リーメイ)
丁 仲(ディン・チュン) 林麗卿(リン・リーチン)

<あらすじ>
『暗戀』と『桃花源』を上演する二つの劇団は、本番を直前に控え練習に余念がない。ところが舞台を借りる時の手違いで両者の使用時間が重なり、しかたなく時間を分割して交互に使うこととなる。しかし互いに、稽古中の相手方に終了を迫るなど、険悪な雰囲気になったため、結局、舞台を半分に分けて使うことで両者は合意。一つの舞台上で二つの劇が展開する中、全く違う物語の台詞が、所々呼応する場面があらわれる。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます。)
同監督の舞台劇を映画化したとのこと。内容が演劇だからか、舞台での劇中劇をスクリーンから(実際にはTV画面なのだが)眺めているようだった。茶の間のTVで舞台を観る感覚だ。

作品の中では、二つの舞台劇が同時進行する。『暗戀』は、上海で出会った男女(金士傑、林青霞)が内戦の混乱で離れ離れになる悲劇。『桃花源』は、妻(丁乃筝)と友人(顧寶明)の密通に苦しむ主人公(李立羣)が<桃花源>に行き、戻るところを描いた喜劇。

交互に進行する二つの劇も、前半は『桃花源』の方が断然おもしろい。夫、妻、夫の友人三者のコミカルな台詞の応酬には思わず吹き出してしまう。このまま本番に突入してもOKと思えるほど完成度が高い。かたや、『暗戀』の方は、男性の方に「感情が出ていない」と監督が言うと、俳優の方は「40年も前の人の気持ちなどわからない」という内容のことをつぶやく。そう言われてみれば、全体がなんとなくぎこちない。この未完成の演技をする俳優には相当な演技力が求められるのだろうな、と思いつつ、ハラハラしながら<観劇>していた。

両劇団の稽古中、あるいはその合間には、さまざまなハプニングや闖入者もあって、本番への心配がつのっていく。そんな中で、劇中劇の話もどんどん進む。

一つの舞台で別々の劇をやっているから、当然互いにやりにくくストレスがたまる。でも時折、こちらの台詞にあちらが応える、という現象が何度か起こる。すると、出演者たちの演技がだんだん変わっていく。

終盤、『暗戀』では、年月を経た男女の再会シーンが感動的に描かれる。最初よりも格段に進歩しているではないか!老けメイクをしている金士傑と林青霞が、まさに現在の彼らの姿、という「感動」のおまけつきだ。『桃花源』もまた、突き抜けた勢いのまま幕を閉じる。互いに相手の力を借りながら舞台を完成させているところに味わいがある。

台湾の歴史的背景に詳しければ内容を読み解く面白さも加わるのだろう。でもそれを知らなくても、この劇中劇は十分楽しませてくれる。

あの頃、君を追いかけた

20130922

naxienian.jpg

2011年/台湾/1時間50分(劇場で鑑賞)
監 督  九把刀(ギデンズ・コー)
原 題  那些年,我們一起追的女孩
英 題  You Are the Apple of My Eye
出 演  
柯震東(クー・チェンドン) 陳妍希(ミシェル・チェン)
郝劭文(スティーブン・ハオ) 荘濠全(ジュアン・ハオチュエン)
鄢勝宇(イエン・ションユー) 蔡昌憲(ツァイ・チャンシエン)
胡家瑋(フー・チアウェイ)

<あらすじ>
1994年。台湾彰化の高校生コートン(柯震東)は仲間たちと青春を謳歌する毎日だ。あるとき度の過ぎた悪ふざけがきっかけで、コートンは教師から、優等生チアイー(陳妍希)の前の席に移動するよう命じられる。チアイーはコートン達にとってはあこがれの存在。そんな彼女からテスト勉強の猛特訓を受けたコートンは、今までにない高い点数を獲得。チアイーもコートンの幼稚さにあきれながらも一緒にいるのを楽しんでいる様子。
1997年。大学生になってチアイーと遠く離れたコートンは、彼女と長距離電話をしたりたまに会ったりしていた。ところが喧嘩してからは互いに疎遠になってしまう。

<感想など>
あの頃「キミ」を追いかけていた「ボクたち」と全く同じ感覚を共有できないのは残念(笑)だが、「キミ」の心に寄り添うことができたのは嬉しい。(といっても、やや厳しい見方になってしまったが…。)主人公コートンには母親目線を向けてしまうが、チアイーに対しては完全に同級生目線。最近青春モノを観ると、心だけその時代に帰っていく。

あの頃、TちゃんとNちゃんという同級生がいた。Tちゃんは常に成績がトップで、やんちゃな彼氏がいた。Nちゃんは学校一モテる子だったが特定の男性はいなかった模様。そんな2人を足して2で割ると、今回のヒロインになるなあと、スクリーンを眺めながら昔を思い出していた。

チアイーはほんとに罪なことをしてくれると、ちょっと苦々しい気持ちになった。コートンの想いを知りながら、また自分も彼に惹かれながら、OKの一言を発しないのは、彼を弄んでいるのと同じではないか。けれども、コートンの方が、その「弄ばれてる感」に心躍らせているようにも見える。だからか、チアイーの方には申し訳ない気持ちなど微塵もなさそうで、そんな鈍感さがよけいに歯がゆい。ああ、意地悪な同級生感覚…。

チアイーは、理想的な女の子を演じているのではないかと懐疑的になったり、彼の幼稚な部分に怒って自分の本当の気持ちが見えなくなったりと、いつも心が揺れている。一直線に想いをぶつけてくる彼と違い、彼女はいつも自分の気持ちを分析しようとしている。そんな躊躇が思わせぶりに見えて、彼女をやっかむ者もいたのではないだろうか。(笑)ただし監督には、永遠のアイドルである彼女の負の部分など、全く見えていないだろうし、聞きたくもないはずだ。

みんなが一番知りたいことを隠し隠して、最後に明らかにする手法。切なさが一層かきたてられる。ラストはどんでん返しみたいなものだが、それにしてもチアイーは最後までアイドルだったなあと、ちょっと嫉妬する自分がそこにいた。もしかするとかつての同級生2人にも、潜在的にそんな感覚を抱いていたのかもしれないと、今になって思った。


誘惑の罠

20130831

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2008年/台湾/2時間(レンタルDVD)
監 督  李 鼎(リー・ディン)
原 題  愛的發聲練習
英 題  My So Called Love
出 演  徐熙媛(バービー・スー) 彭于晏(エディ・ポン)
     張孝全(ジョセフ・チャン) 東明相 (イーストン・ドン)
     李國毅 (リー・グォイー) 劉喆瑩(リウ・チエイン)

<あらすじ>
高校三年のマオ(徐熙媛)は母、義父、妹(劉喆瑩)と新たな生活を始めるが、義父の性癖に耐えられず家出する。共に暮らすのはボーイフレンドのリャン(彭于晏)。しかし彼は大学に合格したマオとは明暗を分けてすべて不合格、兵役に就く。やがてマオは生活のために援助交際を始める。最初の相手、小古(張孝全)に夢中となったマオは、リャンと破局を迎える。ところが小古に出産予定の妻がいると知り絶望する。

<感想など>
邦題はあくまでマオ目線である。援助交際なんかに手を出したら人生台無しですよ、という警告に聞こえる。かといって原題「愛の発声練習」も意味不明。マオの「愛って何?」という問いかけや、聴覚障害のあるサンシャイン(東明相)の一途さ、優しさが思い浮かぶが、なにかしっくりこない。

わかりにくい物語である。
快楽の味を覚えたマオは、小古から離れなれなくなる。けれども精神的にはリャンを深く愛している。リャンもマオを愛しているが、兵役仲間(李國毅)の愛情も受け入れている様子。ちょい悪オヤジ的な小古は、妊娠した妻を伴ってマオと会う。つまり決別を示唆したのだろうが、10年近くたってもまだマオとは腐れ縁の間柄のよう。マオはサンシャインの無償の愛を受け入れようとするが自分を卑下して彼の前から姿を消す。なんなのだ、この整理のつかない展開は…。

リャンを明確に描いていないことも、全体が不明瞭になった原因の一つだろう。
高校生だった二人は夜警備員の目を逃れてピアノの下に隠れる。その時マオが覚悟したにも関わらずリャンは「大事にしたいから」と手を出さない。その後ままごとみたいな生活の中でも、彼らはたぶん男女の関係には到っていない。物語でははっきりしないが、リャンは体で女性を愛することができないのではないか。けれども同性を好きになるタイプでもなさそうだ。兵役仲間は完全な片想いである。彼の「タイプ」をはっきりさせないのは、意図的なのだろうか。

マオが愛欲と精神的な愛に挟まれて苦しんでいるのは確かだと思う。けれども物語の主題は別のところにありそうだ。

マオの妊娠を知って、同居している3人が考えたのは、生まれてくる子をいかに育てていくか、ということだったと思う。両親と子供で構成される「家族」から遠く離れ、今現在生活を共にする4人で、果たして家族を作ることができるのか。人間関係をあらわす呼称-父、母、きょうだい、あるいは恋人、友達、といった言葉-で括るのではない新たな関係を模索しているようにも見える。そうすると、マオと小古との、やたらに官能的に見せようとするシーンが余計に思えてくる。凝りすぎてしまったのが、わかりにくくさせている原因では?

みんなの本音は「ホントの家族になりたいな」でしょう。

結婚って、幸せですか THE MOVIE

20130827

The Fierce Wife Final Episode

2012年/台湾/1時間50分(劇場で鑑賞)
監 督  王珮華(ワン・ペイホワ)
王仁里(ワン・レンリー)
原 題  犀利人妻最終回:幸福男•不難
英 題  The Fierce Wife Final Episode
出 演  隋 棠(ソニア・スイ) 宥 勝(ヨウション)
     溫昇豪(ウェン・シェンハオ)朱芯儀(アマンダ・シュー)
     胡盈禎(カレン・フー)

<あらすじ>
アンジェン(隋棠)は10歳の一人娘ユーモンを育てながらホテルに勤務している。自動車販売会社の支配人ティエンウェイ(宥勝)とは、互いに好意を持ちながら長い間友人の関係だ。そんな中、4年前離婚した元夫ルイファン(溫昇豪)が、積極的に家事育児を手伝い始める。ユーモンは大喜びで両親の復縁を訴えるが、アンジェンの心は複雑だ。やがて彼女はティエンウェイとルイファンから結婚(復縁)を示唆される。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
タイトルの問いかけはつまり、「結婚って、幸せだと言えるんですかね?」というニュアンスだろう。これから結婚しようと思っている人に対するものなのね、と終わってから気づく。同時に、物語の中では既に答えが出ているではないか、とも。

台湾で高視聴率をマーク、日本でも放映された連続ドラマの「その後」を映画化した作品とのこと。だから、ほとんどドラマ視聴者向けの映画と言える。そのドラマを観ていない私にとっては、人間関係の簡単な説明があっても、込み入った事情が分からないせいか、なかなか感情移入が難しい。よく見ればものすごく泥沼化した状況なのに、生活感のない空間や人々のから騒ぎが、あっけらかんとした印象を与えている。

仕事に子育てに一生懸命なヒロインが、二人の男の狭間で苦しむ、という物語。一人は好きな男性で、もう一人はかいがいしい元夫。娘は元夫、つまりパパが大好きで、母の男なんて大嫌い。元夫との離婚原因は、ヒロインの従妹との浮気。今回その従妹に、元夫との間に生まれた男児がいることが判明。その子は障害を持っていた…。ひどく疲れる人間関係だ。

こんな複雑な条件を突破して、ヒロインが自分の本心に沿って幸せになるためには、どんな状況設定が必要なのか。まずは自分の揺るぎない気持ちだ。そして理解のある子ども、理解のある仲間、理解のある親戚。最後に一方の男性がアタックできなくなる最大の障壁。すべて、周りのおぜん立てがあってこそ可能なことなのだ、と。

ハッピーエンドである。でもヒロインの相手があまり輝いて見えないため、幸せ感が伝わってこない。彼の潔癖なところ、短気なところ、ストーカー的な行為…。物語につきものの突出した演出が浮いてしまっている感じだ。それに元夫の息子の障碍も、ただ同情を引くためだけの道具に思えてしまう。映画を観終わった今ドラマを観たいとは思わない。

さて問いかけの答え。結婚という形式に縛られたら後で面倒なことになる、内縁関係を続けて自由な立場を満喫しよう!と解釈(あくまでドラマ上の)してみた。この影響で結婚しない人たちが増えたりして…なんてことはないでしょうね。

夢の向こう側 -ROAD LESS TRAVELED-

20130603

lezhilu.jpg

2011年/台湾/1時間30分(劇場で鑑賞)
監 督  李劭尹(セブン・リー)
原 題  樂之路
英 題  ROAD LESS TRAVELED
出 演  吳建豪(ヴァネス・ウー) 洪天祥(ジミー・ハン)
     藤岡靛(ディーン・フジオカ) 涂百鋒(エリック・トゥー)
     隆宸翰(クリス・ルン) 弦子(シェンズ)
     洪金寶(サモ・ハン) 

<あらすじ>
単身台湾に来たジョー(洪天祥)は、プロデューサーを紹介してくれるという人物リー(洪金寶)を探している最中に、ギター泥棒と間違えられ追われる身に。しかしそんな誤解から、ロックバンド《SMASH》のメンバーと行動を共にすることになる。やがてジョーはリーと再会、《SMASH》はトントン拍子にデビューが決まる。マイク(吳建豪)、イー(藤岡靛)、タカ(涂百鋒)、ジェイソン(隆宸翰)、そしてジョーの5人は、紆余曲折を経て3年、念願のトップアーティストの段階まで昇りつめる。

<感想など>(ラストに関するネタばれを含みます)
月曜の2回目、午後1時からの上映。ま、まさか一人だけ?… 「整理番号1番の方…」と呼ばれて入場したが、本編が始まるまで続く人がいない…。場所を間違えたか?と不安になった。やがて、もう一人女性の方が入場し、結局2人だけでの鑑賞となった。なんて贅沢な!!!鑑賞人数最低記録の更新である。(笑)

若者たちの友情や芸能界の裏事情をベースに、ロックバンド《SMASH》の始まりから終わりまでが描かれている。一番目立つのは吳建豪演じるボーカルのマイクだが、メンバーそれぞれにドラマがあって、飽きさせない展開だ。ジョーとメンバーとの出会いや、リーとの再会、プロデューサーとの出会いは、ご都合主義的にも感じられたが、実際芸能界というところは運や偶然に左右されるものだと思えばこれも現実と言えようか。

珍しく予習していったからか、実の親子である洪金寶、洪天祥が会話する場面では、どこかしらぎこちなさを感じてしまった。ジョーのことを「才能がある」と言ってプロデューサーに紹介する「パパ」が親ばかに見えたりして。(笑)でも実際、洪天祥は本作でプロデュース、脚本、音楽・編集に関わるマルチぶりを発揮しているのだから、その才能は周知の事実ではある。そんな彼が演じるジョーは、最後にメンバー入りした立場からおとなしく遠慮がちだ。こういう位置づけもまた、面白い。

特に注目したいのは、バンドのリーダー、イーを演じる藤岡靛。佐藤健と妻夫木聡を足して2で割ったような(両者のファンの方に叱られるかもしれないが)イケメンで、動きは実にシャープだ。バンドのまとめ役として落ち着いた雰囲気だが、髭がなければもう少し甘い顔に見えるかもしれない。ずいぶん前にDVD鑑賞した「夏天的尾巴」(日本未公開)では透明感ある高校生役、先頃の「ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1」ではコワい敵方と、幅広い役柄をこなす役者さん。中国語、英語を操る彼は、次回、かの逃亡犯を描いた作品の監督&主役なのだそうだ。遺族の気持ちを考えるとどうなのか…といった疑問はさておき、今後の活動を見守っていきたい。

話はそれたが、物語は途中、展開が破綻している?と気になった部分がいくつかあった。しかし最後に予期していたかのような展開となり、しんみりと、しかし新たな旅立ち、といったシメで終わる。いいではないか、この作品!!

上映後、もう一人の方と顔を見合わせ、ちょっとだけおしゃべりした。「二人だけなんて不思議ね~」と。公開初日の一昨日と、2日目の昨日にゲスト出演があるときいてチケットを…と思ったが都合のつく時間帯はすべて売り切れ。それで仕事がない本日に行った次第。同じ中国語圏の作品でも、「グランド・マスター」がメディアで盛んに宣伝されているのに比べ、本作の存在感は極端に薄い。もっといろいろな劇場で公開されてもいいのに、と思う。

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