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オマールの壁

20160604

オマールの壁2
2013/パレスチナ/1時間37分(劇場で鑑賞)
監 督  ハニ・アブ・アサド
出 演
アダム・バクリ エヤド・ホーラーニ
サメール・ビシャラット
ワリード・ズエイター リーム・リューバニ

<あらすじ>
パレスチナ自治区。パン職人の青年オマール(アダム・バクリ)は、友人のタレク(エヤド・ホーラーニ)やアムジャド(サメール・ビシャラット)と抵抗運動を続けている。ある日3人で検問所を銃撃した後、彼はイスラエル秘密警察に捕まり、仲間を売ることを条件に釈放される。しかし仲間内でも互いに不信感をもち、恋人のナディア(リーム・リューバニ)さえもオマールを疑っていた。そんな中、アムジャドからナディアが彼の子を身ごもっていると聞かされる。

<感想など>
始まった時点で、中途半端な終わり方ではないだろうと思わせる、緊迫した展開である。恋人、仲間に会うため、いつも命がけで分離壁を登るのだが、一体いつまでそうしなければならないのか思うと息が詰まりそうだ。彼らの屈託のない笑顔の裏に、死と隣り合わせの生活を余儀なくされる者の恐怖、怒りが張り付いているようで、時に目をそらせたくなる。

オマールは、仲間であるタレクの妹、ナディアと恋仲であり、互いに結婚を望んでいる。ところが捜査官のラミ(ワリード・ズエイター)は真犯人を言わないと彼女にまで危害が及ぶと脅迫。八方ふさがりの彼が何とかその状況を打破しようとする姿が切ない。というよりも凄まじい。狭く行きどまりの多い路地を駆け抜け、飛び越えていく姿には、くぎ付けになった。その一方で、騙し、騙されることに慣れきっているラミの緩さが腹立たしくなった。白髪交じりの口髭を見ると悪寒が走る。それもまた作り上げられた存在なのだと思うと、何を憎んでよいのかわからなくなる。

負の連鎖を思わせるラスト。音のないエンドロールがさらに追い打ちをかけて来るようだった。

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メルボルン

20141103

メルボルン

2014年/イラン /1時間31分(東京国際映画祭で鑑賞)
監 督  ニマ・ジャウィディ
英 題  Melbourne
出 演
ネガル・ジャワヘリアン マニ・ハギギ
ロウシャナク・ゲラミ シリーン・ヤズダンバクシュ

<あらすじ>(ラストに関するネタバレを含みます)
オーストラリアへの移住を控えたアミル(マニ・ハギギ)、サラ(ネガル・ジャワヘリアン)夫妻。今日は故国イランを発つ日である。そんな中、サラは他家のベビーシッターから少しの間乳児を預かってほしいと頼まれる。しかしいつまでたっても迎えは来ない。やがて、ベッドに寝かせていた乳児が息をしていないのを、夫のアミルが発見。そこへ乳児の父親がやってくる。

<感想など>
最初はどんな物語なのか全く見当がつかなかったが、ストーリーが動き出すと目が離せなくなった。久しぶりに集中した。場面のほとんどは室内で、台詞も夫婦の対話が中心、時間的には1日弱と、設定の範囲は限られている。でも内容は極上のサスペンスだ。

預かった乳児の突然死。さあ、あなたならどうする?彼らはどんな決断を下すのか?作品は、観る者に終始問い続ける。

夫のアミルはひたすら隠す。父親が来ても真実を話さず、時間稼ぎをする。一方、妻は良心に従って真実を話すべきだと主張。夫婦の溝はますます深くなっていく。夫は乳児を預かった妻を、妻は隠ぺいしようとする夫を非難する。

こんな事態になっても、移住の準備は着々と進められていく。さて、彼らは出発するのか、それとも…。

夫婦の会話と、鳴り響く電話の呼び出し音。固定電話の線を外してからは携帯電話がひっきりなしに音を立てる。とにかく目まぐるしい。落ち着かない。

ドキリとした展開が2つあった。1つは妻が流しを洗っている場面だ。まさか水道管に…と、あることを想像した。もう1つは、夫妻が車に乗り込んだ後、周囲の車が警察車両に見えたことだ。こういう観客の反応は、想定内かもしれない。では、冒頭の国勢調査の回収員をどう解釈したらいいのだろう。私は、彼女が鍵を握っているのではないかと、最後まで思っていたのだ。空振りしたような気分だが、監督の意図は何だったのだろう。

Q&Aのコーナーでは、監督が仲間の子供を預かった時に、今回の設定を考えついたと話していた。聞いただけではとても映画になりそうもない題材だが、夫婦関係の変化だけでなく、子の父親の家族背景、夫の母の吐露なども、重層な作品に仕上がる要素になったと思う。

結末を描くことなく、映画は終わる。
観客に任せたこのラスト、みんなはどう予想するだろう。
ちなみに私は、彼らは飛行機に乗れなかったと思うのだが…。

駆ける少年

20130301

kakerushounen.jpg

1985年/イラン/1時間31分(劇場で鑑賞)
監 督  アミール・ナデリ
撮 影  フィールーズ・マレクザデエ
原 題  DAVANDEH
英 題  THE RUNNER
出 演  マジッド・ニルマンド ムサ・トルキザデエ
     アッバス・ナゼリ

<あらすじ>
舞台は70年代イランの小さな港町。廃船に一人で暮らす少年アミルは、空きビンの回収、冷たい水の販売、靴磨きと、さまざまな仕事を経験している。同じような境遇の少年たちとの熾烈な争いに負けたり、大人に騙されたりして、苦労が絶えない。そんな彼の楽しみは、外国船や飛行機に向かって大きく手を振り、思い切り走ること。ある日アミルは、ペルシャ語の読み書きができないことを指摘され、勉強への強い欲求が湧き起こる。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
私たちは日々、食べたい、遊びたい、読みたい、観たい、行きたい、そして働きたい、といった、本能や義務に属する、様々な欲求を抱えている。それらはいずれも大切で、常に満足感を求めている。けれども本作を観た直後、そんな日常の欲求の一つ一つが、ほんのちっぽけなものと化してしまった。

本作は、少年の強烈な欲望を、あらゆる角度からあぶり出して見せる連続写真だ。ストーリー展開から登場人物の気持ちを読む、といった今までの鑑賞方法とは全く違い、声、音、躍動美、色彩のコントラストを、五感にたたきつけられる。考える余裕などなく、ただただ圧倒され、惹きつけられた。

最初は、物語性がなく、映像が流れるばかりで退屈…と思っていたのが、中盤から俄然画面にくぎづけとなった。第一に、アミル少年の走る姿が美しい。身体全体がしなって、ぐいぐい押し出されていく。光線の加減で黒く浮き出した姿に、思わず息をのむ。第二に、屈託のない笑顔、泣きそうな顔、歯を食いしばる顔…と、豊かな表情に魅了された。そして、物語が流れていることに気づく。

日々を生きるため人を蹴落とすことを余儀なくされた少年たち。天然ガスの火の前に置かれた氷を目指して走る彼らには、自分しか見えていない。しかし一旦勝利の味を噛みしめた彼は、初めて、人に分け与える喜びを知る。その気持ちはみんなにも連鎖する。これは、勉強を始めた彼の、第一歩なのかもしれない。

鑑賞後に見たチラシから、監督自身の体験が反映されていると知った。アミル少年の勝利への執念、飛行機に対する強烈な愛着、文字を暗唱するときの叫び…。与えられた中から選択するのではく、すべてが渇望から始まったと考えると、圧倒された感覚の根源が少し理解できた気がした。

すべてにおいて、敵わないのである。

ツォツィ

20080523

ツォツィ

2006年/イギリス・南アフリカ/1時間35分(レンタルDVD)
監 督  ギャヴィン・フッド
原 題  TSOTSI
出 演  プレスリー・チュエニヤハエ  テリー・ペート
     ケネス・ンコースィ  モツスィ・マッハーノ ゼンゾ・ンゴーベ

<あらすじ>
舞台は南アフリカのスラム街。ツォツィと呼ばれる少年(プレスリー・チュエニヤハエ)は賭博や窃盗を繰り返す不良グループのリーダーだ。ある晩店で酒を飲んでいたとき、年長者のボストン(モツスィ・マッハーノ)が、その日犯した強盗殺人はいき過ぎだと抗議した上、ツォツィが本名を明かさないことをなじる。ツォツィは怒りにまかせてボストンを殴りつけ、店を飛び出す。彼は豪邸の前で帰宅した女性に銃弾をあびせ彼女の車で逃走。しばらくたって後部座席に乳児が寝かされているのを発見する。ツォツィはその乳児を紙袋に入れ、自宅に連れて戻る。

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VHSカフルーシャ~アラブのターザンを探して

20080326



2006年/チュニジア/1時間19分(アラブ映画祭にて上映)
監 督  ナジーブ・ベルダーディー
原 題  V.H.S.・Kahloucha

塗装工のカルフーシャ氏は大の映画好き。いつか業界に入って映画製作に関わりたいと思っている。しかしこの願いをかなえるのは難しい。ならば自分で好きなように撮ろう。
こうして彼の『アラブのターザン』はクランク・インする。

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満月

20080325



 2006年/ヨルダン/46分(アラブ映画祭にて上映)
 監 督  サンドラ・マーディ
 原 題  Full Bloom / Qamar14



ヨルダンの天才ボクサー、ファラジ・ダルウィーシュに密着して撮り上げたドキュメンタリー作品です。
2004年にアラブ・チャンピオンを勝ち取ったファラジは、一躍英雄になります。
ところが2006年の世界選手権でイスラエル選手との対戦を拒否、以後の試合の出場権を剥奪されてしまいます。
彼がボクシング連盟の会長に詰め寄る場面。カメラに向かって「映すな!」と硬い態度をとる会長。それでも執拗に追い続けるカメラ。
撮影現場は緊迫した雰囲気に包まれます。


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サービス圏外

20080324



2007年/シリア/1時間38分(アラブ映画祭にて上映)
監 督  アブドルラティフ・アブドルハミド
原 題  Out of Coverage / Kahrej Altaghtya
出 演  ファーイズ・カザク  シバー・ムバーラク
      ファドワー・スレイマン  ムハンマド・カヌーウ  岡崎弘樹

<はじめに>
初めて中東の映画を鑑賞しました。先週から始まっており、あと2日で終了です。折りたたみ椅子の座り心地は正直なところ快適とは言えませんでしたが、映画そのものは面白かったので満足です。

<あらすじ>
舞台はダマスカス。菓子職人でタクシー運転手のアーメルは、投獄された親友ズヘイルの家族を世話しているうちに、彼の妻ナダーと相思相愛になってしまう。しかし彼は妻子ある身。恐妻家のアーメルは、妻サルマーから携帯電話で買い物などの用を頼まれると、いつも言われたとおりにするしかないのだ。一方でナダーの家へ行き家事を手伝ったり、学校へ娘を迎えに行ったり、また日本人留学生シンタニにアラビア語を教えたりと、忙しい日々をおくっている。
ズヘイルが投獄されて10年目。いよいよ出所の日が近づいてきた。

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プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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