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ブレイド・マスター

20160308

电影绣春刀

2014年/中国/1時間51分(DVD鑑賞)
監 督  路 陽(ルー・ヤン)
原 題  繍春刀
英 題  BROTHERHOOD OF BLADES
出 演
張 震(チャン・チェン) 王千源(ワン・チエンユエン)
李東学(リー・トンシュエ)劉詩詩(リウ・シーシー)
聶 遠(ニエ・ユエン) 金士杰(チン・シーチェ)
葉 青(イェ・チン) 朱 丹(チュー・タン)
周一圍(ジョウ・イーウェイ)

<あらすじ>
明朝末期の北京。錦衣衛の沈煉(張震)、蘆剣星(王千源)、靳一川(李東学)は義兄弟の契りを結んだ間柄。あるとき、彼らは宮廷の実権を握っていた魏忠賢(金士杰)の暗殺を命じられる。ところが沈煉は、土壇場になって魏忠賢から見せられた多額の金に目がくらみ、彼を逃す。手に入れた金は、蘆剣星の出世賄賂、靳一川の盗賊仲間との手切れ金、愛する遊女の身請け金として使われることに。魏忠賢の遺体が身代わりであると証明され、3人は追われる身となったのだった。

<感想など>
張震の錦衣衛と聞いて彼のカッコよさを期待していたのだが、ちょっと違った。もちろん、アクションは素晴らしく、息をのむような場面には時間も忘れてしまうほど。でも彼が演じる二哥、沈煉の顔があまりにも貧相な上、愚かな選択をして後に引けなくなってしまう展開に、途中で気持ちが萎えてしまった。とにかく暗すぎる。

物語は、沈煉の犯した過ちを中心に進む。一度飛魚服に身を包めば宮廷の「犬」。絶対的な命令に逆らうことなど到底できない。ところが一人の遊女への熱烈な想いゆえ、男は冷静さを失っていく。ほとんど表情のない顔が、時折ひん曲がっているように見え、目をそむけたくなった。むしろ道化役の大哥、蘆剣星の方が、安心して見ていられる。ほかにあどけなさが残る靳一川など、それぞれのキャラクターの違いが印象に残る。でも決して楽しいとは言えない。

見どころは多彩なアクションだ。「繍春刀」とは、主人公が使う長い武器。ブンブン振り回して相手を圧倒する。相手の攻撃をぎりぎりのところでかわしたり、目にも止まらない速さで突いていくところなどに見入ってしまう。一昔前はリアルな残虐なシーンが多かったと記憶しているが、今回はそういった印象はない。

恋愛模様については「そんなに命を懸けてまで貫くものなの?」という疑問が最後まで頭から離れなかった。靳一川の医者の娘に対する恋心はともかく、沈煉の方はどんなものか。周妙彤(劉詩詩)の涙目には男心をつかんで離さない魔力が潜んでいるのかも。

さて、今回一番印象的だったのは、魏忠賢を演じた金士杰の「怪演」!一瞬、かの池上彰センセイの顔が思い浮かび、集中力を欠いた。(笑)武術が優れているとはいえ、青臭さが残る彼らがああいう老獪な人物に太刀打ちするには100年早いなあと、魏忠賢の不気味な笑い声を聞きながら思った。

最後は、どこかで見たことのあるようなシーンだった。

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太極(TAI CHI)-ヒーロー-

20140222

taichihero.jpg

2013年/香港/1時間40分(レンタルDVD)
監 督  馮德倫(スティーブン・フォン)
原 題  太極2:英雄崛起
英 題  TAI CHI HERO
出 演  
袁暁超(ユエン・シャオチャオ) 梁家輝(レオン・カーファイ)
楊 頴(アンジェラベイビー) 彭于晏(エディ・ポン)
馮紹峰(ウイリアム・フォン) 謝欣穎(シエ・シンイン)
馮淬帆(スタンリー・フォン) 袁文康(ユエン・ウェンカン)
元 彪(ユン・ピョウ) 英 達(イン・ダー)

<あらすじ>
楊露禪(袁暁超)と玉娘(楊頴)の婚礼当日、陳家の長男陳栽秧(馮紹峰)が、妻金允兒(謝欣穎)を伴い、久しぶりに帰郷する。周囲が彼を歓迎する中、父陳長興(梁家輝)だけは息子に懐疑的な目を向けていた。実は、彼は、飛行機「天威翼」を作って破産し、方子敬(彭于晏)の陰謀に乗ることになったのだった。やがて村に怪奇現象が起こり、露禪に疑いの目が向けられる。すると露禪は再び暴力のスイッチが入ったかのように暴れまくる。一方、方子敬はフレミング侯爵(ピーター・ストーメア)の援助で大砲を手に入れ、村を爆破しようとしていた。

<感想など>
「太極1」よりはずっと面白かった!! というのも、ソチ五輪で気分が高揚している最中の武闘活劇だからかもしれない。いつもならじっと座っているのだが、今回は思わず立ち上がって登場人物と一緒に動いてしまった。誰も見ていなくてよかった。(笑)その分ストーリーに集中できなくて巻き戻たりして。こういう鑑賞もDVDならではで、身体にはかえっていいのかも。(笑)

ところで、最近観る中国語作品には、必ずと言っていいほど注目株(私にとっての)が登場する。本作でまず挙げたいのは馮紹峰(ウイリアム・フォン)。『妖魔伝~レザレクション~』では飄々とした感じの書生。『項羽と劉邦』では猛々しくも哀しさが滲み出ている項羽。そして今回はコンプレックスを抱えながらもわが道を探る青年の役。父子の情交はよかったな。濃い顔立ちを生かした表情の変化に魅了される。もう一人は惇親王役の袁文康(ユエン・ウェンカン)。脇役の「王爺」だが、爽やかで賢い印象が残る。次に出てきたら要チェック!!

さて作品の方に目を向けよう。
最初に目に飛び込んでくるのは、故宮上空を旋回する飛行機である。その後も思いかけない光景、映し方が続き、休んでいられない目まぐるしさだった。そんな中で、ストーリーも着々と進んでいき、万端整えられた印象を受けた。

こんな風に前向きに受け止められるのも、一つの成長物語だからだと思う。素直で純真な主人公は、義父に温かく見守られながら、本当の愛を知って、大成していく。演じる袁暁超自身が役者として成長していくようにも見えて、応援したくなる。こういう感覚も、やはりオリンピックの影響だろうか。

もう一つ、長男の物語も見逃せない。根っから発明好き、機械好きの彼は、武術の稽古が大嫌い。武術のパワーを引き出す機械を発明するが、父からは認められない。そんな彼と父との最終的な和解というエピソードは現代社会にも通じると思う。大胆な構図に目を奪われがちだが、細かい人間関係をみていくのも面白い。

いろいろな視覚効果が試されている本作だが、なんといっても最後厨房での決戦が、私の中ではダントツ一番の見どころである。露禪が、元彪演じるシェフ(王爺の料理を作る立場の人ですぞ!)と、手合せするシーン。料理をしている上での戦いとは、なんて斬新、なんて無謀…。(埃が落ちたりしたら罰せられるではないか、と、ハラハラドキドキ。)

まだまだ子供っぽい露禪が、楊式太極拳の創始者として認められるまでの話が駆け足で描かれている。でもまだまだ安心はできない雰囲気である。続編の上映、DVD発売にも期待!!

項羽と劉邦 鴻門の会

20140209

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2012年/中国/2時間(劇場で鑑賞)
監 督  陸 川(ルー・チュアン)
原 題  王的盛宴
英 題  The Last Supper
出 演  
劉 燁(リウ・イエ) 呉彦祖(ダニエル・ウー)
張 震(チャン・チェン) 聶 遠(ニエ・ユエン)
沙 溢(シャー・イー) 秦 嵐(チン・ラン)
奇 道(チー・ダオ) 李 琦(リー・チー)
陶澤如(タオ・ザール) 何杜娟(ホー・ドゥジュエン)

<あらすじ>
秦朝打倒を旗印に、劉邦(劉燁)は項羽(呉彦祖)と共に挙兵する。しかし劉邦が皇帝になる野望を抱いているとみた項羽は彼を敵視。鴻門の宴の席上、劉邦は、剣舞を披露する項荘(聶遠)から幾度となく窮地に追い込まれるが、事前に暗殺計画を知った張良(奇道)の計らいで命からがら逃げ延びる。このとき退路を開いたのが項軍の韓信(張震)。彼は劉邦側に寝返り、以後、項羽打倒、漢帝国構築に貢献する。皇帝となってからの劉邦は裏切りを恐れ疑心暗鬼にかられる日々をおくっていた。皇后呂雉(りょち:秦嵐)は裏で側近の暗殺を画策。功労者韓信は長い間獄中にいた。丞相蕭何(沙溢)の諫言も無用となり、張良は病を理由に参内を避ける。

<感想など>(ネタばれしています)
今年初め、『項羽と劉邦』(李仁港監督作)のレビューに「本作を劇場で観たい!」と書いたら、何と1か月後に実現!!拙文を読んだ人が手配してくれたのかしら~♪♪ な~んて一瞬思ってしまった。(その頃にはもう決まっていたのでしょうね:笑)

間を置かないで鑑賞した二本の『項羽と劉邦』だが、全く混同することはない。奇を衒ったストーリーが印象的な李仁港監督作に対して、今回の陸川監督作では、劉邦や呂雉の深層心理が迫ってきて、ゾクゾクした。時系列が頻繁に移動したり、各人物の視点で描かれたりするなど、把握しにくい面もあるが、どちらかというとこちらの方が好みかも。

まず老けメイクばっちりの劉燁と沙溢にびっくり!!二人の共演で思い出したのが『我們生活的年代』。友人関係から主従関係に変わっていく点が似ているなあ、と。息の合った台詞の応酬が、あのドラマとかぶる。

そして何より楽しみにしていたのは、劉燁、呉彦祖、張震の競演。この三者は『ブラッド・ブラザーズ -天堂口-』でも顔を合わせていた。あのときも今回も苦渋に満ち満ちて悲壮感たっぷり。 私だけかもしれないが、ふとした瞬間に呉彦祖、張震の区別に迷って、あごの形(張震は逆三角)で判断することがある。本作ではメイクの違いが際立っていたが、張震が形相になるとアレ…今のは?と一瞬戸惑った。

物語は劉邦の脳裏に浮かんでは消える光景と、登場人物の視点から描かれた場面とが積み重なって進む。

老いた劉邦の回想シーンには、溌剌とした彼と仲間たちが映し出される。呂雉も最初は可愛らしい。しかし劉邦が頂点に上り詰めた後は、幸せとはほど遠い日々が待ち受けていた。屈託のなかった彼らがいったいどのような過程を経て変わっていったのか。呂雉については、夫劉邦と別の女性との間にできた子供を育てる羽目になったり、項羽陣営に捕えられたりした経緯から、「身を守る術(すべ)=夫の掌握」の意識が強くなったとするとらえ方。夫の判断を操作する彼女、ホントにコワい…。

そんな彼女の手にかかった韓信を、張震が悲壮感たっぷりに演じていて、観ているのが非常に辛かった。剛直な彼は最後まで劉邦への忠誠心を変えることはない。終盤、彼が項羽を裏切って劉邦に寝返った理由がサラリと映し出された時、涙が出そうになった。恩を与えた方は忘れていても、受け取った方は生涯忘れなかったのだった。かつて彼を推挙した蕭何の苦しみもまた、胸に迫ってきた。

本作では「歴史」を考えさせられた。
呂雉は、司馬遷に史記を書かせ、それを実現させる、という画策を目論んだ。もし後世に残る史料の中に、事実よりも先に書かれたものがあるとすれば、歴史の研究は「行事予定」を読むようなものになってしまうではないか。予定通りに事が運ばないケースも多々あるだろうし。(笑)そんな風に考えると、歴史を題材とした小説や映画を「史実と違う」と批判すること自体に矛盾が生じる。史実改ざん説を聞くことはあっても、事前に書いた、という設定は初めてだった。恐ろしさと新鮮さが入り混じった気分だった。

『項羽と劉邦』は、まだまだたくさんの創作が期待される壮大な歴史物語絵巻!!!

フライング・ギロチン

20140105

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2012年/香港・中国/1時間53分
(《冬の香港中国エンターテイメント映画まつり》で鑑賞)
監 督  劉偉強(アンドリュー・ラウ)
原 題  血滴子
英 題  The Guillotines
出 演
黃曉明(ホァン・シャオミン) 阮經天(イーサン・ルァン)
李宇春(クリス・リー) 余文樂(ショーン・ユー)
井柏然(ジン・ボーラン) 文 章(ウェン・ジャン)
金士傑(ジン・シージエ) 

<あらすじ>
雍正帝統治下の清朝。暗殺部隊<血滴子>は、「反清復明」(清朝を倒し明朝を復活させる)を唱える反逆集団の首謀者天狼(黃曉明)の抹殺を命じられる。冷(阮經天)は仲間を率いて出発。ところが途中でその中の一人穆森(李宇春)が捕らえられ、仲間も次々と殺され、自らも天狼の手中に落ちる。朝廷は親衛隊の海都(余文樂)に対し、時代の汚点である<血滴子>の殲滅を命じる。冷は、天狼のカリスマ的存在感と、最後の拠点での共同生活を通して、彼の覚悟を知る。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
残酷この上ない内容であることは百も承知。覚悟を決めて(笑)観に行った。
彼らが扱う暗器は、タイトルのごとくターゲットの首に向かって宙を飛び、瞬時に命をとるギザギザ円盤。テロップによれば、残された史書にその記述はなく、伝説上の武器とのこと。時の為政者にとって都合の悪いことが書かれない(あるいは削除される)のは当然だろう。

実は、この暗器そのものにはあまり残酷さを感じなかった。瞬時に息の根を止めるスピード感が恐怖を遠ざけてくれ、残った遺体の映像がいかにも作り物に見えたからだ。剣や刀に比べるとリアリティははるかに低い。それより、<血滴子>のメンバーが命を落としていく場面の方が耐え難かった。紅一点の穆森が殴る蹴るの暴行を受けるシーンはひどすぎて怒りさえおぼえた。極めつけは衆目の前で繰り広げられるあの光景。ここまで暴力を積み重ねる理由が、果たしてあるのだろうか…。

終盤にさしかかると、神がかり的だった天狼の別の一面が表れる。次の為政者乾隆帝(文章)の掲げた政策基盤に、前皇帝の恐怖政治への戒めがあった、という解説からは、酷いシーンを多く挿入した意図が見えてくる。作品自体の目的を考えさせられた。

物語の真髄は、阮經天演じる冷の心理的葛藤にあるのだろう。アイデンティティの人一倍強い彼が、精神的暴力でねじ伏せられたまま成長し、あるとき突然本当の自分と向き合うことになる。そのきっかけとなったのが、敵である天狼との出会いだったのではないか。そう考えると、主人公は冷に思えてくる。

しかしながら、くるくる変わる表情と強い説得力で人々の心をつかむ天狼は、他の誰よりも存在感があって、観ている自分まで彼の虜になってしまった。まあ、黃曉明だからそういう心境になるのも無理はないが。(笑)一方、氷のような海都は、解説では悪役的扱いだったが、そうとも言いきれない。冷とは逆に「自分」を持とうとしない、時代が作り上げた人物像と言えそうだ。

眼を覆いたくなる残虐シーンの数々が、強い平和希求の手立てとして用いられているようにも感じられたが、作り手はどう考えているのだろう。


項羽と劉邦

20140101

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2011年/中国/2時間15分(劇場で鑑賞)
監 督  李仁港(ダニエル・リー)
原 題  鴻門宴
英 題  White Vengeance
出 演  
黎 明(レオン・ライ) 馮紹峰(ウィリアム・フォン)
黃秋生(アンソニー・ウォン) 張涵予(チャン・ハンユー)
劉亦菲(リウ・イーフェイ) 安志杰(アンディ・ホイ)
陳小春(ジョーダン・チャン) 午 馬(ウー・マ)
陳之輝(チェン・チーフイ) 修 慶(シウ・チン)

<あらすじ>
秦朝末期、圧政に反旗を翻す者たちの中で、項羽(馮紹峰)と劉邦(黎明)は意気投合、連合軍を結成する。秦軍討伐の際、項羽から彼の愛妻虞姫(劉亦菲)の護衛を頼まれた劉邦は、項羽より先に秦都咸陽に到着。楚の懐王(趙会南)の提議に基づき覇権を手にするかに見えた。だが項羽の怒りをかい、以後両者は敵対関係になる。武力で劣勢とみた張良(張涵予)は、劉邦に覇権放棄と謝罪を進言。こうして鴻門に宴の席が用意される。ここで劉邦暗殺を前提とした、范増(黃秋生)、張良両策士による囲碁の対決が始まる。項羽側優勢と思われた矢先、劉邦の臣下韓信(安志杰)が懐王の「特赦令」を持参、劉邦は解放される。

<感想など>(ネタばれしています)
物語は、あの「鴻門宴」から時がたち、学者(午馬)と学生たちが史実を検証しようとする場面から始まる。するとそこに突如謎めいた男が出現、史実を覆すような発言をする。このストーリーは彼の体験談、という設定だ。従来と異なる話であることを予告され、予測不能のワクワク感が高まっていく。

項羽と劉邦の話には思い入れがある。小説やドラマで韓信ファンとなり、項羽と劉邦の覇権争いにはアドレナリンが沸騰(笑)、京劇の「霸王別姬」で項羽と虞美人のやりとりに心を奪われた。だからキャスティングには興味津津、今回の配役には小躍りしたくなった。だって、安志杰の韓信、陳之輝の夏侯嬰ですよ~ 主役級に比べると出番は少ないものの、二人が手合わせする夢のようなシーンがあって、これだけでもう大満足。国士無双韓信は、「韓信の股くぐり」の屈辱からのし上がり、「背水の陣」で功績をあげた実力者。けれどもとっても気の毒な最期をとげる。かたや夏侯嬰は劉邦の幼なじみで心の厚い忠臣。どちらもぴったり。あと忠臣蕭何を演じる修慶も、控え目な立ち位置ながら好感度大。ナイスキャスティング!

話がそれてしまった。これは「項羽と劉邦」である。でも、最後まで観ると内容的には「范増と張良」ではないかと。出番が多いのは「項羽と劉邦」。でも彼らを頭脳で助ける「范増と張良」は、タイトルの二人に匹敵する存在感がある。独特のオーラを放ち、見方によってはより深く心に刻まれる。鴻門宴での囲碁五番勝負とは、なんて斬新な発想だろう。そして時間稼ぎも作戦のうち、とは。さて次の瞬間、碁盤に集中していた目が早馬の韓信に注がれる。この白熱する展開はもう一度見たい。

馮紹峰は、『妖魔伝~レザレクション~』で「チェックしたい人物」だったのを思い出した。この項羽のキャスティングもいい!『グリーン・デスティニー』の張震を彷彿とさせ、ものすごいインパクト!最後の場面も注目していたが、なるほどまさに「霸王別姬」のメロドラマ感たっぷりだった。(笑)やはりこれははずせないシーンだ。

はすせない、といえば劉邦の妻、呂雉(りょち)。彼女はどこへ行ったのだろう。でも全体の流れからみると、劉邦は主役と書かれながらやや脇役的扱いにもみえる。もし彼女がいたら物語の焦点がぶれたかもしれない。呂雉不在でよかったのかも。

黎明の劉邦はかなり意外だった。劉邦にしては顔立ちが上品すぎると思ったからだ。でもふたを開けてみたら、黎明の顔が以前よりもゴツくなっている気がして結構劉邦っぽく見えた。

「霸王別姬」以降は駆け足状態。最大の見せ場は中文タイトル「鴻門宴」だが、全体の内容は邦題「項羽と劉邦」だった。

<追記>
年末に鑑賞し、感想は年越しとなりました。期間限定の単館上映ですが、ぜひ各地で上映していただきたいです。近辺で上映されたらまた足を運ぶでしょう。ところで同様に項羽と劉邦を描いたもう一本の作品『項羽と劉邦 鴻門の会』(原題『王的盛宴』)が来月DVDリリースとのこと。こちらは劉燁(劉邦)、呉彦祖(項羽)、張震(韓信)というキラキラした男たち(笑)による競演! 一般公開はないのかしら~

楊家将 ~烈士七兄弟の伝説~

20131229

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2013年/中国・香港/1時間42分(劇場で鑑賞)
監 督  于仁泰(ロニー・ユー)
原 題  忠烈楊家將
英 題  SAVING GENERAL YANG
出 演 
鄭少秋(アダム・チェン) 鄭伊健(イーキン・チェン)
于 波(ユー・ボー) 周渝民(ヴィック・チョウ)
李 晨(リー・チェン) 林 峯(レイモンド・ラム)
呉 尊(ウーズン) 付辛博(フー・シンボー)
徐 帆(シュイ・ファン) 邵 兵(シャオ・ピン)
安以軒 (アン・イーシュアン) 梁家仁(レオン・カーヤン)
陳之輝(チェン・チーフイ)

<あらすじ>
宗王朝に仕える楊一族は、北方騎馬民族の遼を撃退した功績から厚い信頼を寄せられていた。そんな中、かつて楊業(鄭少秋)が討った将軍の息子耶律原(邵兵)が遼の大軍を率いて迫ってきたとの報告が入る。皇帝は宰相の潘仁美(梁家仁)と楊業に、出撃命令を出すが、潘家から根深い恨みをかっていた楊業は、相手の画策によって部隊の先鋒を務めることとなる。激しい戦闘の中、潘仁美の本陣は善戦していた楊軍を見捨てて撤退。毒矢を受けた楊業は残った味方と共に両狼山に敗走する。危機を知った楊家では、七人の息子たちが父の救出と帰還を母(徐帆)に誓い、出撃する。

<感想など>(ネタばれしています)
楊家将といえば四男が思い浮かぶが、今回の実質的主人公は六男である。また、物語では、七兄弟の出撃目的が戦いではなく父の救出、という異色の展開。救いがなくて、話が進むにつれ心がどんどんしぼんでいく。これまで観た楊家将関連のドラマや京劇の演目とは別物と思った方がよさそうだ。

少しがっかりさせるようなことを言ってしまったが、そんな物語展開とは裏腹に、画面は最後まで魅せてくれた。七人の男たちが一人一人見せ場を作っていて「かっこいい」のである。きっと周到な演出によるのだろう。それともう一つ、音楽効果は大きい。戦闘の激しさと残酷さ、出陣する際の緊張感と悲しさが、メロディーに乗って心に入ってくる。その音楽担当は川井憲次さん。勇壮な場面での琴の音色が印象深く残る。

七人の兄弟をはじめ、脇を固める人物たちが、それぞれの特徴を生かした戦い方、台詞回し、表情の作り方で、スクリーンを盛り上げ、最後まで引っ張って行ってくれる。

中でも周渝民演じる弓の名手は、役者の個性とよく合っていると思う。寡黙で陰のある雰囲気、鋭いまなざしと顎の線、瞬時の判断で弓を引く所作が、美しい。古装姿が全く想像できなかっただけに、意外な発見をした気分だった。

鄭伊健には童顔のイメージがあったが、長男という役柄からか実年齢相応の顔だった。安心して見ていられたが、壮絶な最期の場面だけは勘弁!だ。

忘れてはならないのが、楊業の忠臣を演じる陳之輝。出演時間は短いが、この人ならではの仕事で魅せてくれる。これまでの彼の役柄を振り返ると、今回同様、勇猛果敢に闘って華々しく散っていく姿が多い気がする。彼のように忠義を尽くす役柄では一番!という人材は必要不可欠。縁の下の力持ち的存在ながら「オレをみてくれ!」と言わんばかりの壮絶な場面は、一瞬で終わるからこそじっくりと見たい。

そして憎々しいことこの上ない潘仁美。卑小さ、ねじれた心、といった負の要素を一身に集めたキャラクターで、かえってインパクトが強かった。アクションでならす七兄弟と対極に位置する彼の存在感も大きい。

古装劇の見せ方も、どんどん変わってきている、と実感した作品だった。

太極(TAI CHI)-ゼロ-

20131227

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2012年/香港/1時間38分(レンタルDVD)
監 督  馮德倫(スティーブン・フォン)
原 題  太極1従零開始
英 題  TAI CHI ZERO
出 演  
袁暁超(ユエン・シャオチャオ) 梁家輝(レオン・カーファイ)
楊 頴(アンジェラベイビー) 彭于晏(エディ・ポン)
舒 淇(スー・チー) 梁小龍(ブルース・リャン)
馮淬帆(スタンリー・フォン) 劉碧麗(Mandy Lieu)
熊欣欣(ホン・ヤンヤン)

<あらすじ>
清朝の時代。母(舒淇)亡き後、ルーチャン(袁暁超)は天理教の師匠に引き取られる。額の突起を押すと制御不能の殺人鬼と化す彼は、やがて戦争に利用されるようになる。そんな彼の身を案じる軍医(梁小龍)は、寿命を縮める戦いをやめ、陳家拳の修行をするよう、強く勧める。味方が殲滅し、命からがら逃れたルーチャンは、険しい道のりを経て陳家溝に到着。ところが村人たちは彼を排除する。陳家の娘ユーニャン(楊頴)と手合せしても全く歯が立たない。そんな彼にアドバイスしてきたのは、質素な身なりの男(梁家輝)だった。一方、ユーニャンは、イギリス帰りの幼なじみズージン(彭于晏)が語る鉄道敷設計画に協力するつもりでいた。

<感想など>
あまり期待していなかったが(しなかったから?)意外と楽しかった。最初の無声映画的展開では、主人公の母の薄幸な面が強調され、湿っぽい雰囲気に。次に突如砂漠での戦闘場面となり、彼の変貌ぶりにびっくり!後に挿入されるアニメで明るくからりとした感じに変わり、これがストーリー理解の助けにもなった。実に目まぐるしい、飽きさせない展開だ。

荒唐無稽とも思える表現については、好みが分かれるかもしれない。
額の突起を押すと白眼になって人格が変わる様子からは、武侠ものでよく見る「走火入魔(気が暴走する)」や、アメコミヒーローがかかえる制御不能な特殊能力などを連想した。「トロイ」という巨大戦車(?)は、まるでUFOみたいで、線路を進むようにはとても見えない。舞台は中国大陸だが、登場するのは多国籍のモノたちだ。作者の趣味(どんな趣味かは知らないが)の世界をのぞいているような感覚だった。

解説によれば、楊式太極拳の創始者、楊露禅の物語とのこと。しかし前編を見た時点では、実在の人物とは全く思えない。史実よりは視覚効果を狙ったような作りである。

ルーチャンの活躍が中心となる物語だが、周囲の人々も見逃せない。
イギリス帰りのズージンは、悪役の位置づけだが庇いたくなる存在だった。彼は結果的に故郷を裏切ることになるが、それは、陳姓ではないという理由だけで差別を受けてきた屈辱と、人一倍の野心によるものだった。彼の複雑な背景には、あの「トロイ」以上の脅威をおぼえるのである。

梁家輝演じる陳家拳の宗師は好きなキャラクター。娘いわく神出鬼没で、飄々とした風貌ながら、村を守る気概は人一倍。魅力あふれるおやじさん(笑)である。密かにルーチャンを後押しする姿がほほえましい。

ラスト前のエンドロールにはまたまたびっくり。画面を戻そうとしたところで、まだ終わりではありませんよ、とのお知らせが。遊び心満載の本作品、続編も楽しませてね、と思わずつぶやいてしまった。


劇場版 水滸伝

20131221

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2010年/中国/1時間40分(レンタルDVD)
監 督 鞠覚亮(ジュ・ジャオリァン)
出 演
張涵予(チャン・ハンユー) 胡 東(フー・ドン)
高 虎(ガオ・フー) 晉 松(ジン・ソン)
李宗翰(リー・ゾンハン) 李子雄(リー・チーホン)
袁詠儀(アニタ・ユン) 呂良偉(レイ・ロイ)
甘婷婷(ガン・ティンティン)

<内容・感想など>
TVドラマ86話分を100分にまとめたダイジェスト版(日本語吹き替え版)で、水滸伝の概略を知るには好都合の教材。ドラマ視聴を迷っていた自分にとっては、観る気にさせてくれるような内容だった。

時代背景の説明に始まり、林冲(胡東)、魯智深(晉松)、楊志(高虎)、そして主人公の宋江(張涵予)の経緯を、ドラマの名場面をピックアップする形式で描いている。解説するのは宋江という設定。中国の四大名著(『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』『紅楼夢』)の一つとは聞いていたが、登場人物の詳細はよく知らなかった。ドラマより前にメイキングを見るのはどうかと(ネタバレになるかなと)思ったが、かえって興味をかきたてる作りで楽しめた。

インタビューに答えた俳優の言葉からは、いずれも誇りが感じられた。幼い頃から読み親しんできた水滸伝の登場人物であり、以前の素晴らしいドラマ版があるからこそのプレッシャーもあるのだろう。役柄によっては、武術訓練も相当厳しかったとのこと。日本向け宣伝のためと思われる内容だった。この中で印象的だったのは李宗翰。今回のダイジェスト版ではほとんど見られず、ドラマでの彼に興味津々。

ダイジェスト版だから登場人物も限られるが、その中でも最も長い時間出ているのは林冲だろう。演じる胡東は『新 笑傲江湖』の左冷禅? 全くの別人!楊志を演じる高虎も役柄によって大きく変わる俳優さん。今回初めてそのクールな風貌に惹きつけられた。長い長いドラマでの彼を是非観たいものだ。

この作品、TVでも来年早々放映されるのね。なんと早いこと!長編ドラマは今のところレンタルショップでは新作扱い。もう少し待つとしよう。その前に原作に挑戦しようかな。

花様 たゆたう想い

20131104

huayang2

2012年/台湾/2時間2分(劇場で鑑賞)
監 督  周美玲(ゼロ・チョウ)
原 題  花漾
英 題  RIPPLES OF DESIRE
出 演
陳意涵(チェン・イーハン) 陳妍希(ミシェル・チェン)
言承旭(ジェリー・イェン) 鄭元暢(ジョゼフ・チャン)
任達華(サイモン・ヤム) 呉君如(サンドラ・ン)
李小冉(リー・シャオラン) 茅子俊(マオ・ズージュン)

<あらすじ>
明末清初の混乱期。東南海域の流嶼島には、貿易商人、外国人、流民など様々な背景を持つ人々が集まり、大陸とは異なる文化を形成していた。月娘(呉君如)が経営する「花様楼」も大繁盛。幼い頃から芸を磨いてきた双子の姉妹、小雪(陳妍希)と小霜(陳意涵)は、店の看板的存在である。その裏で、小雪は楽師の文秀(鄭元暢)に、小霜は海賊の刀疤(言承旭)に想いを寄せていた。そんな中、小雪は女将から、豪商の李二少(茅子俊)との縁談を示唆される。彼は妻芙蓉(李小冉)がいるにもかかわらず、小雪に惚れ込んでいるのだった。

<感想など>
映像は綺麗で見とれる場面も多いが、話がわかりにくい。時系列が前後する上、姉妹の病気に関する背景があまりにも説明的で、ぼんやりしているうちに置いていかれてしまった。そして中盤の一時期は、海賊の頭目海爺(任達華)と豪商の夫人芙蓉(李小冉)に主役をバトンタッチしたような展開である。

自分の乏しい予備知識から、若者四人の切ない恋愛模様が主軸になるものと思っていた。しかし呉君如、任達華が登場した途端、そのベテラン勢に引き寄せられてしまった。純愛に心乱れる四人に対し、この二人の関係はドロドロ感たっぷり。海賊の頭目と妓楼の女将は長年の腐れ縁だが互いに人間不信。金銭が複雑にからむ世界で、身体を張って生きてきた中年男女の方に存在感があるのは自然だろう。

やがて豪商の妻が夫を追って単身島にやってくる。
夫を一途に愛する彼女は、彼の借金を返済して共に故郷に帰ろうと必死だ。けれども海賊や女将の計略から彼女は人質となる。夫が妓女と祝宴を挙げたと知るや、彼女は海に身を投げる。そんな彼女を海賊はとっさに助ける。

夫を想う妻の純粋な気持ちに撃たれた男と、絶望感から一転、真に愛される喜びを知った女。あまりにも電撃的な結びつきだが説得力はある。しかし、その幸せが長続きしないのは十分予想できる。

人間不信の間は無敵だった彼が、真実を貫こうとした途端命を落とす。
ここに作品の主題があるのではないだろうか。

過酷な運命の中で真実が捻じ曲げられ、いつしか相手の裏をかくことが自然になってしまっている世界。そんな虚飾に満ちた生き方を捨て、真実に沿って生きようとする海爺。二人の一瞬の出来事は、人間本来の姿として印象に残る展開だった。海爺の対極として描かれる李二少の姿もまた、人の愚かな一面を映し出していて興味深い。

ここまで書いて、主役四人についてほとんど感想を述べていないのに気づいた。でもそれも仕方ないと思う。

大英雄

20130811

dongchengxijiu.jpg

1993年/香港/1時間43分(劇場で鑑賞)
監 督  劉鎮偉(ジェフ・ラウ)
原 題  射鵰英雄傳之東成西就
英 題  The Eagle Shooting Heroes
出 演  張國榮(レスリー・チャン)梁朝偉(トニー・レオン)
     梁家輝(レオン・カーファイ)林青霞(ブリジット・リン)
     張曼玉(マギー・チャン)王祖賢(ジョイ・ウォン)
     劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 張學友(ジャッキー・チュン)

<感想など>(登場人物名は香港の解説を参考にしています。)
『楽園の瑕』の製作が行き詰っている間、ほぼ1週間で撮影されたという話題作。かなり昔ビデオで観て終始おなかを抱えて笑っていたのを思い出す。『楽園の瑕』同様、金庸原作『射鵰英雄傳』の登場人物を使っているが、内容は全くの別物。今あらすじを書こうとしたが大いに笑った後きれいさっぱり忘れてしまった…。

dongchengxijiu3.jpg

欧陽鋒(梁朝偉)のタラコ唇、周伯通(劉嘉玲)の使えない魔術、段智興(梁家輝)の妖艶な(?)女装姿、そしてハチャメチャな中でもお似合いの黄薬師(張國榮)と三公主(林青霞)。香港の大スターたちがここまで徹底的におバカをやるとは、ほんとさすが!としか言いようがない。近くで「ストレス解消だわ~」という声を聞き、ほんとにその通り!と思った。DVDを買っておいて心が荒んだ時にみてみようか。

劇場は終始笑いに包まれ、最後は拍手喝さいだった。このように楽しさを共有できる喜びを思うと、また劇場に来よう!という気持ちになる。


プロフィール

Author:孔雀の森
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大切に♪

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